【2026年5月8日】日経平均6万2000円台、米株反落 雇用統計・円相場・日銀利上げ観測を整理

日経平均6万2000円台、米株は反落 雇用統計と中東情勢をにらむ展開

5月8日のマーケットは、前日に過去最大の上げ幅で最高値を更新した日経平均株価と、3日ぶりに反落した米国株の対比が目立つ展開となった。米国では4月雇用統計の発表を前に労働関連指標への関心が高まり、FRBの利下げ時期をめぐる見方にも影響を与えそうだ。

一方、中東情勢をめぐる不透明感はなお市場の重荷となっている。原油価格の乱高下、円相場の介入観測、日銀の追加利上げ観測が重なり、株式・為替・金利のいずれも慎重に見極める局面に入っている。

この記事のポイント:
日経平均は初の6万2000円台で最高値を更新した一方、米国株は中東情勢への警戒とハイテク株の利益確定売りで反落した。米雇用統計、FRBの金融政策、円相場、日銀の追加利上げ観測、トヨタ決算がきょうの主な焦点となる。
日本株

日経平均は62,833円84銭で最高値更新。上げ幅は3,320円72銭と過去最大。

米国市場

NY株は3指数そろって反落。中東情勢と利益確定売りが重荷。

注目材料

米雇用統計、円相場、日銀議事要旨、トヨタ決算が焦点。

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米国市場・金利・商品

NY株式市場は3指数そろって3日ぶりに反落

ダウ平均4万9596ドル
313ドル安
ナスダック総合2万5806
32ポイント安
S&P5007337
28ポイント安

7日のニューヨーク株式市場は、主要3指数がそろって3日ぶりに反落した。ダウ平均は313ドル安の4万9596ドル、ナスダック総合指数は32ポイント安の2万5806、S&P500は28ポイント安の7337で取引を終えた。

セクター別では通信や情報技術が上昇した一方、素材やエネルギーが下落した。前日に相場を押し上げたハイテク株には利益確定売りが出やすく、インテルやAMDなどで売りが目立った。

米国とイランの戦闘終結をめぐる協議に目立った進展が見られず、投資家の様子見姿勢が強まったことも相場の重荷となった。ダウ平均の下げ幅は一時400ドルを超えた。

米長期金利は4.38%台、原油は乱高下

米10年債利回り4.38%台
米2年債利回り3.91%台
NY原油先物一時89ドル台まで下落

米国債市場では、10年債利回りが4.38%台、2年債利回りが3.91%台で推移した。米長期金利の上昇を受け、為替市場では円安・ドル高方向にじわりと動く場面があった。

商品市場では、ニューヨーク原油先物が中東情勢をめぐる思惑で乱高下した。米国とイランの和平合意への期待から一時1バレル89ドル台まで下落する場面があった一方、交渉の不透明感を背景に反発する場面もあり、原油価格の不安定な動きが株式市場の重荷となった。金先物は3日続伸した。

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米国金融政策・雇用指標

4月雇用統計を前に労働関連指標に注目

4月人員削減数8万3387人
前月比38%増
新規失業保険申請20万人

8日に予定されている米国の4月雇用統計を前に、関連指標への注目が高まっている。

7日に発表された米企業の4月の人員削減数は、前の月から38%増え、8万3387人となった。4月としては2009年以降で3番目に多い水準で、AIが削減理由の首位となった。

一方、同じく7日に発表された米国の新規失業保険申請者数は20万人だった。前の週から1万人増加したものの、なお低い水準にとどまっている。

FRBはインフレ鈍化の確認を重視する可能性

米労働市場については、安定の兆しがあるとの見方がある。非農業部門雇用者数は前月から減速するとの予想がある一方、失業率は前回の4.3%から4.2%に低下するとの見方も出ている。

労働市場が大きく悪化していない場合、FRBは利下げ判断において、雇用悪化よりもインフレ鈍化の確認を重視する可能性がある。エネルギー価格や関税の影響を確認したいとの姿勢が意識されており、雇用統計が市場予想の範囲内に収まれば、早期利下げのハードルはなお高い状態が続く可能性がある。

