利子所得と配当所得の違いとは?預金利息・株式配当・投資信託の税金を整理

預金利息、株式配当、投資信託の分配金、NISA口座で受け取る配当。どれも金融商品から入ってくるお金に見えるが、所得税では同じ入口から扱われるわけではない。

この違いは、預金、株式、投資信託、NISA口座を持つ人に関係する。所得区分が変わると、源泉徴収、確定申告、NISAでの非課税扱い、税引後の手取りの考え方が変わるためだ。

この記事では、個別の節税判断や投資商品の選び方ではなく、金融収入を取り違えないための地図として、利子所得と配当所得の違いを整理する。税率を暗記するより、まず「何の対価として受け取ったお金か」を分けて考えると理解しやすい。

目次

預金利息と株式配当は、同じ金融収入でも所得区分が違う

所得税では、収入の種類ごとに所得区分が分かれる。給与は給与所得、不動産賃貸収入は不動産所得、株式や投資信託を売って得た利益は譲渡所得側の論点になる。

金融商品からの収入も同じだ。預貯金や公社債から受け取る利子は、主に利子所得として整理される。一方、会社の利益配当や一定の投資信託の収益分配は、配当所得として扱われる。

ここで大切なのは、商品名だけで判断しないことだ。銀行にお金を預けた対価なのか、会社の利益分配なのか、保有商品を売却した値上がり益なのか。収入の性質を分けることが、税金の扱いを理解する出発点になる。

利子所得は、預金や債券などから受け取る利子に関する区分

利子所得の典型は、銀行預金や定期預金の利息だ。国税庁の説明では、預貯金や公社債の利子、公社債投資信託などの収益分配に係る所得が利子所得として整理されている。

利子所得の金額は、原則として源泉徴収前の収入金額そのものになる。預貯金の利子では、支払い時に所得税・復興特別所得税15.315%と地方税5%、合計20.315%が差し引かれ、源泉分離課税で課税関係が完結するケースが多い。

源泉分離課税とは、支払い時の源泉徴収によって課税関係が終わり、原則として確定申告に含めない方式を指す。預金利息が口座に入った時点で、すでに税金が差し引かれていることが多いのはこのためだ。

ただし、公社債や公社債投資信託を含む商品では、預金利息と同じ扱いとは限らない。平成28年1月1日以後に支払いを受ける特定公社債等の利子等は、申告分離課税や申告不要の選択が関係する場合がある。

配当所得は、会社や一定の投資信託から受け取る利益分配に関する区分

配当所得は、法人から受ける利益配当、剰余金の分配、一定の投資信託の収益分配などに係る所得として整理される。上場株式の配当金は、一般に配当所得の代表例だ。

配当所得の金額は、源泉徴収前の収入金額から、株式などを取得するための一定の借入金利子を差し引いて計算する。差し引ける借入金利子は、配当所得を生ずべき元本の保有期間に対応する部分に限られる。

上場株式等の配当等では、所得税・復興特別所得税15.315%と地方税5%を合わせた20.315%が源泉徴収される。一方、上場株式等以外の配当等では、所得税・復興特別所得税20.42%が源泉徴収され、この段階では地方税は源泉徴収されない。

配当所得で特徴的なのは、源泉徴収だけで終わるとは限らない点だ。一定の上場株式等の配当等では、総合課税、申告分離課税、申告不要制度が関係する。どの方法が適しているかは、所得状況、株式の譲渡損失、配当控除、住民税などによって変わるため、一律にはいえない。

投資信託の分配金は、名前ではなく種類と中身で分ける

投資信託の分配金は、特に混同しやすい。分配金という名前だけでは、利子所得なのか配当所得なのか、あるいは課税される利益の分配なのかまでは分からない。

国税庁の整理では、公社債投資信託や公募公社債等運用投資信託の収益分配は、利子所得に含まれる。一方、これら以外の一定の投資信託の収益分配は、配当所得に含まれる場合がある。

株式投資信託では、普通分配金と元本払戻金も分けて考えたい。普通分配金は運用収益から支払われる性質を持つ一方、元本払戻金は投資元本の一部が戻る性質の分配金で、利益の分配とは異なる。

つまり、投資信託では「分配金が出た」という事実だけでは税務上の扱いは決まらない。公社債中心の商品なのか、株式投資信託なのか、分配金が利益にあたるのか元本の払い戻しにあたるのかを分けることが、手取り額や申告の考え方を整理する材料になる。

NISAの配当非課税は、商品と受取方式を分けて確認する

NISAは、一定の条件のもとで、上場株式や投資信託などから生じる配当等や譲渡益を非課税にする制度だ。ただし、NISA口座で保有していれば、どの配当・分配金も同じ手続きで非課税になるわけではない。

上場株式、ETF、REITの配当・分配金をNISA口座で非課税として受け取るには、証券会社の取引口座で受け取る「株式数比例配分方式」を選ぶことが条件とされている。別の受取方式を選んでいる場合、NISA口座で保有していても課税扱いになる場合がある。

一方、株式投資信託の分配金は、株式数比例配分方式の手続きなしでもNISA口座内で非課税になると日本証券業協会は説明している。ここを混同すると、「NISAの配当」とひとまとめにして誤解しやすい。

NISAではもう一つ、損失の扱いも通常の課税口座と異なる。NISA口座内で生じた損失は、課税口座の利益との損益通算や繰越控除には使えない。本記事の中心は利子所得と配当所得の整理だが、NISAは非課税部分だけでなく、受取方式と損失処理もあわせて確認したい制度といえる。

最初に分けたいのは、利子・配当・分配金・売却益

金融商品の税金を整理するときは、次のように受け取るお金の性質を分けると見通しがよくなる。

  • 利子 預金利息、公社債の利子など。主に利子所得として整理される。
  • 配当 上場株式の配当金、法人から受ける利益配当など。主に配当所得として整理される。
  • 分配金 投資信託から支払われるお金。公社債投資信託等か、それ以外の投資信託か、普通分配金か元本払戻金かで扱いが変わる。
  • 売却益 株式や投資信託を売って得た利益。配当所得ではなく、譲渡所得側の論点として分ける。

同じ20.315%という数字が出てきても、預金利息と上場株式等の配当では制度上の位置づけが違う。税率だけを見るのではなく、所得区分、口座区分、受取方式を合わせて確認すると、確定申告やNISAの説明も理解しやすくなる。

申告方法を選ぶ前に、所得区分を分けて考える

配当所得では、総合課税、申告分離課税、申告不要制度という言葉が出てくる。総合課税は他の所得と合算して税額を計算する方式、申告分離課税は他の所得と分けて税額を計算する方式、申告不要制度は一定の配当等について確定申告に含めない選択ができる制度だ。

ただし、どの方法が有利かは個別事情で変わる。給与所得や事業所得の金額、株式の譲渡損失、配当控除の対象になるか、住民税や社会保険料への影響など、複数の条件が絡む。

その前段階として重要なのは、預金利息、株式配当、投資信託分配金、売却益を一つの「投資の利益」としてまとめないことだ。利子所得、配当所得、譲渡所得、NISA口座での扱いを分けておくと、制度の説明を読んだときに、自分がどの論点を確認しているのかが見えやすくなる。

金融商品の税金は、商品名よりも収入の中身から入ると整理しやすい。預けたお金の対価なのか、会社や投資信託の利益分配なのか、売却による利益なのか。そこを分けることが、税引後の手取りや申告方法を確認するための最初の地図になる。

出典・参考

主な参照資料

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この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー

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