【5月9日解説】日経平均3万7500円台回復──関税懸念の後退と企業の自信

日本株市場が大きく反発し、日経平均株価は約1カ月半ぶりに心理的な節目である3万7000円台を回復しました。背景には、米国の関税政策を巡る懸念が和らいだことに加え、日本企業による堅調な業績見通しや積極的な自社株買いの動きが、市場のセンチメントを押し上げた格好です。特に、米英の貿易協定締結や関税緩和観測が投資家心理を支え、海外勢による先物買いが相場全体を後押ししました。企業側も関税リスクをある程度織り込みつつ、株主還元を強化する姿勢を見せており、先行きに対する楽観ムードが広がりつつあります。

  • 📊 2025年5月9日の日経225の値動き
    • 始値:37,332.57
    • 高値:37,557.41
    • 安値:37,219.03
    • 終値:37,503.11
    • 前日比:+574.70円
    • 騰落率:+1.56%

📈 市場概況:日経平均、1カ月半ぶりの大台回復

  • 終値:37,503円33銭(前日比 +574円70銭、+1.56%)
  • TOPIX:2733.49(+34.77、+1.29%)※11連騰、2017年以来
  • 売買代金:5兆7309億円(約1カ月ぶりの高水準)
  • 騰落銘柄数:上昇1282/下落311/横ばい42

3月末以降に弱含んでいた日本株ですが、4月7日の年初来安値(3万1136円)からの**上昇率は20%**に達し、完全に反転局面へ。


🏛 材料①:関税リスクの緩和とトランプ政策の修正観測

  • 米英が8日、貿易協定に合意
  • トランプ前大統領が対中関税(145%)の引き下げを検討中との報道
  • 世界的な関税リスクの後退が、「業績懸念」の修正へ

これにより「トランプ関税」による悪影響を織り込み済みと判断する投資家も増加。野村証券はTOPIXの2025年末予想を2800ポイント(+100pt)へ上方修正


🏢 材料②:企業業績の堅調と自社株買いの増加

  • トヨタ:今期の連結純利益が35%減るとの減益予想(▲35%)でも株価崩れず。
  • IHI:今期も最高益予想、株価は一時+5.5%高で35年ぶり高値
  • 三菱電機、伊藤忠:今期最高益予想
  • 自社株買い:4月決議は前年比3.1倍の3.8兆円(過去最高)

企業側も、関税リスクに備えた柔軟な資本政策を提示。株主還元強化が海外投資家からの買い材料となりました。


💴 為替・金利環境:円安・金利上昇が追い風

  • ドル/円:145.31~33円(円は一時146円台まで下落)
  • 10年債利回り:1.360%(+0.035%)
  • 背景:株高でリスク選好強まり、「安全資産」である債券は売り優勢

急速な円安も、自動車など輸出関連銘柄にとってはプラス材料。輸出株に資金流入が強まりました。


🧭 今後の注目ポイント

  • 関税交渉の行方:特に日米・米中協議の進展次第で相場の変動余地あり
  • 企業決算の本格化:減益予想が織り込まれる中での各社の戦略に注目
  • ドル円動向:為替市場での介入警戒感や政策発言にも注意が必要

📝 編集後記

関税リスクの後退は確かに好材料だが、トランプ政権の政策は変動性が高いため、再燃の可能性も否定できません。市場は今、「政策期待」と「実態経済」のはざまで、比較的前向きな読みをしている段階といえるでしょう。

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この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー

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