期待インフレ率は3.6%に上昇

1年先期待インフレ率3.6%
前月比0.2ポイント上昇
1年先ガソリン価格予想+5.1%

ニューヨーク連銀が発表した4月の消費者調査では、1年先の期待インフレ率が前の月から0.2ポイント上昇し、3.6%となった。原油高を背景に、短期のインフレ警戒が意識されている。

3年先、5年先の期待インフレ率はそれぞれ3.1%、3.0%で横ばいだった。1年先のガソリン価格の変動予想はプラス5.1%と、急上昇した前の月から低下したものの、依然として5%を上回っている。

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為替・円相場

ドル円は156円台後半、介入警戒感が上値を抑える

ドル円156円80銭台〜90銭台
東京時間の予想レンジ154円50銭〜157円30銭
焦点米雇用統計と介入警戒

為替市場では、ドル円が156円80銭台から90銭台で推移した。東京時間の見通しでは、ドル円の予想レンジとして154円50銭から157円30銭が示されている。

米雇用統計の強弱に応じて上下に振れる可能性がある一方、円安方向では介入警戒感が上値を抑えるとの見方がある。仮に雇用統計が弱い内容となり、中東情勢にも進展があれば、週末要因も重なり、円高方向への振れ幅が大きくなる可能性がある。

介入観測はあるが、原油価格と政策対応が焦点

円買い介入観測については、投機的な円売りを抑え、円の買い戻しを促したとの見方がある。日本の貿易収支は改善傾向にあり、実需面で円売りが強まっているというより、投機的な動きが円安の主因だったとみられている。

ただし、介入が実施されたかどうかは公式には確認されていない。市場では、当局による円買いがあったとの見方が広がっているが、原油価格が高止まりすれば、輸入金額の増加を通じて貿易赤字が拡大し、実需の円売り圧力が再び強まる可能性がある。

財政政策や金融政策との整合性も焦点となる。原油高に対して補助金を過度に拡大すれば、財政赤字と貿易赤字の双方が意識されやすくなる。日銀が利上げに慎重すぎると、円売りを再燃させる可能性もある。

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地政学・エネルギー

米国とイランの交渉は不透明、ホルムズ海峡支援再開の動き

米国とイランは戦闘終結に向け、水面下で調整を続けているとみられる。ただ、米国側が示した合意案に対するイランの返答を待つ状況で、交渉にはなお不透明感が残る。

ホルムズ海峡を通過する船舶への支援をめぐっては、米国が早期再開を検討しているとされる。サウジアラビアとクウェートが、自国にある米軍基地と領空の利用制限を解除したことを受け、米国は早ければ今週中にも支援を再開する方向で検討しているという。

イスラエルとレバノンは直接協議へ、停戦の効力に懸念

一時停戦で合意しているイスラエルとレバノンは、来週ワシントンで直接協議する見通しとなった。日程は14日から15日までとされ、協議が実施されれば3回目となる。

一方、イスラエル軍は6日、レバノンの首都ベイルートを空爆し、親イランの武装組織ヒズボラの精鋭部隊司令官を殺害したと発表した。停戦の効力を危ぶむ見方が広がっている。

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日本株・国内市場

日経平均は初の6万2000円台、過去最大の上げ幅

日経平均終値62,833円84銭
前営業日比3,320円72銭高
特徴過去最大の上げ幅

7日の東京株式市場では、日経平均株価が大幅に続伸し、終値で初めて6万2000円台をつけた。終値は前営業日比3,320円72銭高の62,833円84銭となり、過去最大の上げ幅で最高値を更新した。

連休中に発表された米ハイテク企業の好決算を受けて半導体関連株が買われたことに加え、米国とイランの戦闘が早期に終結するとの観測も買いを後押しした。取引時間中には63,091円14銭まで上昇し、初めて6万3000円台に乗せる場面もあった。

日本株上昇の背景としては、米国とイランの戦闘終結期待、AI半導体関連企業を中心とした業績拡大、日米の緩和的な金融環境が指摘されている。

日経平均とTOPIXの格差が拡大

日経平均の対TOPIXベータ値1.12
高ベータ銘柄数76銘柄
日経平均採用銘柄225銘柄

足元の日本株市場では、日経平均とTOPIXのパフォーマンス格差が目立っている。日経平均は最高値を更新した一方、TOPIXは2月末につけた史上最高値をまだ更新していない。

