物価高で大型連休は近場志向へ 旅行需要は堅調でも進む選別消費

2026年の大型連休は、旅行需要そのものが弱いわけではない。JTBのゴールデンウィーク旅行動向見通しでは、総旅行者数は2447万人、国内旅行者数は2390万人とされ、前年を上回る水準が見込まれている。

ただし、行き先や楽しみ方には変化が出ている。遠方へ大きく出かけるより、近場、日帰り、コストパフォーマンスを重視する動きが目立つ。物価高や燃料費への不安が、連休中の支出先を選ぶ意識を強めているとみられる。

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都内から近隣エリアへの予約が伸びる

レジャー施設やイベントの予約サイトを運営する東京都内の会社によると、2026年の大型連休の予約は前年より全体的に増えている。国内の旅行需要は堅調だとみられる一方、都内在住者の予約先には近隣エリアへの集中が表れている。

先週時点で、都内に住む人がサイトを通じて施設やイベントを予約した件数を前年の大型連休と比べると、千葉県は65%増、栃木県は63%増、埼玉県は17%増だった。

遠方の観光地へ向かうより、車や電車で日帰りしやすい圏内を選ぶ人が増えている構図だ。同社の事業部長は、公営の公園や動物園など単価が低い施設への来場が増えている印象があるとし、コストパフォーマンスを意識して行き先を決める人が増えているのではないかと分析している。

レンタカー予約は2割増、旅行離れとは言い切れない

物価高を背景に近場志向が強まっているとしても、旅行を控える動き一色ではない。全国に約500店舗を展開する大手レンタカー会社では、5月2日から5日までの予約数が前年の同じ時期より2割程度増えている。

貸し出しのピークは5月2日で、レンタル期間も前年より半日ほど延びている。2026年は5月2日から6日までが5連休となる日並びの良さもあり、車を使った国内移動は底堅い。

同社は、日並びの良さに加え、中東情勢を受けた政府の緊急的な燃料価格抑制策によって、ガソリン価格が一定程度抑えられていることも予約増に関係しているのではないかとみている。

つまり、消費者は旅行そのものをやめているのではなく、費用を抑えながら楽しめる場所や移動手段を選び直している。ここに、今回の大型連休の特徴がある。

近場需要を取り込みたい施設側にも燃料高が重い

物価高の影響は、旅行者側だけでなく施設側にも及んでいる。栃木県宇都宮市の「道の駅うつのみや ろまんちっく村」では、例年は東北や関西など遠方からの来訪者が多い一方、2026年は都内や近隣県からの日帰り客の増加を見込んでいる。

同施設は、割安な地元産の生鮮野菜や果物の販売、たけのこ掘りの体験イベントなどを通じて、近場志向の来場者を取り込もうとしている。

一方で、施設運営のコストは重い。温水プールなどで水を温めるために使う重油の価格は、前年同期比で1.5倍ほどに上昇しているという。燃料価格の上昇を受け、4月3日からスチームサウナの利用を休止し、浴場で使えるシャワーの数も3割ほど減らしている。

田代賢一支配人は、近隣などからの来場者を増やして売り上げを伸ばすことで、施設の利用料などを値上げしないようにしたいと話している。来場者が増えても、燃料費や光熱費が上がれば、サービスを維持する余力は削られる。近場需要の追い風とコスト上昇の逆風が、同時に吹いている。

燃料補助は重油も対象、ただし負担感は残る

政府は中東情勢を踏まえた緊急的激変緩和措置として、燃料油価格の上昇を抑える支援を行っている。資源エネルギー庁の公表資料では、2026年4月23日以降の支給単価として、ガソリン、軽油、灯油、重油に1リットルあたり30.9円、航空機燃料に12.3円が示されている。

ここで重要なのは、重油も補助対象に含まれている点だ。したがって、施設側の重油コストについて「補助対象外」とは言えない。

ただし、補助があっても、燃料費の上昇が事業者の経営不安を消すわけではない。道の駅の事例では、重油価格が前年同期比で1.5倍ほどに上がっていると説明されており、スチームサウナ休止やシャワー数削減という形で、利用者に見える影響も出ている。

節約一色ではなく、支出先を選ぶ大型連休

今回の動きを「節約」だけで説明すると、実態を見誤る。旅行需要は堅調で、レンタカー予約も増えている。JTBの見通しでも、国内旅行者数は前年を上回る一方、国内旅行の平均旅行予定費用は4万6000円と前年を下回る見込みだ。

支出を完全に止めるのではなく、どこへ行くか、泊まるか日帰りにするか、有料施設を選ぶか公園や道の駅を選ぶかを見直す。こうした支出先の選別が、2026年の大型連休に表れている。

一方で、受け入れる施設側は、近場需要を取り込みたいにもかかわらず、燃料費や光熱費の上昇と向き合わざるを得ない。大型連休の旅行行動には、物価高下で家計と事業者の双方が支出を選び直す姿が映っている。

(本稿は各種公開情報をもとに作成した。一部数値は記事掲載時点の情報である)

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この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー

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