View Categories

ニュージーランド・2年インフレ予想(2-Year Inflation Expectations)

< 1 min read

ニュージーランド準備銀行(RBNZ:Reserve Bank of New Zealand)が四半期ごとに発表する「2年インフレ予想(2-Year Inflation Expectations)」は、今後2年間にわたる消費者物価の上昇率について、市場関係者がどう予測しているかを示す指標です。ニュージーランドでは、中央銀行の金融政策運営において、このインフレ期待の水準が非常に重視されています。

この調査は主に金融機関、経済学者、アナリストなどの専門家を対象に行われ、結果は四半期ごとに公表されます。予想インフレ率はパーセンテージで示され、たとえば「2.3%」といった数値がそのまま予想インフレ率を表します。

なぜ2年間なのかというと、これはニュージーランド準備銀行が金融政策の目標とする「中期的なインフレ目標」(現在は1〜3%の範囲で、中心値は2%)と最も整合的だからです。2年というスパンは、金融政策の影響が経済に波及するまでのタイムラグを見越したものであり、実際に利上げや利下げを判断するうえでの基準にもなっています。

この指標は、単なる予測データにとどまらず、中央銀行がインフレ期待を「制御できているか」を示す間接的な評価でもあります。もし予想インフレ率が目標レンジを大きく上回ったり下回ったりするようであれば、RBNZは金融政策の見直しを迫られる可能性があります。

たとえば、2年インフレ予想が高まり続ければ、将来的なインフレ懸念が強まった証拠とされ、政策金利の引き上げが視野に入ることになります。逆に、予想値が低迷すれば景気減速やデフレ懸念の兆候とみなされ、緩和策が検討されることもあります。

日本や米国などでは長期の期待インフレ率は市場から間接的に推計されることが多い一方で、ニュージーランドのように中央銀行が直接アンケート形式で収集・公表する国は少数派です。その点でも、この指標はニュージーランドの金融政策を理解するうえで非常にユニークかつ実務的な役割を担っています。

目次