日経平均のTOPIXに対するベータ値は直近で1.12となり、日本株全体よりも値動きが大きい傾向がある。ただし、日経平均採用225銘柄のうち、日経平均全体のベータ値を上回る銘柄は76銘柄にとどまり、一部の高ベータ銘柄が指数を押し上げている構図がある。

日本株全体では、年初来安値を更新する銘柄が増えている。日経平均の強さとは対照的に、市場全体では下向きの圧力も残っているため、今後の持続的な株高にはTOPIXの上昇が重要になる。

今日の日本株は利益確定売りに注意

日経平均予想レンジ6万1500円〜6万2500円
大阪夜間先物6万2140円
シカゴ先物6万2100円付近

8日の日本株市場については、前日の大幅上昇を受けて利益確定売りが出やすいとの見方がある。米国のハイテク株下落の流れも重荷になりやすく、日経平均の予想レンジは6万1500円から6万2500円とされている。

大阪取引所の夜間取引では日経平均先物が6万2140円、シカゴの日経平均先物は6万2100円付近で推移している。前日の歴史的な上昇を受け、短期的には調整含みの展開も想定される。

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日本経済・日銀関連

日銀議事要旨、追加利上げを意識する意見

政策金利0.75%程度で据え置き
焦点追加利上げの時期
物価要因原油価格上昇

日銀は7日、3月に行われた金融政策決定会合の議事要旨を公表した。この会合では政策金利を0.75%程度で据え置いたが、議事要旨では、今後の利上げについて「間を長く空けずに検討することになる」との意見が出ていた。

また、中東情勢の悪化による原油価格の上昇を受け、当面は物価の上振れを重視した対応が必要だとの意見もあった。原油高がインフレ率を押し上げる可能性があるなか、日銀の政策判断は為替市場にも影響を与えやすい局面にある。

利上げ局面でも日本株上昇が続く理由

日銀の追加利上げ観測があるなかでも、日本株が上昇している背景として、価格戦略の復活、緩和的な金融環境の継続、企業経営の改善が挙げられている。

脱デフレが進むなかで、企業は価値に見合った価格設定を行いやすくなっている。大企業製造業の売上高経常利益率は上昇しており、利益率改善が業績を押し上げている。

また、名目金利ではなく実質金利で見れば、金融環境はなお緩和的だとみられている。企業の期待インフレ率が上昇するなか、政策金利から期待インフレ率を差し引いた実質政策金利は大幅なマイナス圏にある。

さらに、資本コストを意識した経営やROE向上への取り組みが、株式市場のリスクプレミアム低下につながっているとの見方がある。長期金利上昇は本来PERの低下要因だが、企業経営の改善がその押し下げ効果を上回っていると考えられる。

最大のリスクはホルムズ海峡をめぐる通航不安の長期化

日本株の先行きにとって、最大のリスクはホルムズ海峡をめぐる通航不安の長期化だとみられている。通航不安が長引けば、供給制約による経済活動の停滞とインフレが同時に進み、スタグフレーションに陥る恐れがある。

その場合、日本株は大幅な調整を余儀なくされる可能性がある。米国とイラン双方にとっても大きな損失となるため、最終的には交渉で回避されるとの見方がある一方、地政学リスクとしての注視は欠かせない。

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企業・決算・AI関連

トヨタ決算は26年度会社計画に注目

8日はトヨタ自動車(7203)の決算発表が予定されている。市場では、25年度実績よりも26年度の会社計画に注目が集まっている。

主要国の需要に不透明感があるなか、アルミや半導体メモリなどの価格上昇によるコスト増が見込まれている。さらに、中東情勢の緊迫によるエネルギーコストの上昇、供給制約懸念、需要の不透明感も加わっている。

一方、米国ではハイブリッド車の需給逼迫が続いているとみられ、増益の会社計画を出せるかが焦点となる。増益見通しが示されれば、日本株全体の投資家心理にもプラスに働く可能性がある。

三菱UFJ、GoogleとAI金融サービスで提携

三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)は、米アルファベット傘下のGoogle(GOOGL/GOOG)と、個人向け金融サービスで戦略的に提携することで合意した。

