2025年6月13日、基礎年金の底上げや「年収106万円の壁」撤廃などを盛り込んだ年金制度改革法案が、参議院本会議で可決・成立する見通しとなった。12日には参議院厚生労働委員会で、自民・公明・立憲民主などの賛成多数により可決されており、会期末を前に成立が確実となった。
改正の主な内容:「106万円の壁」撤廃と高齢者就労の見直し
今回の法案では、パートタイム労働者などが厚生年金に加入しやすくなるよう、年収106万円以上という賃金要件を撤廃する。施行時期は公布から3年以内に政令で定められる予定。さらに、現在は従業員51人以上の企業に限定されている加入義務も、2027年10月から段階的に縮小され、最終的に10人以下の企業まで適用範囲が広がる。
また、働く高齢者の就労意欲を削がないよう、在職老齢年金制度の見直しも行われる。2026年度からは、給与と厚生年金の合計額が月62万円以下であれば年金を満額受給できるようになり、現行の月50万円以下から基準が引き上げられる。
基礎年金の底上げは2029年の財政検証で判断
低年金対策として注目されていた基礎年金の底上げについては、2029年に予定される次回の公的年金財政検証の結果を踏まえた判断に先送りされる。もし給付水準のさらなる低下が見込まれれば、厚生年金の積立金を活用して底上げを実施する可能性がある。ただし、この積立金活用にはSNS等で「流用」との批判も出ており、財源の確保と国民理解の促進が課題として残る。
企業・団体献金を巡る議論は継続
一方、政治資金の透明性を巡る「企業・団体献金」のあり方について、与野党間で議論が続いている。12日に行われた各党の政治改革担当者による協議でも、「禁止すべき」とする立場と「規制強化にとどめるべき」とする立場との隔たりは埋まらなかった。このため、議論は今後の参議院選挙後に持ち越される見通しである。
現金給付の再実施を巡る与党内の議論
物価高対策として、自民・公明の両幹事長らが現金給付の再実施で一致したことも明らかになった。ただし、自民党内では、2024年4月に一度見送った経緯があるため、再実施には明確な理由が必要との慎重論もある。国民負担の軽減を強調する実施派と、財政健全性を重視する慎重派の間で議論が続いており、13日にも党幹部による協議が行われる予定。
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