英国・建設業PMIとは、イギリス国内における建設業の景況感を示す経済指標であり、S&Pグローバルとチャーター・インスティテュート・オブ・プロキュアメント・アンド・サプライ（CIPS）が毎月発表している。正式には「Construction Purchasing Managers’ Index」と呼ばれ、同様に発表される製造業PMIやサービス業PMIと並ぶ主要な業種別PMIの一つである。
調査内容と指標の意味 #
この指数は、住宅建設、商業施設、インフラ事業といった主要な建設分野に携わる購買担当者に対し、受注状況、人手確保、原材料の納入状況、価格動向などをアンケート形式で集計した結果から算出される。
結果は指数化され、50を上回ると業界の拡大傾向、50を下回ると縮小傾向を示すとされる。特に英国内の住宅市場や公共投資動向と連動性が高く、内需の勢いを把握する手がかりとして重宝されている。
建設業特有の視点と季節要因 #
建設業は天候や季節に左右されやすい産業であるため、同じPMIでも製造業やサービス業と比べて変動幅が大きく出やすい。たとえば、冬場の悪天候が工事の進捗に影響することも多く、指標が一時的に50を下回ることも珍しくない。
そのため、単月の数字ではなく、3か月移動平均や前年比比較など中期的な視点から判断することが望まれる。
英経済における役割と市場への影響 #
イギリスの建設業はGDP全体に占める割合こそ限定的ではあるが、雇用創出や景気循環への感応度が高いため、経済の“現場レベル”の体温を測る指標として注目されている。特に、中央銀行（イングランド銀行）の政策判断や、不動産市場の加熱・冷却を見極める材料として、建設業PMIは補完的な役割を果たしている。
また、利上げや財政出動といった政策の影響が建設活動にどう波及しているかを読み解く上でも、PMIのトレンドは投資家や経済アナリストにとって有益な情報源となっている。
他の業種別PMIとの比較 #
同じ英国発表のPMIでも、建設業PMIは他の業種に比べて発表タイミングがやや遅く、月初に発表される製造業・サービス業のPMIとあわせて全体像を補完する位置づけにある。また、建設業PMIは英国に特有の住宅需要や不動産市場の動きが反映されやすいため、住宅ローン金利や不動産価格の動向と合わせて読むことで、より立体的な経済分析が可能となる。
