ニューヨーク連邦準備銀行が毎月発表する「ニューヨーク連銀製造業景気指数(Empire State Manufacturing Index)」は、米国北東部に拠点を置く製造業企業の景況感を示す経済指標です。製造業者へのアンケートをもとに、企業の現状や見通しを数値化したもので、50を基準に景気の拡大・縮小の判断が行われます。
この指数は、特に企業の新規受注、出荷、生産、雇用、在庫の状況などを含む総合的な調査結果を反映しており、地域限定でありながら全米の製造業の先行きを占う「早期指標」として注目されています。速報性の高いデータとして、金融市場や政策当局の注目度も非常に高い点が特徴です。
ニューヨーク連銀が担当しているのは主にニューヨーク州ですが、州内には高度な製造拠点が多く、全米景気の動向を敏感に映し出す地域のひとつとされています。そのため、本指数は米国東部の景気動向にとどまらず、全米の製造業に対する見方にも大きな影響を与えます。
同様の指標としては、フィラデルフィア連銀が発表する「フィラデルフィア連銀製造業景気指数」や、全米規模であるISM製造業景況指数(Institute for Supply Management Manufacturing PMI)などがあります。これらと比較しても、ニューヨーク連銀指数は発表時期が早いため、市場関係者はその内容を先行指標として活用することが多くなっています。
数値がプラスであれば製造業の活動が拡大傾向にあると解釈され、マイナスであれば縮小を意味します。ただし、変動が激しい傾向もあり、一度の数値で景気の全体像を判断するのではなく、複数月の推移や他の指標と照らし合わせる読み方が重要とされます。
アメリカ経済のモメンタムをつかむ上で、月中にいち早く発表されるこの指標は、マーケット参加者にとって欠かせない存在となっています。