2025年4月、トランプ米大統領が発表した新たな関税政策が、国際社会をざわつかせています。発表された関税は最大で25%。一部の国や製品に一律に適用される可能性もあり、経済的なインパクトだけでなく、外交的な摩擦も巻き起こしています。
そんな中、真っ先に強烈な言葉を投げかけたのが、チリのガブリエル・ボリッチ大統領。思わず二度見したくなるような発言が飛び出しました。
■ チリ:ガブリエル・ボリッチ大統領
「まるで皇帝気取りだ」(Bloomberg 2025年4月2日 )
ボリッチ大統領は4月2日、インドを訪問中の会見で、トランプ氏の就任式について「新皇帝気取りの人物が大富豪たちに表敬訪問されていた」と痛烈に皮肉。さらに、米国が一方的に関税を設定する動きについて「国際貿易のルールを無視している」と強く批判しました。
背景には、チリの主力輸出品である銅への関税発動が現実味を帯びてきたことがあります。もし最大25%の関税が課されれば、チリ経済は年間12億ドル以上の打撃を受けるとする政府試算もあり、ボリッチ氏の苛立ちは理解できます。
■ フランス:エマニュエル・マクロン大統領
「根拠がない。混乱しか生まない」
4月3日、パリで開かれた経済フォーラムでマクロン大統領は、「この関税政策には経済的な根拠が見当たらない」とバッサリ。
「フランスのワインや航空機部品など、対米輸出は年間で500億ユーロにのぼる。関税がかかれば、数十億ユーロの損失になる」とし、仏企業の対米投資の見直しも示唆しました。
■ 欧州連合(EU):ウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長
「EUとして、黙ってはいられない」
EUのフォン・デア・ライエン委員長も、ブリュッセルでの会見で「米国の一方的な行動は自由貿易への挑戦」と厳しく批判。
EUの対米輸出は年間約4,500億ユーロ。委員長は「米国産の農産物や自動車などに、最大30%の報復関税を検討している」と述べ、EU全体での結束を呼びかけました。
■ 中国:王毅外相
「協力の顔をしながら、背後から殴るようなものだ」
中国の王毅外相は北京での講演で、米国の対中関税を「二枚舌外交」と表現。トランプ政権が中国製品に35%の追加関税を課す方針を示したことに対し、中国政府は即座に反応。
4月10日から米国産の大豆や電気自動車に34%の報復関税を発動する方針を表明しました。
「この動きはWTO違反の可能性があり、正式な提訴も視野に入れている」と、対抗姿勢は本気モードです。
■ アイルランド:ミホール・マーティン首相
「小国の声にも耳を傾けてほしい」
アイルランドのマーティン首相は、「こうした関税は、大国よりも中小国の方に影響が大きい」と懸念。アイルランドでは乳製品など農産物の対米輸出がGDPの約5%を占めており、年間10億ユーロの損失もありうると警告。
「ルールなき通商政策は、国際的な信頼を壊す」として、EU内での連携強化を訴えました。
◆ 国ごとに異なる反応、でも共通点は「不満」
ここまで見てきた通り、各国のスタンスには違いがあります。
- EUやチリは協調や制度的対抗(WTOなど)を模索
- 中国は即時報復という強硬路線
- アイルランドは中小国としての立場から“被害者”の声を発信
しかし共通しているのは、「一方的で予測不能なトランプ政権の動きに困惑し、不満を抱いている」という点です。
◆ 孤立するアメリカ、再び?
トランプ氏の「アメリカ第一」は、国内では一定の支持を集めていますが、国際社会では摩擦の火種に。
各国の反発は、ただの外交的なやり取りではなく、「米国との付き合い方」そのものが問われていることを示しています。
G20やWTOなどの国際会議でも、この関税政策が議題となるのは必至。
果たして、世界はこの“孤立する超大国”とどう向き合っていくのでしょうか。