英国・GfK消費者信頼感調査は、イギリスにおける一般消費者の心理状態を定点的に測定する指標であり、景気や個人消費の先行きを占う重要な経済データの一つです。ドイツに本拠を置く市場調査会社GfKが毎月実施・公表しており、イングランド銀行（BOE）や財務省、金融市場の関係者からも広く注目されています。
この調査は、英国在住の成人約2,000人を対象に行われ、個人の経済に対する「期待」や「不安」の度合いを数値化します。調査項目は主に以下の5つで構成されています：
- 現在の個人財務状況に対する評価
- 12か月後の個人財務状況の見通し
- 現在の一般経済状況に対する評価
- 12か月後の一般経済見通し
- 今が大型消費（家具・家電など）に適した時期かどうか
これらの回答をもとに算出された「総合信頼感指数（Consumer Confidence Index）」は、ゼロを中立とし、プラスであれば楽観的、マイナスであれば悲観的な心理が広がっていることを意味します。英国では長期にわたってマイナス圏にあることが多く、数値の水準よりも変化の方向性が重視される傾向があります。
この指標の特徴は、実体経済の指標よりも先に変化が現れることです。たとえば、消費者信頼感が低下すれば、将来的な消費支出の抑制が予想され、景気の減速を示唆するシグナルと見なされます。逆に、信頼感が改善すれば消費意欲の高まりが期待され、個人消費を中心とした景気回復の兆しと解釈されます。
また、インフレ率の高騰や金利上昇といった経済的なプレッシャーは、この調査結果に敏感に反映されることが多く、家計の実感に近い「体感景気」を測るうえでも非常に有効です。
このように、英国・GfK消費者信頼感調査は、家計部門のマインドを可視化する先行指標として、政策決定や市場予測、企業の販売戦略にまで影響を与える実務的な経済データと位置づけられています。
