ホルムズ海峡緊迫で原油高、ドル円は157円台 防衛産業・クラレ・AI決算にも注目
ホルムズ海峡をめぐる米国とイランの対立が一段と緊迫し、原油価格は高止まりしている。米国株式市場ではダウ平均、ナスダック総合指数、S&P500がそろって下落し、為替市場ではドル円が157円台で推移している。日本企業では、防衛装備品の輸出拡大や原材料高への対応が焦点となり、企業戦略にも地政学リスクの影響が広がっている。
ホルムズ海峡をめぐる緊張で原油価格は高止まりし、米国株3指数はそろって下落した。為替市場ではドル円が157円台で推移し、日豪の経済安全保障、防衛産業の輸出拡大、クラレの原材料リスク、Uberのホテル予約参入、Palantir決算なども注目材料だ。
ホルムズ海峡をめぐる米国とイランの対立が激化し、WTI原油先物は一時1バレル107ドルをつけた。
米国株3指数はそろって下落。ドル円は157円10銭台で推移し、連休中の薄商いで荒い値動きが続いている。
日豪経済安保、防衛装備品輸出、クラレのナフサ不足リスク、Uberのサービス拡大、Palantir決算が焦点となる。
地政学・エネルギー
ホルムズ海峡で米国とイランの対立激化、原油価格は一時107ドル
ホルムズ海峡をめぐり、米国とイランの対立が激しさを増している。米国は、現在の中東情勢に関与していない国の船舶を対象に、ホルムズ海峡を通過できない船舶の航行を支援する「プロジェクト・フリーダム」を進める方針を示した。
この計画では、軍事作戦に関与していない第三国の船舶を対象に支援を行うとされ、米中央軍は駆逐艦や航空機100機以上、兵士1万5000人が参加すると発表している。
これに対し、イラン側は反発を強めている。イラン軍事当局は、米軍がホルムズ海峡に接近し、侵入しようとすれば攻撃すると警告した。海峡の安全管理はイランが担うとして、すべての商船の通行にはイランとの調整が必要だと主張している。
イラン革命防衛隊に近いメディアは、ホルムズ海峡を通行しようとした米軍艦船がミサイル攻撃を受けたと報じた。一方、米中央軍はこれを否定している。この報道を受け、WTI原油先物価格は急上昇し、一時1バレル107ドルをつけた。
韓国企業運航の貨物船に攻撃情報、海上輸送リスクが拡大
ホルムズ海峡付近では、韓国企業が運航するパナマ船籍の貨物船が攻撃を受けたとの情報も出ている。韓国政府当局者は、情報を確認中だとしており、韓国外務省などによると、船の機関室で爆発があり、火災が発生している。人的被害はないとされている。
攻撃主体は確認されていないが、ホルムズ海峡周辺で商船へのリスクが高まっていることは、原油・LNG・化学品などの海上輸送にとって大きな不安材料となる。
サハリン2のロシア産原油が日本に到着、調達多角化の一環
愛媛県今治市の沿岸には、ロシア産原油を積んだタンカーが到着した。この原油は、三井物産と三菱商事も開発に参画している石油・天然ガス開発事業「サハリン2」で採掘されたものだ。
ホルムズ海峡が事実上封鎖となって以降、ロシアからの初めての輸入となる。経済産業省による調達多角化の一環で、石油元売りの太陽石油が調達した。経産省は、ウクライナ侵攻を理由とした米国などによる経済制裁の対象には含まれないとしている。
強風のため製油所への搬入は見送られたが、今後、製油所でガソリンなどに精製され、出荷される見通しだ。
イラン原油の輸出停止リスク、採掘停止なら再開に時間とコスト
米国側では、海上封鎖によりイランの原油輸出が困難になり、原油貯蔵施設が満杯となれば、採掘停止が起こり得るとの見方が示されている。
ただし、これはあくまで米国側の見立てであり、実態は見極めが必要だ。原油は水道のように簡単に止めたり再開したりできるものではなく、採掘を止めると地下の圧力や設備の状態に影響が出る可能性がある。再開には時間やコストがかかるため、長期化すればイラン経済だけでなく、国際的な原油供給にも影響が及ぶ可能性がある。
米国市場・金利・商品
NY原油先物は104ドル台、米国株3指数はそろって下落
