View Categories

アメリカ・対米証券投資(TICレポート)

< 1 min read

アメリカ・対米証券投資(TIC:Treasury International Capital)は、米財務省が毎月発表する国際資本の流れを示す指標で、外国からアメリカへの証券投資の状況を把握するための重要な経済統計です。正式には「対米証券投資統計」と呼ばれ、株式、米国債、社債などの売買動向を国別に集計しています。

この指標の主な目的は、アメリカの国際収支、特に経常赤字を支える「資本流入」がどのように構成されているかを明らかにすることにあります。つまり、米国が世界からどれだけの資金を集めているか、そしてそれがどの国から、どの資産クラスに流れているかを追跡するものです。

TICレポートでは、純ベースでの「ネット対米証券投資」の数値が特に注目されます。これは、外国人による米国証券の購入額から売却額を差し引いたもので、プラスであれば資金が米国に流入していることを示します。加えて、米国人による対外証券投資も併せて報告され、相互の資金移動の全体像を描き出します。

また、国別の保有残高データでは、日本や中国などの主要国がどの程度の米国債を保有しているかが明らかになり、市場では米国の財政や為替政策への信認を測る間接的な手がかりとして受け止められています。たとえば、中国の米国債保有残高が急減すれば、「ドル離れ」や地政学的リスクを意識する材料にもなり得ます。

対米証券投資は為替市場とも深く関連しており、大規模な資本流出入があった場合にはドル相場に直接的な影響を及ぼすことがあります。また、米国の財政赤字拡大が続く中では、「誰が米国債を買っているのか」という視点で注目度が高まっており、金融政策と並んで資金調達環境を読み解く上で欠かせないデータとなっています。

このように、TICレポートは一見地味ながらも、グローバルマネーフローの可視化という点で重要な役割を果たし、国際金融市場の背景を読み解く手がかりとなっています。

目次