ビッグマックが500円になる日——マクドナルド値上げが映す物価の現在地

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その日から、価格が変わった

2026年2月25日。日本マクドナルドの全国の標準店舗で、メニューの価格が静かに書き換えられた。

前日の2月24日にニュースリリースが出て、夕方のニュースやSNSで話題になっていたから、知っていた人も多いかもしれない。値上げは今日から始まっている。

目玉は何といっても「ビッグマック」だ。480円から、500円になった。

500円玉一枚で買える——そう覚えた人には、この節目は妙に実感がある。ビッグマックの価格は、世界各国で統一商品の値段を比較する「ビッグマック指数」という経済指標にも使われるくらい、身近な物価の代名詞だ。その象徴的な商品がついに500円に到達したことは、ひとつの時代の変わり目を感じさせる。


「約1年ぶり」の改定が意味すること

今回の値上げについて、報道では「2025年3月以来、約1年ぶりの価格改定」と紹介されている。

一度上げて、また上げる。この繰り返しに「また値上げ?」と感じる人も少なくないだろう。日本マクドナルドは、値上げの理由として原材料費・エネルギーコスト・人件費の上昇が長引いていることを挙げている。

これは、ファストフードに限った話ではない。食品や外食の値上がりが家計に及ぼすプレッシャーは、多くの生活者が感じてきたことだ。今回の改定は、その流れを改めて可視化した出来事といえる。


変わる値段、変わらない値段

今回の改定の対象は、標準店舗のメニューの約6割。上げ幅は10円〜50円の範囲だ。

代表的な商品の変化を見てみよう(標準店舗・税込・店頭価格の例)。

商品改定前改定後変化
ビッグマック480円500円+20円
ダブルチーズバーガー450円480円+30円
マックフライポテト S200円220円+20円
マックフライポテト M330円350円+20円
マックフライポテト L380円400円+20円
炭酸ドリンク S140円160円+20円
炭酸ドリンク M270円290円+20円
炭酸ドリンク L320円340円+20円

一方で、「ハンバーガー」「マックチキン」「てりやきマックバーガー」といった定番商品の一部は価格据え置きとされている(公式資料でも据え置き例として示されている)。「全部上がるわけではない」という点は押さえておきたい。

ただし、ここで注意が必要だ。今回の価格はあくまで標準店舗の店頭価格(税込)の例だ。駅構内や空港、商業施設など特殊な立地の店舗では価格体系が異なることがある。また、デリバリー(宅配)を利用する場合も価格が違ってくるため、アプリや各店舗での確認が実際には必要になる。


「値上げだけじゃない」という側面

価格改定と同時に、いくつかの施策も動いている。

報道によれば、一部商品のリニューアルも2月25日から実施。また、「セット500」(500円台で食べられるセット)の強化や、マックポークのセット復活、さらにセットのドリンク選択肢の拡大(フラッペやスムージーへの変更が+200円(税込)で可能になるなど)も紹介されている。

これは値上げをする側の「台所事情」とも関係している。単純に値段を上げるだけでは客が離れる。だから、「同じ予算でも選べる楽しさを増やす」「新しい価値をつけた商品を打ち出す」という動きをセットで行う——これは外食チェーンが価格改定時によく取る戦略だ。


「安さの象徴」から「物価の鏡」へ

マクドナルドという存在が、日本でどんな意味を持ってきたか、少し立ち止まって考えてみたい。

1971年に銀座にオープンして以来、マクドナルドは「気軽に食べられる外食」の代名詞だった。価格を抑えて、日本全国どこでも、誰でも同じ味が手に入る。それが強みだった。

かつて“安さの象徴”として語られたのは、「59円ハンバーガー」のような時代だ。それが今日から、ビッグマックは500円になる。数十年越しの変化だから単純比較はできないが、「マクドナルドで測れる物価感覚」が大きく動いていることは確かだろう。


ビジネスの視点から見ると

日本マクドナルドホールディングス(東証スタンダード:2702)にとって、今回の改定は経営上の選択でもある。

原材料費は為替の影響も受けやすく、円安が続いた局面ではコスト環境が厳しくなりやすい。電気代などエネルギーコストの上昇、そして人件費の引き上げ——これらは「一時的」ではなく「構造的」な変化とみられており、一度の値上げで終わらない可能性もある。

業界全体でも、コストを価格に転嫁する動きは続いており、今回のマクドナルドの改定はその流れのひとつに位置づけられる。一方で、「価格を上げながらも客数を維持できるか」は今後の焦点になる。


価格から読む社会の変化

「ビッグマックが500円になった」というニュースは、単なる一外食チェーンの価格改定ではない。

原材料・エネルギー・人件費という三つのコスト圧力が長期化しているという事実、その圧力を吸収しきれず価格に転嫁せざるを得ない外食業界の現実、そして「身近な食事の値段」が家計の痛み指数として感じられる日常——今回の改定は、こうした日本社会の物価高の現在地を映している。

次にマックに行くとき、財布から取り出す500円玉が、少し違って見えるかもしれない。


本稿の価格は2026年2月25日時点の報道・公表情報をもとにしています。標準店舗の店頭価格(税込)の例であり、立地条件やデリバリー利用の場合は価格が異なることがあります。詳細は各店舗・公式サイトでご確認ください。

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この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー

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