新NISAを始める前に知っておきたいこと:口座開設から最初の一歩まで

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「口座だけ作って放置」になっていないか

「新NISAを始めた方がいい」という声は、ここ数年で急速に広まった。2024年の制度刷新を機に、金融機関への問い合わせが相次ぎ、2025年6月末時点のNISA口座数は約2,696万口座に達している(金融庁『NISA口座の利用状況調査(2025年6月末時点)』)。

ところが、口座を開設したものの「何を買えばいいかわからなくてそのまま」という人も少なくない。制度の名前は知っていても、仕組みを正確に理解しないまま始めると、使い方が中途半端になりやすい。

まず、新NISAが何のための制度かを確認することから始めたい。


新NISAは「税金を免除される器」

通常、株式や投資信託で利益が出ると、その利益に約20%の税金がかかる。1万円の利益なら、手元に残るのは約8,000円だ。

新NISAは、この税負担を一定の範囲でゼロにする制度だ。非課税になるのは「NISA口座そのもの」ではなく、NISA口座の中で買った対象商品から生じた配当や売却益だ。2024年に始まった新NISAでは、非課税期間が無期限となり、制度そのものも恒久化された。つまり「今年だけ使える」という時限的な話ではなく、長期間にわたって活用し続けられる仕組みになっている。


2つの投資枠の使い分け

新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類がある。

つみたて投資枠は、長期・積立・分散投資向けの一定の投資信託等を対象とした枠だ。年間投資枠は120万円で、毎月コツコツ積み立てながら運用したい人に向いている。投資できる商品は金融庁の基準を満たした長期の積立・分散投資に適したものに絞られているため、商品選びに迷いにくいという側面もある。

成長投資枠は、投資信託に加えて上場株式やREIT(不動産投資信託)など、より幅広い商品を選べる枠だ。年間投資枠は240万円で、個別銘柄を自分で選びたい人にも対応している。

2つを合わせた年間投資枠の合計は360万円。生涯を通じて非課税で保有できる上限(非課税保有限度額)は総額1,800万円で、そのうち成長投資枠で使えるのは最大1,200万円だ。

ここで一点注意がある。1,800万円という上限は、資産の時価ではなく買ったときの金額(簿価)ベースで管理される。含み益が膨らんでも枠が圧迫されるわけではないが、計算の基準が時価ではないことを知っておくと混乱が防げる。


口座を開設するまでの4ステップ

新NISAを始めるには、次の4つのステップを踏む。

ステップ1:金融機関を選ぶ

NISA口座は銀行や証券会社などで開設できるが、1人1口座しか持てない。開設後に変更するには年単位の手続きが必要になるため、最初の選択はそれなりに重要だ。

選ぶ際に確認したいのは、取り扱い商品の種類(とくに低コストのインデックス型投資信託が揃っているか)、積立設定のしやすさ、アプリの使い勝手、そして手数料の水準だ。キャンペーンやポイント還元も参考にはなるが、それだけで決めると後で不満が出やすい。

ステップ2:口座開設を申し込む

選んだ金融機関のウェブサイトまたは店舗で申し込む。本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)とマイナンバー確認書類の提出が必要だ。金融機関が税務署を通じてNISA口座の重複申請がないかを確認するため、開設完了までには通常1〜3週間程度かかる。

ステップ3:商品を選ぶ

口座開設が完了したら、何を買うかを決める。はじめてで何を選べばいいかわからない場合、つみたて投資枠の対象商品から低コストのインデックス型(市場全体の動きに連動するよう設計された商品)を選ぶのが、初心者にとって候補になりやすい選択肢の一つだ。

ステップ4:入金・積立設定をする

つみたて投資枠を使うなら、毎月の積立金額と引き落とし口座を設定しておけば、あとは自動で購入が続く。一度設定してしまえば、日々相場を追わなくても積立が進む点が、長期投資との相性を良くしている。


「制度を知る」が最初の投資

新NISAを使うこと自体が資産を増やすわけではない。中身は株式や投資信託であり、価格が下がれば当然損失も出る。「NISA口座に入れたから安心」ではなく、「税金の面で有利な枠の中で、リスクをとって運用する」という構造を理解しておくことが大前提だ。

どの金融機関を選ぶか、どの商品を買うか、いくら積み立てるか——これらはすべて自分で決める必要がある。制度の仕組みを正しく知ることが、判断を誤らないための土台になる。

新NISAには注意点もある。口座の管理ルール、非課税枠の使い方の落とし穴、そして2026年度に示された制度見直しの方向性については、次の記事で詳しく整理したい。

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この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー

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