マーケットでは、ニューヨーク原油先物が1バレル104ドル台で取引されている。ホルムズ海峡をめぐる緊張が続く中、原油価格は高止まりしている。
米国株式市場では、主要3指数がそろって下落した。ダウ平均は48,941.90となり、557.37ドル安、下落率は1.13%だった。S&P500は7,200.75で、29.37ポイント安、0.41%下落した。ナスダック総合指数は25,067.80となり、46.64ポイント安、0.19%下落した。
中東情勢の緊迫化を受けた原油高が、インフレ圧力や企業収益への影響として意識されやすい地合いとなっている。
-557.37 / -1.13%
-46.64 / -0.19%
-29.37 / -0.41%
台湾株は史上初の4万台、半導体株が上昇を主導
台湾の代表的な株価指数である加権指数は、4日の終値が40,705.14となり、終値として史上初めて4万を超えた。3連休前の4月30日と比べ、4.6%の大幅上昇となった。
上昇をけん引したのは、半導体大手TSMCや電子機器大手の鴻海精密工業などの半導体関連株だ。AI関連需要への期待が続く中、台湾市場では半導体株への資金流入が強まっている。
為替・円相場
ドル円は157円10銭台、連休中の薄商いで荒い値動き
為替市場では、ドル円が1ドル157円10銭台で推移している。日付が変わった4日も、ドル円が一時円高に振れる場面があった。
日本が大型連休中で国内投資家の参加が少ないため、為替市場では値動きが荒くなりやすい状況にある。短期筋の売買が連鎖的に広がったとの見方がある一方、為替介入があったのではないかと読む市場関係者もいる。
先週木曜日には5兆円規模の介入があったのではないかとの見方もあるが、今回の動きについては、それほど大きくない規模で介入があった可能性を指摘する声もある。実際の有無は確認されていないものの、連休中にも政府が動く姿勢を見せれば、投機筋の円売りを抑える要因になる可能性がある。
海外市場は連休中も開いているため、当面は値動きの荒い状況が続きやすい。
日本経済・国内政策
中東情勢を受けた補正予算、現時点では否定的な考え
高市総理大臣は、訪問先のオーストラリアで記者団に対し、中東情勢を受けた補正予算の編成について、現時点ですぐに必要な状況とは考えていないとの認識を示した。
今年度予算の予備費も活用しながら中東情勢に対応し、経済活動に支障が及ばないよう適切に判断していくとしている。
経済安全保障・防衛産業
日豪首脳会談で経済安保の共同宣言、重要鉱物の供給網多角化へ
高市総理大臣は、オーストラリアのアルバニージー首相と会談し、経済安全保障の強化に向けた共同宣言を発表した。中国によるレアアース輸出規制への対応を念頭に、重要鉱物のサプライチェーンの多角化に取り組むことを確認した。
日豪両国は、安全保障面でも連携を深めている。日本の最上型護衛艦をベースに、オーストラリア海軍の新型艦船を共同開発する契約を先月締結しており、オーストラリアは11隻を導入する計画だ。今後10年間で最大およそ2兆2000億円を投資し、このうち3隻は三菱重工が建造する。日立やNECの製品も搭載される予定だ。
防衛装備品輸出の拡大、関連企業には期待と課題
政府は、防衛装備品の輸出促進へと舵を切っている。先月には、防衛装備品の輸出を制限していた防衛装備移転三原則を改定し、これまで海外に輸出できなかった殺傷能力のある武器についても、協定を結んだ国には輸出できるよう方針を転換した。
背景には、防衛関連事業から撤退する企業が相次いできたことがある。自衛隊だけを顧客とする構造では、生産量が限られ、投資や人材投入も制約されやすい。輸出拡大は、防衛産業の事業基盤を広げる可能性がある。
一方で、課題も残る。防衛産業はESG投資家にとって投資しづらい業種とみられやすく、人道面への懸念が投資判断に影響する場合がある。ダイキン工業やコマツは、煙幕を張ることのできる「白リン弾」を自衛隊の演習向けに製造していたが、欧州の機関投資家が問題視し、保有株を売却する動きがあった。これを受け、ダイキンは製造から撤退し、コマツも販売終了を決めた。
