【5月7日発表】米国企業決算まとめ|Airbnb・Datadog・Expedia・Cloudflareなど

米国企業決算に見るAI・旅行・決済・医薬品の現在地──Airbnb、Datadog、Cloudflare、Blockなど9社を整理

2026年5月7日に発表・開示された米国企業決算では、旅行需要、クラウドとAI投資、暗号資産取引、医薬品、LNG、決済サービスなど、幅広い業種の動向が確認された。対象となるのは、Airbnb(ABNB)、Coinbase Global(COIN)、Datadog(DDOG)、Expedia Group(EXPE)、Gilead Sciences(GILD)、Cheniere Energy(LNG)、McKesson(MCK)、Cloudflare(NET)、Block(XYZ)の9社である。

今回の決算で共通して見えるのは、需要そのものは底堅い分野が多い一方で、地域情勢、暗号資産市場の変動、AI投資に伴う費用構造の変化、買収関連費用、デリバティブ評価損などが、GAAPベースの利益を大きく揺らしている点である。

特に、non-GAAP指標や調整後EBITDA、フリーキャッシュフローを強調する企業が多く、表面上のEPSだけでは事業の実勢を読み取りにくい決算が目立った。以下の数値は、SEC EDGAR提出資料および企業IR資料の確認範囲を土台としている。

主要企業の決算概要

Airbnb(ABNB)

決算期
2026年第1四半期
主要数値
売上高27億ドル、GBV292億ドル
EPS
GAAP希薄化後EPS 0.26ドル
テーマ
旅行需要、予約総額、フリーキャッシュフロー

Coinbase Global(COIN)

決算期
2026年第1四半期
主要数値
総収益14.13億ドル、取引高2,020億ドル
EPS
GAAP希薄化後EPS -1.49ドル
テーマ
暗号資産取引、サブスク収益、オンチェーン経済

Datadog(DDOG)

決算期
2026年第1四半期
主要数値
売上高10.06億ドル、FCF 2.89億ドル
EPS
GAAP 0.15ドル、non-GAAP 0.60ドル
テーマ
AI投資、クラウド監視、セキュリティ

Expedia Group(EXPE)

決算期
2026年第1四半期
主要数値
売上高34.26億ドル、総予約額355.30億ドル
EPS
GAAP -0.05ドル、調整後EPS 1.96ドル
テーマ
旅行需要、B2B成長、広告

Gilead Sciences(GILD)

決算期
2026年第1四半期
主要数値
総収入69.60億ドル、HIV製品売上50億ドル
EPS
GAAP 1.61ドル、non-GAAP 2.03ドル
テーマ
医薬品、HIV、通期売上見通し

Cheniere Energy(LNG)

決算期
2026年第1四半期
主要数値
売上高58.68億ドル、調整後EBITDA 23.33億ドル
EPS
GAAP -16.65ドル
テーマ
LNG輸出、設備投資、キャッシュフロー

McKesson(MCK)

決算期
2026年度第4四半期・通期
主要数値
四半期売上高962.95億ドル、通期売上高4,034.30億ドル
EPS
四半期GAAP 13.71ドル、調整後EPS 11.69ドル
テーマ
医薬品流通、株主還元、2027年度見通し

Cloudflare(NET)

決算期
2026年第1四半期
主要数値
売上高6.398億ドル、FCF 8,410万ドル
EPS
GAAP -0.07ドル、non-GAAP 0.25ドル
テーマ
AI、クラウド接続、RPO

Block(XYZ)

決算期
2026年第1四半期
主要数値
売上高60.57億ドル、粗利益29.09億ドル
EPS
GAAP -0.52ドル、調整後EPS 0.85ドル
テーマ
決済、Cash App、AI活用

GAAPは米国会計基準に基づく利益指標であり、non-GAAPや調整後EPS、調整後EBITDA、フリーキャッシュフローは各社が定義する調整後指標である。今回の決算では、GAAP損益と調整後指標の差が大きい企業も多く、両者を分けて読む必要がある。

