売上増でも利益半減へ スカイマークに迫る燃油高と価格転嫁の壁

スカイマーク(9204)の業績見通しは、航空会社にとって「売上が増えれば利益も増える」とは限らない現実を示している。

同社は2026年5月15日、2027年3月期の最終利益が前期比51.2%減の8億円になる見通しを明らかにした。新たな機材の導入や便数の増加により、売上高にあたる事業収益は9.4%増の1208億円を見込む。それでも、航空燃料や整備費の上昇が重く、最終利益は大きく落ち込む計画だ。

前期にあたる2026年3月期の事業収益は、前の年度より1.4%増えて1104億円だった。一方、最終利益は23.7%減の16億円にとどまった。会社は今期も減益を見込んでおり、見通しどおりなら4期連続の減益となる。

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売上が増えても利益が減る理由

今回の見通しで目立つのは、事業収益が増える一方で、最終利益が半分近くまで減る点だ。

航空会社は便数を増やせば、利用者数や運賃収入を伸ばしやすい。しかし、同時に燃料費、整備費、人件費、空港使用料などの負担も増える。特に燃料費は原油価格や為替、中東情勢などの影響を受けやすく、会社の努力だけで抑えにくい費用である。

スカイマークは、減益を見込む理由として、中東情勢を受けた航空燃料の高騰や、整備費などの上昇を挙げている。飛行機を多く飛ばして売上を伸ばしても、1便あたりのコストが重くなれば、利益は残りにくくなる。

価格転嫁しにくい中堅航空会社の難しさ

本橋学社長は会見で、原油価格の高騰など厳しい事業環境に加え、ビジネス需要が伸びず、大手航空会社や中堅航空会社、LCCとの競争でコストに見合った運賃にしにくい構造があったと説明した。そのうえで、利用者の理解を得ながら価格転嫁を進め、収益体質を強化したい考えを示した。

ここで重要なのは、スカイマークが国内線を中心とする中堅航空会社だという点である。同社は東証グロース上場の空運会社で、証券コードは9204。大手航空会社のような広い国際線網や大規模なマイレージ経済圏を持つわけではなく、LCCのように低価格を前面に出す会社とも競争する。

運賃を上げすぎれば、価格に敏感な利用者が他社に流れる可能性がある。一方で、運賃を十分に上げられなければ、燃油費や整備費の上昇を吸収できない。スカイマークは「安さ」と「採算」の間で、難しい調整を迫られている。

燃油高は航空業界共通の重荷

燃油高はスカイマークだけの問題ではない。航空会社にとって燃料費は、収益を大きく左右する代表的なコストである。原油価格が上がれば、国際線を運航する大手航空会社だけでなく、国内線中心の航空会社にも影響は及ぶ。

大手航空会社には、国際線の燃油サーチャージや燃料価格の変動に備えるヘッジ、幅広い路線網などで影響を分散しやすい面がある。これに対し、スカイマークのような国内線中心の会社は、競争環境の中で運賃に転嫁できる余地が相対的に限られやすい。

そのため、今回の減益見通しは一社の決算にとどまらない。燃油高や整備費上昇が続くなかで、航空会社がどこまで運賃に転嫁し、利用者の納得を得ながら収益を守れるかという論点を映している。

社長交代で収益体質を変えられるか

スカイマークでは、6月下旬に本橋社長が退任し、現在は社外取締役で、地域航空会社フジドリームエアラインズの会長などを務めた経験がある三輪徳泰氏が新社長に就任する予定だ。

経営トップの交代は、収益力をどう立て直すかという文脈でも注目される。便数を増やして事業収益を伸ばすだけでなく、燃料費や整備費が高い環境でも利益を残せる体質に変えられるかが問われる。

スカイマークにとって今期の焦点は、需要を取り込みながら、どこまで価格転嫁を進められるかにある。利用者側から見ても、運賃がどう動くかは身近な関心事になりうる。燃油高が続くなかで、航空会社の収益改善と利用しやすい価格の両立は、これまで以上に難しいテーマになっている。

売上が増えるのに利益が減る。今回のスカイマークの見通しは、航空会社の経営が燃料価格と競争環境に大きく左右されることを、わかりやすく示している。

(本稿は各種公開情報をもとに作成した。一部数値は記事掲載時点の情報である)

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この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー

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