2025年5月8日、アメリカのトランプ大統領は、イギリスとの間で関税措置をめぐる貿易合意に達したと発表しました。発表はホワイトハウスで行われ、大統領はこの合意を「完全かつ包括的」と形容しました。これは、トランプ政権が4月に発表した新たな関税政策(通称「Liberation Day関税」)以降、初めての二国間合意とされます。
ただし、実態は自動車や鉄鋼といった特定分野に焦点を当てた限定的な合意であり、基本関税率である10%は維持されるとみられています。合意の詳細は依然として公開されておらず、BloombergやAxiosは「限定的合意」や「詳細未公表」といった表現で慎重な報道を展開しています。
Axiosは今回の合意を「他国との交渉のモデルケースとなる可能性がある」と評価しましたが、一方でX(旧Twitter)上では、「英国の対米輸出シェアは3%未満」「象徴的な意味しか持たない」「黒字国との合意は経済的に矛盾している」といった懐疑的な意見も多数見られます。
また、英国によるデジタルサービス税の見直しについては、Daily Mailが譲歩の可能性を報じていますが、The TimesやGuardianといった主要メディアでは確認されていません。AI分野での協力に関しては現時点で信頼できる情報源は存在せず、報道はありません。
各国メディアの報道
【アメリカ】
● Axios(https://www.axios.com/2025/05/08/trump-britain-trade-deal-tariffs-keir-starmer) → 米英が「初の主要な貿易協定」を締結。他国との交渉のモデルケースと位置付け。合意の詳細は未公開。スターマー首相の穏健な交渉姿勢が成功要因との見方。
● Bloomberg(https://www.bloomberg.com/news/articles/2025-05-08/trump-announces-comprehensive-us-uk-trade-pact-after-talks) → 自動車や鉄鋼関税に焦点を当てた「限定的合意」。10%の基本関税は継続の見通し。市場は一定の好感を示すも、構造改革には至らず。
【イギリス】
● The Times(https://www.thetimes.co.uk/article/keir-starmer-trump-tariffs-trade-deal-k2x7xchkl)※購読制 → X上の投稿によると、スターマー首相の外交的成果として伝えられた。詳細確認不可。デジタルサービス税や米国車関税の見直しは、Daily Mailの報道が主な情報源。
● The Guardian(https://www.theguardian.com/politics/live/2025/may/08/donald-trump-us-uk-keir-starmer-trade-deal-politics-live-news) → ライブブログ形式で速報を提供。合意の具体的中身は掲載されておらず、過去の批判的スタンスから「包括的ではない可能性」「議会での精査の必要性」が指摘される傾向にある。
● Financial Times(https://www.ft.com/content/81151da7-0b2d-4d4b-a315-a995a7fc5e2d)※購読制 → 自動車・鉄鋼分野に焦点を当てた暫定的措置。将来的にFTA(自由貿易協定)への道を開く可能性があると推測されている。
今回の米英貿易合意は、外交的には大きな意味を持つものの、内容の限定性や経済的影響の乏しさから「包括的」との表現には疑問が残ります。今後の詳細な公表と、他国との合意進展が注目されます。