旅行需要は底堅いが、地政学リスクが予約動向に影を落とす

Airbnb(ABNB)は、2026年第1四半期の売上高が27億ドルとなり、前年同期比18%増だった。純利益は1億6,000万ドル、GAAP希薄化後EPSは0.26ドル、調整後EBITDAは5億1,900万ドル、フリーキャッシュフローは17億ドルだった。予約総額にあたるGBVは292億ドルで19%増、Nights and Seats Bookedは1億5,620万件で9%増となった。

メディア評価:売上高やGBVが市場予想を上回ったことは評価された一方、中東情勢に伴うキャンセル増加が懸念材料として扱われた。Reutersは、AirbnbとExpediaの双方が中東紛争による旅行需要への影響を警告したと報じ、Airbnbについては第2四半期の予約成長に約1ポイントの下押し圧力が出る見方を伝えている。WSJも、Airbnbが通期売上見通しを引き上げた一方で、イラン情勢に関連したキャンセル増が残る点を指摘している。

参考:Reuters|Airbnb flags Middle East war impact

Expedia Group(EXPE)も旅行需要の底堅さを示した。2026年第1四半期の売上高は34億2,600万ドルで15%増、総予約額は355億3,000万ドルで13%増だった。B2Bの総予約額は22%増、B2Cは10%増となり、法人・提携先向けの旅行サービスが引き続き伸びている。GAAPではExpedia Groupに帰属する純損失が600万ドル、希薄化後EPSは-0.05ドルだったが、調整後EPSは1.96ドル、調整後EBITDAは5億4,200万ドルだった。

メディア評価:市場が評価したのは、B2B事業の伸び、広告・メディア収益、そして新たに50億ドルの自社株買い枠を発表した点である。一方で、Reutersは第2四半期の総予約額見通しが市場予想をやや下回ったことを報じており、旅行需要そのものよりも、地政学リスクによる予約の鈍化が株価反応の重しになったと整理できる。

参考:Reuters|Airbnb and Expedia travel demand coverage

クラウドとAI関連は高成長が続くが、期待値も高い

Datadog(DDOG)は、クラウド監視、ログ管理、セキュリティなどを提供する企業で、AI時代のクラウド運用を支えるインフラ関連銘柄として注目されている。2026年第1四半期の売上高は10億600万ドルで32%増、GAAP営業利益は700万ドル、non-GAAP営業利益は2億2,300万ドルだった。GAAP希薄化後EPSは0.15ドル、non-GAAP希薄化後EPSは0.60ドル。営業キャッシュフローは3億3,500万ドル、フリーキャッシュフローは2億8,900万ドルとなった。

メディア評価:Datadogで市場が評価したのは、売上成長に加え、ARR 10万ドル以上の顧客が約4,550社へ増加したこと、そして通期売上見通しを43.0億ドルから43.4億ドルへ引き上げた点である。Bloombergは、通期売上見通しが市場予想を大きく上回ったことを受け、株価が大きく上昇したと報じている。AI関連投資の恩恵が、半導体やデータセンターだけでなく、クラウド運用監視やセキュリティ分野にも広がっていることを示す決算だった。

参考:Bloomberg|Datadog outlook coverage

Cloudflare(NET)も、AIとクラウド接続の需要を背景に高い成長を続けた。2026年第1四半期の売上高は6億3,975万ドルで34%増、GAAP営業損失は6,199万ドル、GAAP希薄化後EPSは-0.07ドルだった。一方、non-GAAP営業利益は7,310万ドル、non-GAAP希薄化後EPSは0.25ドル、フリーキャッシュフローは8,410万ドルだった。Current RPOは前年同期比34%増となり、将来売上につながる契約残高も伸びている。

メディア評価:ただし、市場評価は単純な好決算とはならなかった。Barron’sは、Cloudflareが売上高・調整後EPSで市場予想を上回ったにもかかわらず、株価が時間外で下落したと報じている。Reutersも、CloudflareがAI活用を前提とした事業再設計の一環として約20%の人員削減を発表したことを伝えており、投資家は成長率だけでなく、AI導入が雇用・費用構造・将来収益にどう影響するかを見ている。

参考:Barron’s|Cloudflare earnings coverage

暗号資産と決済では、収益構造の違いが鮮明に

Coinbase Global(COIN)は、暗号資産取引の勢いが鈍るなかで厳しい決算となった。2026年第1四半期の総収益は14億1,298万ドル、純収益は13億3,935万ドルだった。取引収益は7億5,583万ドル、サブスクリプション・サービス収益は5億8,352万ドル。GAAPベースでは3億9,412万ドルの純損失、希薄化後EPSは-1.49ドルだった。