ロシアによるウクライナ侵攻を受け、欧州では防衛産業の重要性が再認識され、投資の動きも広がっている。ただし、日本の防衛産業が事業を拡大するには、収益性、人材、生産体制、投資家の理解といった複数の課題を乗り越える必要がある。
日本企業・素材産業
クラレは創業100年、海外売上高比率8割でグローバル展開
クラレは創業100年を迎えた化学メーカーで、海外売上高比率は8割に達している。2026年12月期は増収増益となり、売上高は過去最高となる見通しだ。
同社は、食品や洗剤の容器に使われる樹脂、ランドセルの人工皮革、液晶パネルに欠かせないフィルムなど、幅広い素材を手がけている。主力製品の一つが、独自開発した樹脂「エバール」だ。気体を遮断する性能が高く、食品容器などに使われ、世界シェアは6割とされる。
イラン情勢悪化でナフサ不足が懸念、原材料高への対応が焦点
クラレにとって足元の懸念は、イラン情勢の悪化によるナフサ不足だ。主力のエバールをはじめ、多くの製品でナフサ由来の原材料を使っており、3月から一部製品の値上げに踏み切っている。
現時点で販売に大きな支障は出ていないとされるが、原料供給への不安は残る。仮にコスト上昇を価格に反映できたとしても、販売数量や顧客との関係を維持できるかは別問題だ。地政学リスクが繰り返される時代において、安定供給をどう守り、コスト上昇にどう対応するかが重要になっている。
セントリーグラスと活性炭を次の成長分野に
クラレが力を入れる素材の一つが「セントリーグラス」だ。ガラスとガラスの間に挟む特殊なプラスチック素材で、従来品に比べて透明度が高く、強度が5倍になるとされる。ガラス張りの建物や歩けるガラス床などに使われ、同社は米国とチェコに生産拠点を持つ。世界シェアは8割とされ、今後の拡大が期待されている。
もう一つの成長分野が活性炭事業だ。米国では、飲料水に含まれる有機フッ素化合物、いわゆるPFAS規制をきっかけに、水を浄化する活性炭の需要が増えている。クラレは活性炭の研究を60年以上続けており、2018年には活性炭の生産量で世界1位の米国企業を買収した。今後、設備強化に1億ドルを投資する計画で、活性炭ビジネスは年率2桁成長を見込んでいる。
米国企業・AI関連
Uberがホテル予約に参入、Expediaとの提携で旅行領域を拡大
米国の配車アプリ大手Uber Technologiesは、ホテル予約サービスへの参入を発表した。Uberアプリ上でホテルを予約できる機能を追加し、まずは米国でサービスを開始する。登録ホテルは世界で70万以上とされ、今後は日本などでも展開する方針だ。
このサービスは、旅行予約サイト大手Expedia Groupとの提携によって実現した。利用者はUberアプリを使うだけだが、裏側ではExpediaのシステムとつながる仕組みになっている。
Uberは最近、他社との提携を進めている。自動運転分野ではGoogle系のWaymoなどと組み、決済ではBlockとの提携を拡大している。配車や宅配にとどまらず、旅行、決済、自動運転を含めた幅広いサービス基盤としての地位を固めようとしている。
Palantir決算に注目、AI時代のSaaS需要が焦点
今日の注目材料として、米国のPalantir Technologiesの決算が挙げられる。AIの進化が急速に進む中、同社が手がけるクラウド型ソフトウェア、いわゆるSaaSが淘汰されるのではないかという懸念が市場にある。
そのため、直近の決算実績に加え、今後の顧客需要をどのように取り込むかが焦点となる。AIを活用して、より付加価値の高いサービスをつくり、成長ストーリーを示せるかが注目される。
原油高が広がる中、米国で発表される経済指標についても、採用スタンスなどに変化が出ていないかを見極める必要がある。
消費・サービス
飲食店の有料ファストパスが広がる、時間に価格をつける新サービス
飲食店の行列を有料で回避できるファストパスサービスが広がり始めている。背景には、長時間並ぶことを避けたいという「タイパ」意識の高まりがある。
