アメリカが「代表団はパキスタンに向かっている」と発信した同じ日に、イラン側メディアは「第2回協議への参加を拒否した」と報じた。焦点は協議の中身に入る前の段階で、そもそも会談が成立するのかどうかに移っている。
米側発信とイラン側報道が食い違っている

日本時間4月19日夜、トランプ大統領はSNSに、米代表団がパキスタンのイスラマバードに向かい、20日夕方に到着する予定だと投稿した。NHKによると、ホワイトハウス当局者は、バンス副大統領、ウィトコフ特使、クシュナー氏が加わると説明している。
一方、イラン国営通信は同日、イランはアメリカとの第2回協議への参加を拒否したと伝えた。革命防衛隊に近いタスニム通信も、現時点で代表団を送る決定はしていないと報じている。
現時点で確認できるのは、米側発信とイラン側報道が一致していないという事実だ。会談をめぐる環境が流動的であることが、まず押さえるべきポイントになる。
イラン側が示した不参加理由
イラン側報道では、不参加の理由として、米側の過剰な要求、立場変更の継続、そして海上封鎖が続いていることが挙げられている。
ホルムズ海峡をめぐっては、革命防衛隊が18日に、アメリカによる海上封鎖が解除されるまで海峡を封鎖すると主張した。タスニム通信は、海上封鎖が続く限り協議は行われないという立場を伝えている。
同じ19日には、トランプ大統領が、オマーン湾で米海軍がイラン船籍の貨物船を停止させたとSNSで明らかにした。交渉再開の発信と軍事的緊張の高まりが同時に進んでおり、会談環境は不安定なままだ。
第1回協議で残った争点
今回の第2回協議は、イスラマバードで現地時間4月11〜12日に行われた第1回協議の延長線上にある。第1回は高官級の直接協議として注目されたが、核開発をどこまで制限するか、ホルムズ海峡をどう扱うか、制裁や資産問題をどう処理するかなどで隔たりが残ったと各社が伝えている。
タスニム通信は、今回の状況は第1回協議の際とほぼ同じ流れをたどっていると報じた。今回の食い違いは突発的なものというより、前回から持ち越された争点が改めて表面化した局面と受け止められている。
パキスタンは開催を前提に準備を進めている
会談が流れる可能性がある一方で、仲介国パキスタンは準備を進めている。パキスタン紙ドーンは、協議準備のための先遣隊がイスラマバードに到着し始めたと報じた。
同紙やAPによると、現地では第1回協議の会場周辺や政府機関が集まる地区で封鎖や警備強化が進み、公共交通機関の運行停止も始まっている。少なくともパキスタン側は、会談が流動的でも開催の可能性を前提に国家レベルで対応している。
原油と市場にも影響が及ぶ
今回の対立は外交ニュースにとどまらない。ホルムズ海峡は原油やLNGの輸送にとって重要な海上ルートであり、通航をめぐる緊張はエネルギー価格に直結しやすい。
素材で参照した報道でも、海峡をめぐる期待や警戒の変化が原油相場を動かしてきたと整理されている。日本のような資源輸入国にとっても、米イラン協議の行方は遠い地域の政治ニュースでは済まない。
まず見るべきなのは「協議が開けるか」
現時点では、第2回協議が予定どおり開かれるかどうかはなお不透明だ。イラン側は海上封鎖の解除を重視し、米側は圧力を緩めていない。
そのため当面は、双方の発表だけでなく、イスラマバードでの受け入れ準備が実際に続くか、ホルムズ海峡をめぐる緊張がどう動くかを追う必要がある。焦点は協議の内容に入る前の段階で、まず会談の土台が整うかどうかにある。
(本稿は各種公開情報をもとに作成しました。一部数値は記事掲載時点の情報です)

