第3回集計で5.09%、3年連続の5%台
連合(日本労働組合総連合会)が2026年4月3日に公表した2026年春季生活闘争の第3回回答集計によると、平均賃金方式で回答を引き出した2311組合の加重平均は、月額1万6892円、賃上げ率5.09%だった。4月1日午前10時時点の回答をまとめたもので、第3回集計ベースでは3年連続で5%台を維持した。
数字だけ見れば、日本の賃金を巡る景色はここ数年で明らかに変わった。かつて春闘は1%前後の伸びが珍しくない時期が長く続いたが、2024年以降は5%台が続いている。賃上げが例外ではなく、企業経営の前提として組み込まれつつあることを示す流れと言える。
一方で、勢いが加速しているとまでは言いにくい。今回の5.09%は前年同時期の5.42%を0.33ポイント下回り、賃上げ額も466円少ない。高水準は維持しているが、前年をさらに上回る局面ではなくなってきた、というのが足元の実態だ。
焦点は中小企業と非正規にどこまで広がるか
春闘の本当の勝負どころは、大企業の回答が強いかどうかだけではない。雇用の裾野が広い中小企業や非正規雇用にまで賃上げが広がるかどうかで、賃上げの定着度は大きく変わる。
今回の集計で、従業員300人未満の中小組合は1332組合、賃上げ率は5.00%、賃上げ額は月額1万3960円だった。金額では前年同時期を600円上回り、中小にも賃上げの流れが届いていることは確かだ。ただし、連合が中小向けの目安として掲げるのは「6%以上」であり、現時点では届いていない。5%台に乗せたことと、格差是正が十分に進んだことは別の話だ。
非正規雇用でも動きは続いている。有期・短時間・契約等労働者の賃上げ額は、加重平均で時給80.39円、引き上げ率は6.61%だった。一般組合員の5.09%を上回る伸びではあるが、連合が目安とする7%以上にはなお届かない。率の高さだけで格差是正が進んだとみるのは早く、絶対額の底上げがどこまで続くかが問われる。
実質賃金は2026年1月にプラス転換したが、定着はまだ見えない
賃上げ率が5%を超えても、暮らし向きがすぐ楽になるとは限らない。生活実感に近いのは、名目賃金から物価上昇分を差し引いた実質賃金だからだ。
厚生労働省の毎月勤労統計調査では、2025年12月の実質賃金は前年同月比0.1%減だった。その後、2026年1月分結果速報では同1.4%増へと転じており、物価上昇の鈍化を背景に改善の兆しが見え始めている。
ただし、この改善が定着するかはまだ分からない。食品価格やエネルギー価格の動き次第では、実質賃金は再び押し下げられうる。春闘の高い回答率が、家計の実感として根づくかどうかは、名目賃金の伸びそのものより、物価との競争に勝てるかにかかっている。
5%超の定着と「十分な賃上げ」は同じではない
今回の5.09%は、あくまで春闘の途中集計だ。今後も回答の積み上げは続き、最終集計は夏にかけて固まっていく。2025年春闘の最終集計は5.25%だったが、これは6月末時点の結果であり、4月時点の第3回集計と単純に横並びでは比べにくい。
それでも、現時点で言えることははっきりしている。日本の賃上げは、もはや一部大企業だけの特殊な動きではない。だが、賃上げが広く続いていることと、十分な底上げが実現したことは同義ではない。中小で6%以上、非正規で7%以上という目標になお届いていない以上、2026年春闘の評価は「高水準を維持したが、次の関門がはっきり見えてきた」と整理するのが妥当だろう。
(本稿は各種公開情報をもとに作成しました。一部数値は記事掲載時点の情報です)