横浜の天ぷら専門店では、有料で行列を通過できるサービスを導入している。大人1人750円で行列をパスできる事例があり、利用者が増えるほど価格が上がり、一定時間利用者がいないと価格が元に戻るダイナミックプライシングが採用されている。ファストパスの利用者が増えすぎないよう調整する仕組みだ。
この店舗では2024年8月にサービスを導入し、ファストパス売上が月10万円を超えることもあった。店舗側にとっては、食材高騰や値上げが続く中で、新たな収益源となる可能性がある。
訪日客にも需要、外食・観光・小売に広がる可能性
別の飲食店では、事前に希望時間を指定して予約できる固定料金型のファストパスも導入されている。購入者のうち、およそ20%が訪日観光客とされ、長い行列を避けたい旅行者の需要を取り込んでいる。
ファストパスサービスでは、AIを使って店の混雑や売上を予測する機能も提供され始めている。大丸松坂屋百貨店などを傘下に持つJ.フロント リテイリングは、テーブルチェックへの出資を発表し、外商顧客向けにファストパスを使ったサービスの提供などを検討している。
一方で、有料で行列を回避する仕組みには、金銭的なハードルから恩恵を受けにくい人が出るという課題もある。利用者、非利用者、店舗スタッフのいずれにとっても納得感のある制度設計が求められる。
子どもの運動離れに対応、スポーツメーカーがイベントと商品開発を強化
こどもの日を前に、子どもの運動離れに対応する動きも出ている。東京の明治神宮外苑では、15歳以下の子どもたちが1.3キロを走るランニングイベントが開催された。
スポーツ庁によると、週に7時間以上運動する小学生の割合は、男子・女子ともに年々減少している。スポーツメーカー各社は、イベントだけでなく、子ども向けの運動靴の商品開発にも力を入れている。
アシックスやニューバランスの子ども向けシューズは、色や形の種類が豊富で、普段使いしやすいデザインも増えている。ABCマートでは、靴など子ども向け商品の売上が1年前に比べて1割以上増えている。子どもは成長に合わせて短期間で靴を買い替えるため、メーカーにとっては継続的な需要を見込める市場でもある。
紙の書籍は減少も児童書は増加、絵本市場に底堅さ
東京・上野の公園では、児童書の販売イベントが開かれ、親子ら1万8300人が訪れた。電子書籍の普及などにより、10年間で紙の書籍の売上は4割ほど減少している。一方、児童書はおよそ1割増加している。
今回のイベントには、講談社や小学館など過去最多の85社が出展し、初日は2350万円を売り上げた。絵本は、絵を見て、触って、声で聞くという体験を伴うため、電子書籍に比べて紙の価値が残りやすい分野とみられている。
国際ニュース
英国がEUのウクライナ融資参加を協議へ
英国のスターマー首相は3日、EUによるウクライナへの16兆円規模の融資への参加に向け、協議を始めると発表した。
米国のトランプ政権が欧州の安全保障への関与に消極的なことなどを背景に、英国はEUとの関係を強化し、ウクライナへの軍事支援を進める狙いがある。
バークシャー新トップ、日本企業への投資継続を表明
投資会社バークシャー・ハサウェイは、ウォーレン・バフェット氏がCEOを退任してから初めての株主総会を開いた。新たにトップに就いたグレッグ・アベル氏は、東京海上ホールディングスや総合商社など、日本企業への投資を継続する方針を示した。
中国・杭州で人型ロボット警察官が登場
中国・杭州市では、人型ロボットの警察官が登場し、人間の警察官を引き連れて連休中の公園をパトロールした。集まった人々に武術を披露したほか、詐欺防止の注意喚起なども行った。
今日の主な予定
Palantir決算と米国経済指標に注目
今日の注目材料は、米国のPalantir Technologiesの決算だ。AIの進化が同社のクラウド型ソフトウェア需要にどのような影響を与えるのか、市場の関心が集まる。
また、米国では経済指標の発表も予定されている。原油高が広がる中で、企業の採用スタンスや景気認識に変化が出ているかが注目される。

