FRB・日銀が金利据え置き 原油高と円安160円台、米テック決算を整理

FRB・日銀が政策金利を据え置き 原油高と円安160円台、米テック決算が焦点に

FOMCと日銀の金融政策決定会合はいずれも政策金利の据え置きとなった。ただし、米国では利下げ継続への異論が強まり、日本では利上げを求める反対票が増えるなど、日米の金融政策は次の局面に向けて分岐点を迎えている。
中東情勢を背景に原油価格は大きく上昇し、ドル円相場は一時1ドル=160円40銭台まで円安が進んだ。米国では主要テック企業の決算が相次ぎ、AI需要の強さと設備投資負担への警戒が同時に意識されている。

この記事のポイント:
FRBと日銀はいずれも政策金利を据え置いたが、米国では利下げ継続への異論、日本では利上げを求める反対票が目立った。原油高と円安160円台が市場の焦点となり、米テック決算ではAI需要の強さと設備投資負担への警戒が同時に意識されている。
金融政策

FOMCはFF金利を3.5%〜3.75%に据え置き。日銀も政策金利0.75%程度を維持した。

市場動向

ドル円は一時160円48銭まで円安が進行。原油価格は中東情勢を背景に上昇した。

企業決算

Microsoft、Amazon、Alphabet、Metaの決算が相次ぎ、AI需要と設備投資が焦点となった。

1

米国金融政策・FRB

FOMC、政策金利を3会合連続で据え置き

FRBはFOMCで、政策金利の指標であるフェデラルファンド金利を3.5%〜3.75%に据え置いた。政策金利の据え置きは3会合連続となる。

FF金利 3.5%〜3.75%
据え置き回数 3会合連続
反対 合わせて4人

今回の判断では、イラン情勢に伴うガソリン価格などの急騰を受け、物価高への懸念が強まっている。利下げを求める反対票が1人から出た一方、地区連銀総裁3人は金利据え置きを支持しつつも、声明に将来的な金融緩和を示唆する文言を残すことに反対した。

FOMCの決定に対して合わせて4人が反対したのは1992年以来とされ、FRB内部で利下げ継続をめぐる見方の分断が強まっている。

利下げ期待は後退する可能性

声明には、FF金利のさらなる調整の程度やタイミングを検討するとの文言が残った。これを追加利下げの余地を示す表現と見る向きがある一方、今回の会合では、この緩和方向の表現を中立的な表現に戻すべきだとの反対意見も出た。

イラン情勢と原油価格の上昇を背景に、年内のFRB利下げは以前ほど確実ではなくなったとの見方がある。ガソリン価格や航空運賃への影響も意識されており、エネルギーショックが一時的にとどまるか、長期化するかが今後の焦点となる。

パウエル氏、議長退任後もFRB理事に残留へ

パウエル氏は、5月15日にFRB議長としての任期を終えた後も、当面はFRB理事として職務を続ける意向を示した。自身は新議長を尊重し、理事としては目立たない立場に徹する考えも示している。

一方で、議長経験者が理事として残ることは異例であり、FRB内部の政策運営や中央銀行の独立性をめぐる議論につながる可能性がある。

米国ではインフレ重視の姿勢が強まる可能性

米国では3月の消費者物価指数が前月比0.9%上昇し、インフレへの警戒が続いている。一方、ミシガン大学の消費者態度指数は1952年の調査開始以来の最低水準となり、消費者心理の悪化も意識されている。

3月CPI 前月比0.9%上昇
消費者態度指数 1952年の調査開始以来最低
政策の焦点 インフレ抑制

ただし、景気指標が大きく悪化しているわけではないため、FRBは当面、景気よりもインフレ抑制を重視する可能性があるとの見方がある。年内の利下げは見送りとなり、来年にかけては利上げをどこまで抑えられるかが焦点になるとの指摘もある。

▲ 目次へ戻る
2

日本経済・日銀関連

日銀、政策金利0.75%程度を3会合連続で据え置き

日銀は金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物レートの誘導目標を0.75%程度に据え置いた。政策金利の据え置きは、去年12月の会合で利上げを決めた後、3会合連続となる。

