1〜3月GDPは2期連続プラス予測、焦点は4月以降の減速リスク

2026年1〜3月期の実質GDPについて、民間予測では2四半期連続のプラス成長が見込まれている。民間シンクタンク11社はいずれもプラス成長を予測しており、足元の日本経済は一定の底堅さを示す可能性がある。

ただし、これはまだ実績値ではない。内閣府が5月19日に公表するGDP1次速報で確認される数字であり、同時にイラン情勢や原油高、物流網の混乱といった不安材料が本格的に表れる前の姿でもある。今回の焦点は、1〜3月期がどれだけ持ちこたえたかだけでなく、4月以降の景気に減速圧力がどこまで及ぶかにある。

目次

何が予想より底堅いのか

内閣府は2026年1〜3月期のGDP1次速報を、5月19日午前8時50分に公表する予定だ。民間シンクタンク11社の予測では、物価変動の影響を除いた実質GDPがすべてプラス成長となる見通しになっている。

年率換算では、1%未満のプラスが1社、1%台のプラスが7社、2%台のプラスが2社、3%台のプラスが1社だった。中心的な見方は、年率1%台のプラス成長である。

個別の予測にも幅がある。大和総研は前期比年率+2.9%、第一生命経済研究所は同+1.7%を見込んでいる。いずれもプラス成長を予測しているが、どの程度の勢いとみるかには差がある。

ここでいう年率換算は、1四半期の成長ペースが1年間続いた場合にどれくらいになるかを示す表現だ。実際に1年間でその伸びになったという意味ではない。それでも、11社すべてがプラスを見込んでいる点は、足元の日本経済が一定の下支えを得ていることを示す材料になる。

なぜ個人消費が支えになったのか

最も大きい支えは、GDPの半分以上を占める個人消費だ。11社すべてが個人消費のプラスを予測している。

背景には、実質賃金がプラスに転じたことや、国の措置によってガソリン価格が抑えられていることがある。物価上昇で家計の負担感は残るものの、賃金の改善や燃料費の抑制が、消費の急な落ち込みを防いだとみられる。

個人消費は、家計の買い物や外食、旅行、サービス利用などを含む。企業の売上だけでなく、日々の暮らしの手触りに近い部分でもある。ここがプラスを保てるかどうかは、景気全体の見え方を大きく左右する。

輸出の持ち直しはどこまで効いたのか

もう1つの押し上げ要因は輸出だ。こちらも11社すべてがプラスを予測している。

特に注目されているのは、アメリカ向け自動車輸出の持ち直しである。関税措置の影響で落ち込んでいた分が回復し、1〜3月期の成長率を支える要因になったとみられている。

日本経済では、自動車などの輸出が景気に与える影響は大きい。国内の消費が小幅でも、海外向けの出荷が回復すれば、GDP全体を押し上げる力になる。ただし、輸出は相手国の需要や為替、貿易政策の影響を受けやすく、安定した支えとみなせるかは慎重に見る必要がある。

本当に景気回復といえるのか

ここで注意したいのは、今回の数字がまだ民間予測であることだ。「GDPはプラス成長になった」と言い切る段階ではない。実際の結果は、5月19日の内閣府発表で確認される。

加えて、1〜3月期のプラス予測は、先行きの不安を消すものではない。民間予測では、イラン情勢の影響はこの時期には大きく表れておらず、限定的とみられている。一方で、物流網の混乱や原油価格の高騰が企業の生産などに影響し、4月以降の成長率は減速するとの見方が多い。

つまり、今回のGDP予測は「日本経済が力強く回復している」と単純に読むより、「1〜3月期は個人消費と輸出で持ちこたえたが、先行きには不透明感が残る」と読む方が自然だ。

5月19日の速報ではどこを見ればよいのか

GDP速報でまず目に入るのは、成長率がプラスかマイナスかという数字だ。しかし、今回重要なのはその内訳である。

個人消費がどれくらい伸びたのか。輸出の回復はどの程度だったのか。設備投資や在庫の動きは景気の底堅さを示しているのか。それらを見ないまま成長率だけを追うと、実態を見誤りやすい。

特に家計にとっては、GDPがプラスでも生活が楽になったと感じられるとは限らない。物価高が続くなかで、賃金の改善がどれだけ消費を支えられるかが問われる。企業にとっても、原油高や物流コストの上昇が続けば、売上が伸びても利益を圧迫する可能性がある。

GDPは景気の大きな方向を示す指標だが、暮らしや企業活動の細部まで一つの数字で説明できるわけではない。だからこそ、成長率の高さだけでなく、どの項目が支え、どの項目が弱いのかを見る必要がある。

プラス予測の先にあるもの

1〜3月期のGDPが民間予測どおりプラス成長となれば、日本経済の底堅さを示す結果になる。ただし、その数字は中東情勢や原油高の影響が本格化する前の面もある。

今回の注目点は、プラスかどうかだけではない。個人消費と輸出がどの程度まで景気を支えたのか、そして4月以降の減速リスクをどれだけ織り込んで考えるかである。

良い数字は景気を見る入口になるが、それだけで実像を語り切ることはできない。数字の明るさと、その先に残る不安を同時に見ることで、経済の姿は少し立体的に見えてくる。

(本稿は各種公開情報をもとに作成した。一部数値は記事掲載時点の情報である)

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この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー

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