【4月30日発表】主要企業決算まとめ|Apple・Caterpillar・Eli Lilly | FPTRENDY

Apple・Caterpillar・Eli Lilly決算に見る米国企業収益の現在地――端末需要、設備投資、医薬品需要が映す景気の断面

2026年4月30日、Apple(NASDAQ:AAPL)、Caterpillar(NYSE:CAT)、Eli Lilly(NYSE:LLY)の3社が四半期決算を発表した。いずれも米国を代表する大企業だが、事業領域は大きく異なる。Appleはスマートフォンとサービスを軸にした消費・テクノロジー企業、Caterpillarは建設機械や資源・エネルギー関連設備を担う産業機械メーカー、Eli Lillyは糖尿病・肥満症治療薬を中心に成長する製薬会社である。

今回の決算は、単に3社の業績を並べるだけでなく、米国企業の収益環境を複数の角度から見る材料になる。Appleでは端末需要とサービス収入、Caterpillarでは設備投資やインフラ関連需要、Eli Lillyでは医薬品需要、とりわけGLP-1関連製品の成長が焦点となった。

全体としては、米国企業の収益が一様に強いというよりも、成長の源泉が分野ごとに分かれている点が目立つ。消費関連では高付加価値端末やサービス、産業分野では販売数量と価格実現、医薬品分野では特定治療領域の需要拡大が、それぞれ業績を押し上げている。

主要3社の決算概要

Apple(NASDAQ:AAPL)

対象四半期2026年度第2四半期
売上高1,111.84億ドル
純利益295.78億ドル
希薄化後EPS2.01ドル
主な焦点iPhoneとサービス

Caterpillar(NYSE:CAT)

対象四半期2026年第1四半期
売上高および収益174億ドル
前年同期比22%増
1株利益5.47ドル
調整後EPS5.54ドル

Eli Lilly(NYSE:LLY)

対象四半期2026年第1四半期
売上高197.99億ドル
前年同期比56%増
報告ベース純利益73.96億ドル
報告ベースEPS8.26ドル

Apple(NASDAQ:AAPL)は、2026年度第2四半期の売上高が1,111.84億ドル、純利益が295.78億ドル、希薄化後EPSが2.01ドルだった。会社発表では、四半期売上高は前年同期比17%増、希薄化後EPSは22%増とされている。サービス売上は309.76億ドルとなり、過去最高と説明された。加えて、四半期配当を1株あたり0.27ドルに引き上げ、最大1,000億ドルの追加自社株買い枠を承認した。Appleの公式発表でも、3月四半期として売上高、iPhone売上、EPSが記録的水準だったことが示されている。

Caterpillar(NYSE:CAT)は、2026年第1四半期の売上高および収益が174億ドルとなり、前年同期の142億ドルから22%増加した。増収の主因として、23億ドルの販売数量増と4.26億ドルの価格実現が挙げられている。1株利益は5.47ドル、調整後EPSは5.54ドルだった。調整後EPSおよび調整後営業利益率はnon-GAAP指標であり、会社側はリストラクチャリング費用を除外していると説明している。公式資料でも、売上高および収益が174億ドル、すなわち17.4 billion dollarsであること、前年同期比22%増であることが確認できる。

Eli Lilly(NYSE:LLY)は、2026年第1四半期の売上高が197.99億ドル、前年同期比56%増となった。報告ベースの純利益は73.96億ドル、希薄化後EPSは8.26ドルだった。non-GAAPベースでは純利益が76.63億ドル、希薄化後EPSは8.55ドルである。Mounjaroの売上は86.62億ドル、Zepboundの売上は41.60億ドルとなり、会社側はMounjaroとZepboundの販売数量増が成長の主因だったと説明している。また、2026年通期の売上高見通しを820億〜850億ドル、non-GAAP EPS見通しを35.50〜37.00ドルへ引き上げた。会社発表でも、売上増は販売数量の増加が主因で、実現価格の低下が一部相殺したと説明されている。

