新NISAを使い続けるための注意点と、2026年度に示された見直し方針

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「始める前」より「始めた後」にこそ落とし穴がある

新NISAの口座を開設し、投資信託の積立を設定した。それだけで安心しきってしまうと、後から気づく落とし穴がいくつかある。

非課税枠の使い方のルール、損失が出たときの対処、金融機関を変えたいときの制約——これらは、初心者向けの案内では見落とされやすい部分だ。加えて、2025年末に公表された2026年度の税制改正大綱では、新NISAの見直し方針もいくつか示されている。

活用を続けていくうえで、知っておいた方がいい点を整理した。


利益は非課税でも、損失は現実だ

新NISAはあくまでも「利益への課税が免除される制度」であって、損失を防ぐ仕組みではない。投資信託や株式は価格が変動するため、買ったときより価格が下がれば、元本を下回る「元本割れ」が起きる。

非課税というメリットに目が行きがちだが、前提として「リスクをとって運用する」ということを忘れないことが大事だ。生活費や近い将来に使う予定のあるお金は、NISA口座に入れるべきではない。時間的に余裕のある資金で運用するのが基本だ。


年間投資枠は繰り越せない

新NISAでは、年間の投資枠(つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円)を使い切れなかった分を翌年に繰り越すことはできない。今年の残枠は今年限りだ。

一方で、保有している商品を売却した場合には、その商品に使っていた取得価額分の枠が翌年から再利用できる。ただし「売った直後にすぐ同じ金額を再投資できる」というわけではなく、翌年の枠が復活するという仕組みだ。この「翌年から」というタイムラグは、年度をまたぐ計画を立てる際に意識しておきたい。


NISA口座は1人1つ、変更は年1回

新NISAの口座は、すべての金融機関を通じて1人につき1口座だけしか開設できない。

複数の証券会社に申し込もうとしても、税務署による確認の段階で後からの申請は断られる。

金融機関を変更することは可能だが、手続きの受付期間は原則として変更を希望する前年の10月1日から当年9月30日まで、と定められている。たとえば「来年から別の証券会社に移りたい」という場合、今年の9月末までに手続きを済ませる必要がある。また、変更前の口座で保有している商品はそのまま残り、自動的に新しい口座に移るわけではない点にも注意が必要だ。

最初の金融機関選びが「それなりに重要」と言われる理由は、こうした変更のしにくさにある。


2026年度税制改正大綱で示された見直し方針

2025年末に公表された2026年度の税制改正大綱では、新NISAに関するいくつかの見直し方針が盛り込まれた。ただしこれらは大綱の段階であり、正式な法改正・施行にはさらに手続きが必要だ。「すでに変わっている」ではなく「こうなる方針が示された」と理解しておくことが重要だ。

こどもNISAの創設(2027年1月以降の開始が大綱で示された)

2023年に廃止された「ジュニアNISA」に代わる制度として位置づけられる。大綱では年間60万円・生涯600万円と示された。主に子どもの将来に向けた資産形成や、金融教育の観点からの活用が期待されている。

つみたて投資枠の対象指数の追加

対象となる株式指数に、国内市場を対象とした「読売株価指数」と「JPXプライム150指数(補足参照)」が追加される方針が示された。これらに連動した投資信託が今後販売されることで、国内市場への長期積立投資の選択肢が広がる可能性がある。

補足:例えば、JPXプライム150指数に連動するETFとしては「iFreeETF JPXプライム150(2017)」がすでにあるり成長投資枠の対象である。今回の見直しは、こうした国内株指数を、つみたて投資枠の対象指数にも広げる方向性といえる。

対象商品の見直し

つみたて投資枠の対象となる商品について、投資対象を「主に株式に投資するもの」から「主に株式または公社債(債券)に投資するもの」へと要件を見直す方針が示されている。債券を中心に運用するタイプの投資信託なども今後の対象に加わり得るという整理だ。また、定期売却サービスに関連する手数料の取り扱いについても見直し方針が盛り込まれた。

なお、一部の情報では「毎月分配型の投資信託が新たに対象に加わる」という説明を目にすることがある。しかし2026年3月時点で確認できる金融庁の一次資料では、その表現は確認できない。現時点では「債券中心のファンドなど、対象商品の幅が広がる方針」という理解が適切だ。


制度は変化する。だから「仕組みを知る」が大切

新NISAは始まったばかりの制度であり、今後も見直しが重なる可能性がある。「一度設定したらそれきり」ではなく、制度の動きを時折確認する姿勢が、長く使い続けるうえでは大切だ。

正確な情報の確認には、金融庁のNISA特設ウェブサイトや国税庁の資料が一次情報として役立つ。金融機関のウェブサイトも参考になるが、制度変更の時期によっては情報の更新が追いついていないことがある。疑問があれば、利用中の金融機関の窓口に直接確認するのが確実だ。

「非課税で得をする制度」ではなく、「リスクをとって運用する際の税負担を減らす制度」——この認識を持ち続けることが、新NISAを正しく使い続けるための出発点だ。

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この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー

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