政策金利 0.75%程度
据え置き回数 3会合連続
利上げ提案 1.0%へ引き上げ

9人の政策委員のうち3人は金利据え置きに反対し、政策金利を1.0%に引き上げることを提案した。物価の上振れリスクが高まっていることなどが理由とされ、日銀内でも利上げに近づいているとの見方が出ている。

展望リポートでは物価見通しを引き上げ

今回公表された展望リポートでは、今年度のインフレ率見通しが前回から大きく引き上げられた。生鮮食品とエネルギーを除くコアコアの見通しも来年度まで2.6%とされ、物価上昇圧力が長引く可能性が意識されている。

一方で、経済成長率の見通しは下振れしており、景気と物価の両面をにらんだ難しい判断が続く。物価上振れと成長鈍化が同時に意識される局面では、スタグフレーション的なリスクも警戒される。

6月利上げをめぐる見方は分かれる

日銀総裁は会見で、次回会合での利上げを明確に示唆する発言は避けた。景気と物価を慎重に見極める姿勢を維持している。

一方で、ホルムズ海峡の閉鎖が続いていても利上げは可能との受け止め方もあり、中東情勢と金融政策を完全には結びつけない姿勢が示されたとの見方がある。6月会合での利上げ可能性は高まっているとの指摘もあるが、円安や原油高、米国金利の動向が大きなリスク要因となる。

▲ 目次へ戻る
3

米国市場・金利・為替

ダウ平均は5日続落、ナスダックは小幅反発

米国株式市場では、ダウ平均が5日続落した。ホルムズ海峡の閉鎖が長期化するとの見方から原油価格が上昇し、一時400ドルを超えて下げる場面もあった。

ダウ平均 5日続落
ナスダック 小幅反発
S&P500 小幅続落

ナスダックは小幅に反発した一方、S&P500は小幅に続落した。中東情勢と原油高、FRBの利下げ期待後退が、株式市場の重荷となっている。

ドル円は一時160円40銭台まで円安進行

外国為替市場では、ドル円相場が一時1ドル=160円48銭まで下落し、2024年7月以来、およそ1年9カ月ぶりの円安ドル高水準となった。その後も160円37銭〜40銭近辺で推移した。

ドル円高値 160円48銭
水準 2024年7月以来
その後 160円37銭〜40銭近辺

米国の利下げ期待が後退する場合、他通貨との金利差を意識したドル買いが再び強まる可能性がある。一方で、トランプ政権の政策運営に対する不透明感から、長期的にはドル安を招くとの見方も根強い。

日米長期金利は高止まり

日本の10年債利回りは27年ぶりの高水準となる2.5%近辺に上昇した。米国の10年債利回りも4.3%〜4.4%程度で推移し、年初から水準を切り上げている。

日本10年債利回り 2.5%近辺
米10年債利回り 4.3%〜4.4%程度
市場の焦点 金利高止まり

米国では利下げ不要との見方が金利上昇につながっている一方、日本では利上げの遅れや円安、原油高への警戒が長期金利の上昇要因となっている。債券市場と為替市場の混乱が、今後は株式市場にも波及する可能性がある。

▲ 目次へ戻る
4

地政学・エネルギー

ホルムズ海峡の閉鎖長期化懸念で原油価格が上昇

トランプ大統領が、イランの港湾を対象にした海上封鎖を数カ月続ける可能性に触れたことが明らかになった。また、核問題を先送りし、ホルムズ海峡の解放について先に合意するというイラン側の提案も拒否する方針を示した。

ホルムズ海峡の閉鎖が長期化するとの懸念から、29日の原油先物市場では、ヨーロッパの指標である北海ブレントが一時1バレル=120ドル台に上昇した。アメリカの指標であるWTIも108ドル台まで上昇した。

北海ブレント 一時120ドル台
WTI 108ドル台
背景 ホルムズ海峡の閉鎖長期化懸念

UAEがOPEC・OPECプラスから脱退へ

UAEは、来月1日にOPECから脱退すると発表した。OPECとロシアなどで構成するOPECプラスからも脱退する。

原油市場が混乱する中で供給責任を果たすためとしているが、サウジアラビアが原油価格安定のために産油国の生産枠を主導して割り当てたことへの不満が背景にあるとみられている。OPECで3番目の産油国の脱退により、価格支配力の低下は避けられないとの見方がある。