メディア評価:Reutersは、暗号資産取引の勢いが弱まり、Coinbaseが2四半期連続の赤字となったと報じている。WSJも、暗号資産投資の評価下落が損失の大きな要因になったと整理している。市場が懸念したのは、取引高の減少とリスク選好の低下である。一方で、サブスクリプション・サービス収益が一定の規模を持つ点は、取引依存からの収益分散として確認すべき要素である。

参考:Reuters|Coinbase quarterly loss coverage

Block(XYZ)は、決済と個人向け金融サービスの粗利益成長が目立った。2026年第1四半期の売上高は60億5,700万ドル、粗利益は29億900万ドルで27%増だった。Cash Appの粗利益は19億800万ドルで38%増、Squareの粗利益は9億8,200万ドルで9%増。GAAPでは営業損失1億7,200万ドル、普通株主に帰属する純損失3億900万ドル、希薄化後EPSは-0.52ドルだったが、調整後営業利益は7億2,800万ドル、調整後EPSは0.85ドルだった。

メディア評価:Reutersは、Blockが2026年通期の粗利益見通しを123億3,000万ドルに引き上げたこと、Cash Appが業績をけん引したことを評価点として報じている。市場が見たのは、消費関連の決済需要の底堅さと、AI活用による効率化の余地である。一方で、GAAPベースでは損失が残っており、調整後指標と会計上の利益の差を分けて読む必要がある。

参考:Reuters|Block quarterly profit coverage

医薬品とヘルスケア流通は、安定成長と特殊要因の見極めが焦点

Gilead Sciences(GILD)は、HIV製品を中心に堅調な決算だった。2026年第1四半期の総収入は69億6,000万ドルで4%増、製品売上は69億4,600万ドルだった。営業利益は25億8,600万ドル、純利益は20億2,100万ドル。GAAP希薄化後EPSは1.61ドル、non-GAAP希薄化後EPSは2.03ドルだった。HIV製品売上は50億ドルで10%増となり、2026年通期の製品売上見通しは300億ドルから304億ドルへ引き上げられた。

メディア評価:Reutersは、Gileadが売上見通しを引き上げた一方、買収関連の取得済み研究開発費などにより利益見通しを引き下げたと報じている。市場が評価したのはHIV領域の強さであり、懸念したのはArcellx、Ouro Medicines、Tubulis関連の費用がEPS見通しを押し下げた点である。医薬品企業の場合、売上成長と研究開発・買収費用のタイミングが、短期の利益を大きく変動させる。

参考:Reuters|Gilead sales forecast coverage

McKesson(MCK)は、医薬品流通と専門医療支援を軸に大きな売上規模を維持した。2026年度第4四半期の売上高は962億9,500万ドルで6%増、McKessonに帰属する純利益は16億8,200万ドルだった。GAAP希薄化後EPSは13.71ドル、調整後EPSは11.69ドル。2026年度通期では、売上高が4,034億3,000万ドルで12%増、GAAP希薄化後EPSが38.38ドル、調整後EPSが39.11ドルだった。

メディア評価:市場の関心は、2027年度の調整後EPS見通し43.80ドルから44.60ドルに向かった。Reutersの見出しでは、McKessonが市場予想をやや上回る2027年度利益見通しを示した点が取り上げられている。一方、事前の市場解説では、2026年度には一時的な利益押し上げ要因も含まれる可能性があり、翌年度の成長率をどう見るかが焦点になると指摘されていた。

参考:Reuters|McKesson profit forecast coverage

LNGでは、GAAP損失とキャッシュフローの違いが大きい

Cheniere Energy(LNG)は、米国LNG輸出の中心企業の一つである。2026年第1四半期の売上高は58億6,800万ドルだったが、Cheniereに帰属する純損失は35億200万ドル、GAAP基本・希薄化後EPSは-16.65ドルとなった。一方で、Consolidated Adjusted EBITDAは23億3,300万ドル、Distributable Cash Flowは16億7,000万ドルだった。LNG輸出は187カーゴ、LNG exportedは688 TBtuだった。