三菱UFJは、個人向け総合金融サービス「エムット」などで、Googleが強みを持つAI技術を活用する。新サービスでは、ユーザーが欲しい商品の写真を撮影すると、AIエージェントが購入先や決済方法の候補を提案する。

さらに、年収などの個人データに基づき、住宅ローンの組み方や資金の積み立て計画などを提案する機能も導入する計画だ。

バークシャー、日本の大手商社5社すべてで保有比率10%超

住友商事(8053)と丸紅(8002)は、米投資会社バークシャー・ハサウェイ(BRK.A/BRK.B)による持ち株比率がともに10%を超えたと発表した。バークシャーの子会社から両社に報告があった。

バークシャーは日本の大手商社5社の株式を段階的に買い増している。すでに三菱商事(8058)、三井物産(8031)、伊藤忠商事(8001)でも10%超の保有が発表されており、これで大手商社5社すべてで保有比率が10%を超えた。

ソフトバンク、AIサーバーの開発・生産参入を検討

ソフトバンク株式会社(9434)が、AIサーバーの開発と生産に乗り出すと報じられている。AIの急速な普及に伴い、機密データの国外流出を防ぐため、自国内で開発・運用するソブリンAIの需要が高まっていることに対応する動きとみられる。

米半導体大手NVIDIA(NVDA)などとすでに協業を始めており、主要部品の設計や最終組み立てに2020年代末までに参入することを検討している。

マクドナルドは増収増益、低所得層の消費には弱さ

売上高前年同期比9%増
純利益前年同期比6%増
焦点低所得層の消費意欲

米マクドナルド(MCD)が発表した1月から3月期決算は、売上高が前年同期比9%増、純利益が6%増となった。低価格メニューの導入により、客足の回復が続いた。

ただし、物価高を背景に低所得層の消費意欲は弱まっている。会社側は、4月から6月期の既存店売上高について、伸びが減速すると見通している。

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国内政治・社会・米国政治

米中間選挙へ、共和党内でトランプ氏の影響力が残る

米国では秋の中間選挙を前に、各党が候補者を選ぶ予備選挙が始まっている。トランプ政権の支持率が低下し、不支持率が上昇する一方、共和党支持基盤ではトランプ氏の影響力の強さを示す結果も出ている。

インディアナ州の州上院選に向けた共和党予備選挙では、現職議員の多くが敗北した。背景には選挙区再編への見方があり、共和党に有利な区割り変更への賛否が争点になったとされる。

アラバマ州やテネシー州などでの選挙区再編次第では、共和党が中間選挙で議席数を増やす州も出てくると見込まれている。ただし、下院では民主党が過半数を獲得し、ねじれ議会になるとの見方もなお残っている。

米国でDEI見直し、女性の働き方にも影響

米国では、DEIと呼ばれる多様性・公平性・包括性を重視する取り組みの見直しが、働く女性にも影響し始めているとの指摘がある。

男女の賃金格差は、長期的には縮小傾向が続いてきたが、直近では2年連続で広がっている。女性の賃金は男性の81%程度にとどまっているとされる。

また、企業の一部では多様性促進の予算削減も進んでいる。トランプ政権は政府内だけでなく、政府から外部委託や補助金を受ける企業・組織に対してもDEI見直しを求めており、民間企業の人事政策にも影響が広がっているとみられる。

一方で、DEIという言葉を使わずに、多様性を重視する取り組みを続ける企業もある。優秀な人材の確保や組織のパフォーマンス向上の観点から、多様性を維持する動きも続いている。

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今日の主な予定

国内では毎月勤労統計とトヨタ決算

国内では、3月の毎月勤労統計が発表される。賃金動向は日銀の追加利上げ観測にも関わるため、注目度が高い。

企業決算では、トヨタ自動車(7203)などが発表を予定している。中東情勢、エネルギーコスト、半導体・素材価格、米国のハイブリッド車需要を踏まえ、今期会社計画が焦点となる。

米国では4月雇用統計

米国では4月の雇用統計が発表される。雇用者数、失業率、賃金動向の内容次第で、FRBの金融政策見通しや米長期金利、為替市場に影響が出る可能性がある。

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この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー

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