出光興産の大型石油タンカーがホルムズ海峡を通過

イランとの軍事衝突以降、ペルシャ湾でおよそ2カ月にわたって足止めされていた出光興産の大型石油タンカー「出光丸」が、28日にホルムズ海峡を通過し、オマーン湾へ出た。

日本の元売り大手が所有する船舶がペルシャ湾から出たのは初めてとみられる。日本政府高官は、日本政府による交渉の成果だと述べている。

▲ 目次へ戻る
5

米国企業決算・AI関連

Microsoftは増収増益、Azureなどクラウド基盤が40%増

Microsoftが発表した1月から3月までの決算は、売上高が前年同期比18%増の828億8600万ドル、純利益が23%増の317億7800万ドルとなり、いずれも市場予想を上回った。

売上高 828億8600万ドル
純利益 317億7800万ドル
Azureなど 40%増

AIの計算処理などに使われるクラウド基盤であるAzureなどの売上高は40%増加した。決算内容は堅調だった一方、AI関連投資の継続性や競争環境をめぐり、成長性への見方には慎重さも出ている。

Amazonは純利益77%増、AWSの利益拡大が寄与

Amazon.comが発表した1月から3月までの決算は、純利益が77%増の302億5500万ドルとなり、市場予想の平均値であるおよそ178億ドルを大幅に上回った。

純利益 302億5500万ドル
市場予想平均 およそ178億ドル
AWS売上高 375億8700万ドル

AIの普及を受けてクラウド部門の利益が拡大した。AWSの売上高は28%増の375億8700万ドルとなった。時間外取引では、株価が通常取引終値を4%程度上回る場面があった。

Alphabetは売上高22%増、クラウドと広告が伸びる

Googleの持ち株会社であるAlphabetが発表した1月から3月期決算は、売上高が前年同期比22%増、純利益が81%増となり、ともに市場予想を上回った。

売上高 22%増
純利益 81%増
クラウド事業 63%増

企業のAI需要が伸び、クラウド事業の売上高は63%増加した。ネット広告事業の売上高も16%増えた。時間外取引では、株価が6.5%程度上昇する場面があった。

Metaは純利益61%増も、設備投資増額に警戒感

Metaが発表した1月から3月期決算は、純利益が前年同期比61%増の267億7300万ドルとなった。FacebookなどSNS上で配信する広告収益が伸びた。

純利益 267億7300万ドル
設備投資額 最大1450億ドル
時間外取引 6.4%程度下落

一方、今年の設備投資額は最大1450億ドルとなる見通しで、これまでの計画から100億ドル増額された。前年と比べるとほぼ倍増となるペースであり、AIやデータセンター投資の負担を警戒する見方が出ている。時間外取引では、株価が6.4%程度下落する場面があった。

▲ 目次へ戻る
6

国内政治・社会

太平洋島しょ国の国際送金網づくりに財務省が関与

太平洋の島しょ国や地域で、国際送金を担う仕組みづくりに日本の財務省が乗り出す。島しょ国では国際業務を担う銀行の撤退が相次いでおり、アメリカやオーストラリア、世界銀行などと連携して代替する決済網を整備する。

複数の島しょ国の国際送金を集中的に処理することで、1件あたりのコストを抑える狙いがある。人民元決済が浸透する前に先手を打つ意味合いもあるとみられている。

6月から軽自動車タクシーを解禁へ

国土交通省は、6月から軽自動車のタクシーを解禁する。車両には衝突を避ける自動ブレーキなどの安全機能の搭載を求めるほか、新車や最近発売された車種に実質的に限定し、安全性や快適性を確保する。

タクシー業界では人手不足が深刻化しており、女性運転手などの新たな担い手を掘り起こし、交通空白の解消につなげる狙いがある。

▲ 目次へ戻る
7

今日の主な予定

ECB理事会、Apple決算、中国PMIに注目

今日の主な予定では、ECB理事会が注目される。市場では据え置きが見込まれているが、中東情勢の不透明感が強い中で、ラガルド総裁がどのようなメッセージを打ち出すかが焦点となる。

企業決算では、アメリカのAppleの決算が注目される。また、中国では月末の経済指標として、製造業PMIと非製造業PMIが発表される予定だ。

FRB FOMC 日銀 金融政策 円安 ドル円 原油価格 ホルムズ海峡 米国株 米テック決算
▲ 目次へ戻る
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー

目次