東京23区の賃貸家賃が過去最高、なぜ今これほど上がっているのか

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単身者向けの平均募集家賃は11万1922円、22カ月連続で最高値

東京23区の賃貸マンション家賃が、過去最高の更新を続けている。

アットホームが2026年4月22日に公表した2026年3月の募集家賃動向によると、東京23区の単身者向けマンション(30平方メートル以下)の平均募集家賃は11万1922円だった。前年同月比では13.0%上昇し、2015年1月の調査開始以来の最高値を22カ月連続で更新した。出典:NHK記事

上昇は東京だけではない。大阪市は7万3179円で前年同月比9.0%上昇、福岡市は6万5527円で同3.2%上昇となった。今回の調査では、マンション・アパートともに全13エリアの全ての面積帯で前年同月を上回っており、アットホームはこれが2015年1月の調査開始以来初めてだとしている。

まず押さえたいのは「募集家賃」であること

今回の数字は、いま新たに入居者を募集している物件の家賃を集計した「募集家賃」だ。すでに住んでいる人が継続契約で払っている家賃そのものではないため、体感や公的統計とずれて見えることがある。

内閣府は年次経済財政報告で、募集家賃は入居者の入れ替わり時に改定されやすく、CPIの民営家賃より先に動きやすいと整理している。ニュースで大きな上昇が見えても、消費者物価指数の家賃項目では同じペースで直ちに表れないのはこのためだ。

ただし、募集家賃の上昇が続けば、時間差を伴って家計負担や物価統計にも影響しやすくなる。今回のデータは、引っ越しを考える人だけでなく、住居費全体の先行きを見るうえでも見逃しにくい。

背景にあるのは入れ替わり期の家賃改定と管理コストの上昇

アットホームは今回の上昇要因として、管理に必要な人件費などの上昇に加え、春の入居者が入れ替わるタイミングで家賃改定が進んだことを挙げている。

単身者向け物件は、就職や転勤、進学などで入れ替わりが起きやすい。新規契約の比率が高いぶん、家賃改定の影響が表れやすく、今回も東京23区の単身者向けマンションが最も目立つ形になった。

一方で、今回の動きは単身者向けだけの特殊事情ではない。マンション・アパートともに全13エリアの全ての面積帯で前年同月を上回ったことは、住居費の押し上げ圧力が一部地域や一部タイプだけにとどまっていないことを示している。

家賃の上昇は家計だけでなく物価動向にもつながる

家賃は毎月支払いが発生する固定費で、食料品のように購入量をすぐ調整しにくい。募集家賃の上昇が続くと、引っ越しを機に家計負担が一段と重くなりやすい。

内閣府が2026年3月31日に公表した「今週の指標 No.1408」では、東京都区部の2026年2月の民営家賃の前年同月比は2.2%と、1994年以来の水準になったと整理している。募集家賃の急伸と比べれば緩やかだが、公的統計側でも住居費の上昇が見え始めていることになる。

募集家賃の上昇は、単なる不動産ニュースでは終わらない。住まいの確保にかかる負担が増していることに加え、サービス物価の底上げがどこまで続くのかを考える材料にもなっている。

まとめ

  • 東京23区の単身者向けマンションの平均募集家賃は、2026年3月に11万1922円となり、22カ月連続で過去最高を更新した。
  • 大阪市と福岡市も上昇し、マンション・アパートともに全13エリアの全ての面積帯で前年同月を上回った。
  • 背景として、アットホームは管理に必要な人件費などの上昇と、春の入れ替わり時期の家賃改定を挙げている。
  • 今回の数字は募集家賃であり、継続契約の家賃とは異なるが、住居費や物価動向の先行きを考えるうえで重要なサインといえる。

(本稿は各種公開情報をもとに作成しました。一部数値は記事掲載時点の情報です)

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この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー

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