メディア評価:Reutersは、Cheniereの赤字について、長期LNG契約に関連する非現金のデリバティブ評価損が主因だったと報じている。同時に、同社が2026年通期の調整後EBITDA見通しを72.5億ドルから77.5億ドルへ、Distributable Cash Flow見通しを47.5億ドルから52.5億ドルへ引き上げたことも伝えている。Bloombergは、ヘッジ評価損を受けた株価下落を報じており、市場はキャッシュフローの強さと会計上の損失を分けて評価した形である。

参考:Reuters|Cheniere Energy first-quarter loss coverage

テーマ別に見ると、AI・旅行・金融サービス・医薬品が主要軸に

今回の決算をテーマ別に見ると、まずAIとクラウド関連では、Datadog(DDOG)とCloudflare(NET)が高い売上成長を示した。AI投資は半導体やデータセンターだけでなく、監視、セキュリティ、ネットワーク接続、開発者向けサービスにも波及している。ただし、CloudflareのようにAI活用を前提とした人員体制の再編も出ており、成長と効率化が同時に進む段階に入っている。

旅行関連では、Airbnb(ABNB)とExpedia Group(EXPE)がいずれも売上・予約の伸びを示した。米州を中心に需要は底堅いものの、中東情勢に伴うキャンセルや国際旅行の不確実性が短期の予約動向に影響している。旅行需要は強いが、地政学リスクに敏感な業種であることも改めて確認された。

消費・決済では、Block(XYZ)のCash AppとSquareの粗利益成長が目立った。個人向け金融サービス、加盟店決済、AIを使った効率化が同時に進んでおり、単なる決済企業から金融・データ・ソフトウェアを組み合わせた企業へと性格が変わりつつある。一方、Coinbase(COIN)は暗号資産市場の取引量に収益が左右されやすく、サブスクリプション収益の拡大があっても、市況悪化時の利益変動は大きい。

医薬品・ヘルスケアでは、Gilead Sciences(GILD)のHIV製品、McKesson(MCK)の医薬品流通・専門医療支援が安定的な需要を示した。ただし、Gileadでは買収関連費用、McKessonでは一時要因と翌年度見通しの読み方が焦点であり、安定業種であっても利益の質を確認する必要がある。

エネルギーでは、Cheniere Energy(LNG)がLNG需要とキャッシュフローの強さを示した一方、デリバティブ評価損によってGAAP損益が大きく悪化した。LNGのような長期契約・ヘッジを伴う事業では、会計上の損益と実際のキャッシュ創出力が大きく乖離することがある。

まとめ

今回の米国企業決算では、AI関連需要、旅行需要、決済・金融サービス、医薬品、LNGといった複数の分野で、基礎的な需要の強さが確認された。一方で、GAAP損益だけを見ると、Coinbase(COIN)、Cloudflare(NET)、Cheniere Energy(LNG)、Block(XYZ)のように赤字や損失が目立つ企業もあり、調整後指標やキャッシュフローとの違いを丁寧に見る必要がある。

市場が評価したのは、Datadog(DDOG)のようなAI・クラウド関連の成長見通し、Block(XYZ)のCash Appを中心とした粗利益成長、Gilead Sciences(GILD)のHIV製品の強さ、Cheniere Energy(LNG)のキャッシュフロー見通し引き上げである。一方、懸念されたのは、旅行関連における中東情勢の影響、Coinbase(COIN)の取引収益鈍化、Cloudflare(NET)の高い期待値と人員再編、Gileadの買収関連費用、Cheniereのデリバティブ評価損だった。

全体として、今回の決算は「需要はあるが、利益の見え方は複雑」という特徴を持つ。AI投資やクラウド需要の拡大、旅行と消費の底堅さ、医薬品・エネルギーの構造的需要は引き続き確認されたが、各社の利益指標には特殊要因やnon-GAAP調整が多く含まれる。個別企業の評価ではなく、米国経済と市場テーマを読むための材料として整理することが重要である。

本記事は、企業決算資料と主要メディア報道をもとにした情報整理であり、個別銘柄の売買を推奨するものではない。non-GAAP指標、調整後EBITDA、Distributable Cash Flowなどは各社が定義する調整後指標であり、GAAP指標とは同一に扱えない。

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この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー

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