秋の味覚として親しまれてきたサンマが、食卓から遠のいている。値段は上がり、店頭に並ぶ量も減った。その背景には海の変化だけでなく、国際交渉の重みがある。大阪市で開かれている北太平洋漁業委員会(NPFC)の年次会合は、サンマ資源の回復と今後の供給を左右する重要局面になっている。
大阪で開かれているNPFC会合とは何か
2026年4月14日から17日にかけて、大阪市でNPFCの年次会合が開かれている。NPFCはNorth Pacific Fisheries Commissionの略で、北太平洋の公海における水産資源の保存と管理を担う国際機関だ。日本、中国、ロシア、チャイニーズ・タイペイなど9つの国・地域が参加し、サンマを含む広域回遊魚の管理ルールを協議している。
サンマは日本近海だけで完結する魚ではない。公海と各国の排他的経済水域をまたいで回遊するため、日本だけが漁獲を抑えても資源回復の効果は限られやすい。だからこそ、複数の国・地域が同じテーブルにつき、漁獲上限や管理ルールをそろえる必要がある。
前年は10%削減で合意、それでも資源はなお低水準
NPFCは2025年の会合で、サンマの海域全体の年間漁獲上限を前年比10%減の20万2500トンに引き下げた。一定の前進だったが、資源状態はなお楽観できない。
NPFCが公表した2025年の資源評価では、サンマ資源量はBMSYを下回る低水準にあると整理されている。一方で漁獲圧はFMSY近傍とみられており、強い断定は避けるべき局面だが、なお回復を優先すべき状態にあるという読みが中心だ。今回の会合では、この科学的整理を踏まえ、上限をさらに10%減の18万2250トンに引き下げるかどうかが焦点になっている。
日本は削減を目指すが、交渉は一筋縄ではいかない
日本政府は、NPFCが定めた漁獲管理ルールに沿って、サンマの漁獲上限をさらに削減する方向を目指している。4月14日の鈴木農林水産大臣会見でも、資源量が低い水準にあることを踏まえ、漁獲上限の削減が行われることを目指す考えが示された。
ただ、会合の争点は単純な賛否だけではない。公海部分の配分や管理ルールの運用をどう詰めるかも論点になる。一部報道では、中国など一部の国・地域が削減に慎重な姿勢だと伝えられており、参加国の利害がぶつかりやすい構図がにじむ。
日本のサンマ漁獲量はピークから大きく落ちた
日本のサンマ漁獲量は長期で大きく落ち込んできた。農林水産省や水産庁の統計資料では、2008年に約35万トンだった漁獲量が、2020年には約3万トンまで減少した。その後はやや持ち直しもみられるが、ピーク時の水準には遠い。
背景は一つではない。資源そのものの減少に加え、漁場の沖合化、公海での外国船操業の拡大、海洋環境の変化が重なっているとみられる。サンマ不漁は国内漁業者だけの努力で解決できる話ではなく、国際管理の成否が大きく関わるテーマになっている。
今回の会合で見るべきポイント
今回の会合で注目すべきなのは、単に上限が減るかどうかだけではない。科学的な勧告に沿った資源管理を参加国が共有できるか、短期的な漁獲確保より中長期の資源回復を優先できるかが問われている。
サンマは日本の食卓に近い魚だが、その将来は大阪の会議室だけで決まるわけでも、日本だけで決められるわけでもない。4月17日まで続くNPFC大阪会合は、国際ルールが日本の水産資源と価格、供給にどう波及するかを映す場になっている。
(本稿は各種公開情報をもとに作成しました。一部数値は記事掲載時点の情報です)

