米商務省、安全保障リスクで航空機・部品輸入調査を開始──追加関税も検討
2025年5月10日 15:13/FPTRENDY編集部
概要
米商務省は通商拡大法(Section 232)に基づき、民間航空機やエンジン、関連部品の輸入について安全保障の観点から調査を開始した。調査の結果次第では、現行の10%関税に追加関税を上乗せする可能性がある。
調査のポイント
開始時期:2025年5月10日
対象品目:旅客機(ボーイングなど)、ジェットエンジン(ロールス・ロイス製など)、航空機部品一式
調査期間:3週間(パブリックコメント募集)
調査項目:外国政府の補助金や貿易慣行が米航空産業の競争力に与える影響、安全保障上の懸念
背景
現行関税率はほとんどの航空機・部品に10%を課税。英国とは、英国がボーイング機を10億ドル購入する代わりにロールス・ロイス製エンジンを無関税で輸出できる特例合意を結んでいる。
企業・業界の反応
? ボーイングは、イタリアや日本から調達する部品への追加関税がコスト増を招くと懸念
? 米航空宇宙工業会(AIA)のエリック・ファーニングCEOは「国内サプライチェーン強化の機会を探りつつ、製造競争力維持の枠組みを守る」と商務省と協力する姿勢を示した
今後の見通し
3週間の意見公募を経て、夏頃に最終決定
追加関税が航空機製造コストの上昇や部品メーカーの輸出戦略に影響を与える可能性
安全保障を名目とした措置が他分野にも波及するリスク
航空産業は米国の基幹産業であると同時に安全保障に直結する分野。今回の調査結果は、グローバルなサプライチェーンと貿易ルールに新たな波紋を広げることになりそうだ。