日本の鉱工業生産(確報値)は、経済産業省が毎月発表する生産動向統計の一部で、国内の製造業・鉱業・電気・ガス業などの生産活動を数量ベースで集計した指標です。この確報値は、月末に先行して発表される「速報値」を基に、より多くの報告データを反映して改定されたものであり、最終的な月次の実績を把握するうえで重要なデータとなります。
鉱工業生産指数は、日本国内における「モノづくり」の実態を測る指標として、景気の先行きを見通す材料として広く使われています。速報段階では限られた企業からの回答をもとに仮集計されており、確報段階での修正によって、実際の生産動向が明らかになります。とくに景気の転換点にある局面では、速報と確報の差異が注目されます。
この確報値では、鉱工業生産のほか、出荷指数、在庫指数、在庫率指数なども改定されて公表されます。なかでも「生産予測指数」と呼ばれる翌月・翌々月の企業による見通しと照らし合わせることで、予測の精度や景気認識の変化を評価する材料となります。
発表のタイミングとしては、速報値が原則として翌月下旬、確報値がその約1週間後に発表されるのが通例です。速報段階で市場予想と大きく乖離した場合や、その後に発表される他の統計(たとえばGDPや企業物価指数)との整合性が問われる場合には、この確報値の内容がマーケットの注目を集めることもあります。
なお、鉱工業生産はGDPの「生産面」統計とも連動しており、短期的な経済成長の流れを把握する上で補完的な役割も担っています。とくに日本では、サービス業に比べて製造業の景気動向が波及効果を持つ局面が多く、景気循環の初動を捉える指標としての意義が今なお根強く残っています。