Apple――iPhoneとサービスが支えた成長

Apple(NASDAQ:AAPL)は、iPhone、Mac、iPad、ウェアラブル機器、サービス事業を展開する米国のテクノロジー企業である。今回の決算では、iPhone売上が569.94億ドル、Mac売上が83.99億ドル、iPad売上が69.14億ドル、Wearables, Home and Accessories売上が79.01億ドルとなった。製品売上は802.08億ドル、サービス売上は309.76億ドルであり、ハードウェアとサービスの両面が業績を支えた形である。

Appleの主要数値

売上高1,111.84億ドル
製品売上802.08億ドル
サービス売上309.76億ドル
純利益295.78億ドル
希薄化後EPS2.01ドル

製品別売上

iPhone569.94億ドル
Mac83.99億ドル
iPad69.14億ドル
Wearables, Home and Accessories79.01億ドル

株主還元

追加自社株買い承認枠最大1,000億ドル
四半期配当1株あたり0.27ドル

メディア評価:Appleの決算で評価された点は、iPhoneとサービスの強さが同時に確認されたことである。Reutersは、Appleの売上高とEPSが市場予想を上回り、株価が上昇したと報じている。また、サービス売上が309.8億ドル規模に達したこと、1,000億ドルの自社株買い枠を承認したことも市場の安心材料として整理されている。

一方で、今後の確認点はAI戦略と成長の持続性である。Appleは端末販売とサービス収入で堅調な結果を示したが、AI関連の収益貢献は今回の資料だけでは切り出せない。市場では、iPhoneの買い替え需要が一時的なものにとどまるのか、AI機能やサービスとの組み合わせによって継続的な成長につながるのかが注目されている。Bloombergも、iPhone売上や自社株買い、増配に市場の関心が向かったことを伝えている。

参考:Apple公式発表Reuters報道Bloomberg報道

Caterpillar――販売数量と価格実現が押し上げた産業需要

Caterpillar(NYSE:CAT)は、建設機械、鉱山機械、エンジン、発電関連製品、金融サービスなどを展開する産業機械メーカーである。同社の決算は、建設、資源、エネルギー、インフラ関連の設備投資動向を見るうえで参考になる。

今回の決算では、売上高および収益が174億ドルとなり、前年同期比22%増加した。会社側は、23億ドルの販売数量増と4.26億ドルの価格実現を増収要因として示している。営業利益率は17.7%、調整後営業利益率は18.0%だった。企業全体の営業キャッシュフローは19億ドル、四半期末の企業現金は41億ドルである。同四半期には50億ドルを自社株買い、7億ドルを配当に充てた。

Caterpillarの主要数値

売上高および収益174億ドル
前年同期比22%増
1株利益5.47ドル
調整後EPS(non-GAAP)5.54ドル

利益率・キャッシュフロー

営業利益率17.7%
調整後営業利益率18.0%
企業営業キャッシュフロー19億ドル
四半期末の企業現金41億ドル

株主還元

自社株買い50億ドル
配当7億ドル

メディア評価:市場で評価された点は、売上高の伸びと調整後EPSの強さである。Investing.comは、Caterpillarの第1四半期決算について、売上高が前年同期比22%増となり、調整後EPSも市場予想を上回ったと整理している。販売数量の増加と価格実現が成長を支えた点は、産業需要の底堅さを示す材料と受け止められた。

一方で、懸念点は需要の持続性とコスト環境である。Caterpillarは景気循環の影響を受けやすい企業であり、建設、資源、エネルギー関連の需要がどこまで続くかは今後の確認点になる。また、調整後指標にはリストラクチャリング費用の除外が含まれているため、報告ベースの利益と調整後利益を分けて見る必要がある。Reutersは過去の報道で、CaterpillarについてAI関連の電力設備需要が追い風になる一方、関税コストなどが利益率の重しになり得ると報じており、設備投資関連企業を見るうえでは需要とコストの両面が重要になる。

参考:Caterpillar決算資料Investing.com報道Reuters報道

Eli Lilly――MounjaroとZepboundが成長をけん引

Eli Lilly(NYSE:LLY)は、糖尿病、肥満症、免疫、がん、神経疾患などの領域で医薬品を開発・販売する製薬会社である。近年は、MounjaroやZepboundといったインクレチン関連製品の売上動向が特に注目されている。

