カナダ・Ivey購買部協会指数(Ivey Purchasing Managers Index)とは、カナダにおける購買活動の強弱を測る経済指標で、毎月初旬に発表される。カナダのウェスタン・オンタリオ大学(Ivey Business School)と供給管理協会(SCMA)が共同で作成しており、官民の広範な購買データに基づくことから、カナダ経済の現状を敏感に映し出す「先行指標」として注目されている。
他国のPMIと異なるユニークな構成 #
Ivey PMIは、米国のISM PMIや中国の財新PMIとは異なり、製造業と非製造業を分けず、ひとつの総合指数として発表されるのが特徴である。また、調査対象も政府機関・民間企業を問わず幅広く、公共支出の動向が反映されやすいという点でも特異性がある。
このことから、Ivey PMIはカナダ全体の購買活動の熱量を一括で示す「マクロ的な体温計」として位置づけられている。
PMIの読み方と市場への影響 #
Ivey PMIの数値は0〜100で表され、50を上回れば購買活動の拡大、50を下回れば縮小を示す。特に60を超えるような水準は「加熱気味」として警戒されることがあり、逆に40台に落ち込めば景気後退への警戒が強まる。
月ごとの変動が大きいため、前月比での上昇・下落幅や、市場予想との乖離にも注目が集まる。発表後にはカナダドル(CAD)の為替レートや金利先物市場が敏感に反応することもある。
カナダ経済とIvey PMIの関係 #
資源輸出国としての性格を持つカナダでは、世界的な景気循環や商品市況の変動が購買活動に強く影響する。そのため、Ivey PMIは「グローバル景気に対するカナダの感応度」を映す鏡でもある。
特に、原油価格や米国経済の動向が好調なときにはPMIが50〜60台後半で安定する傾向にあり、逆に外部環境が悪化した際は急落するケースも見られる。
指標の限界と補完的な視点 #
Ivey PMIは速報性に優れる一方で、季節調整や業種別の内訳が公表されない点には留意が必要である。そのため、より詳細な経済状況を把握するには、カナダ中央銀行(BOC)の景気見通しや、GDP速報値、雇用統計などと併せて分析することが望ましい。
また、民間部門のマインドやインフレ圧力を探る手がかりとして、Ivey PMIに加え、設備稼働率や企業信頼感指数なども補完的に活用されている。