今回の決算では、売上高が197.99億ドルとなり、前年同期比56%増加した。Mounjaro売上は86.62億ドル、Zepbound売上は41.60億ドルであり、それぞれ前年同期比で大きく伸びた。報告ベースの希薄化後EPSは8.26ドル、non-GAAPベースの希薄化後EPSは8.55ドルだった。なお、2026年第1四半期の報告ベースおよびnon-GAAP EPSには、買収関連のIPR&D費用0.52ドルが含まれている。

Eli Lillyの主要数値

売上高197.99億ドル
前年同期比56%増
報告ベース純利益73.96億ドル
報告ベース希薄化後EPS8.26ドル

non-GAAP指標

non-GAAP純利益76.63億ドル
調整後EPS(non-GAAP)8.55ドル
報告ベース実効税率16.4%
non-GAAP実効税率16.5%

主力製品・通期見通し

Mounjaro売上86.62億ドル
Zepbound売上41.60億ドル
2026年通期売上高見通し820億〜850億ドル
2026年通期non-GAAP EPS見通し35.50〜37.00ドル

メディア評価:市場が評価したのは、GLP-1関連製品の需要の強さと通期見通しの引き上げである。Reutersは、Eli Lillyが肥満症・糖尿病治療薬の需要拡大を背景に、2026年通期の利益および売上高見通しを引き上げたと報じている。MounjaroとZepboundの売上が市場予想を上回ったことも、株価上昇の要因として整理されている。

Barron’sも、Eli Lillyの決算について、MounjaroとZepboundの販売拡大、調整後EPSの市場予想超過、通期見通しの引き上げを評価材料として報じている。一方で、GLP-1製品への依存度が高まるほど、価格引き下げ圧力、供給能力、競合薬の動向が今後の重要な確認点になる。

参考:Eli Lilly決算発表Reuters報道Barron’s報道

決算から見える経済テーマ

今回の3社決算からは、米国経済の複数のテーマが浮かび上がる。

  • Apple:消費とデジタルサービスの底堅さが確認された。iPhone売上とサービス売上が伸びたことは、高価格帯端末やアプリ経済圏、サブスクリプション型収入が引き続き重要な収益源であることを示している。一方で、AI投資やクラウド収入そのものは今回の資料から直接切り出せないため、AIが業績にどの程度寄与しているかは慎重に見る必要がある。
  • Caterpillar:設備投資と産業需要が焦点になる。売上高の増加は、販売数量の伸びと価格実現によって説明されており、建設、資源、エネルギー関連の需要が同社の業績に反映された。ただし、産業機械は景気循環や金利、資源価格、インフラ投資の影響を受けやすい。今回の強い数字がどの程度持続するかは、今後の受注、ディーラー在庫、利益率の推移を確認する必要がある。
  • Eli Lilly:医薬品需要、とりわけ肥満症・糖尿病領域の成長が際立った。MounjaroとZepboundの売上増加は、個別企業の成長にとどまらず、医療費、保険償還、生活習慣病対策、製薬業界の競争構造にも関わるテーマである。一方で、non-GAAP指標や買収関連IPR&D費用を含む利益指標については、報告ベースとの違いを分けて確認する必要がある。

まとめ

Apple、Caterpillar、Eli Lillyの決算は、米国企業の収益環境が分野ごとに異なる形で強さを見せていることを示した。AppleはiPhoneとサービス、Caterpillarは販売数量と価格実現、Eli LillyはMounjaroとZepboundを中心とする医薬品需要が業績を支えた。

一方で、すべてを単純に「好決算」とまとめるのは適切ではない。AppleではAI戦略と成長持続性、Caterpillarでは設備投資需要とコスト環境、Eli Lillyでは価格圧力やGLP-1製品への依存度が今後の確認点になる。今回の決算は、米国企業の収益がどの分野で伸び、どの分野にリスクが残っているのかを読むための材料として位置づけられる。

注記:Caterpillarの調整後EPSおよび調整後営業利益率、Eli Lillyのnon-GAAP純利益およびnon-GAAP EPSは、会社側が示す調整後指標であり、報告ベースの数値とは定義が異なる。Eli Lillyの2026年第1四半期EPSには、買収関連のIPR&D費用0.52ドルが含まれている。

本記事は、企業の決算資料と報道情報をもとに、企業業績と市場テーマを整理したものであり、特定の個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー

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