Claude 作業の途中で、突然止まる
長い文章を書いてもらっている途中、あるいは複雑な調査を依頼している最中に、Claudeが急に応答を止める——。Claude Proを使っていれば、一度はこんな経験をしたことがあるかもしれない。
これは不具合ではなく、プランに含まれる使用量の上限に達したためだ。Claudeの有料プラン(Pro・Max 5x・Max 20x)には、それぞれ一定の利用枠が設けられており、その枠を使い切ると会話がいったん停止する仕組みになっている。
この「止まる」という体験を解消するために用意されているのが、「追加使用(Extra usage)」という機能だ。今回は、この機能の仕組みと、うまく活用するための設定を整理する。
「追加使用」とは何か——保険としての役割
追加使用を一言で表すなら、「プランの枠が尽きた後も、作業を止めずに続けられる延長線」だ。
通常、上限に達するとClaudeは応答を止める。追加使用をオンにしておくと、上限到達後も標準のAPI料金(従量課金)で利用を継続できるようになる。
ここが誤解されやすい:オンにしただけでは課金されない
追加使用を「オンにした瞬間に課金が始まる」と思っている人が多いが、それは正確ではない。
課金が動き出すのは、次の3つがすべて揃ったときだ。
- プランの上限に達した
- 前払いクレジット(残高)がある
- 継続を選択した
つまり、追加使用はあくまで「待機状態」に過ぎず、日常的に枠内で収まっているなら費用は一切かからない。普段の使い方が変わらなければ、設定しておくだけで損はない機能だ。
ひとつ補足しておくと、リクエストの処理が終わった後にトークン数が確定する仕組み上、「最後の1回」で使用量の境界をまたぐことはあり得る。上限ギリギリの状態で大きなリクエストを送ると、わずかに超過してしまうケースがまれに起こる点は覚えておきたい。
セッション上限は5時間ごとにリセット
なお、プランに含まれる使用枠は5時間ごとに通常どおりリセットされる。追加使用をオンにしても、このリセットの仕組み自体は変わらない。追加使用は「枠が戻るまでのつなぎ」として機能するものだ。
設定の手順:有効化から支出管理まで
追加使用は以下の手順で有効化できる。
- 設定 > 使用状況(Usage)を開き、「Extra usage」をオンにする
- 支払い方法を登録する
- 月間支出上限(Monthly spend cap)を設定する(または「無制限」を選択)
- 前払いクレジット(Add funds)を購入して残高を確保する
- 必要に応じて自動リロード(Auto-reload)を設定する
なお、スマートフォンのAppStore・Play Store経由で有料プランに加入している場合は注意が必要だ。追加使用の有効化やクレジットの購入は、Webブラウザ版(claude.ai)でのみ行える。アプリからは操作できない。
また、1日に追加できるクレジットの上限は$2,000と決まっている。
追加使用の費用は月額サブスクとは別枠で計上され、使用状況(Usage)で確認できる。
事故を防ぐ「3点セット」
追加使用は便利な一方、設定を誤ると予期しない出費につながることもある。特に初めて使う場合は、以下の3つを基本にするとよい。
① 月間支出上限を小さめに設定する
月間支出上限は「万が一のストッパー」として機能する。最初は$5〜$20程度の小さな上限を設定しておき、実際の使い方を見ながら調整するのが安全だ。
② 自動リロードは最初オフにする
自動リロードは残高が一定額を下回ると自動で補充する機能だ。便利ではあるが、意図せず使用量が増えたときにクレジットが補充され続ける可能性がある。慣れるまではオフにしておくと、使いすぎで止まる(≒気づける)設計になる。
③ 使用状況アラートをオンにする
設定から「Usage alerts(使用状況アラート)」を有効にしておくと、上限に近づいたときに通知が届く。予想外の出費を防ぐ最初の防衛線だ。
クレジットの扱い:繰り越しと、忘れがちな「1年失効」
前払いで購入したクレジットは、月末にリセットされるわけではなく、残高として翌月以降も持ち越せる。この点は、月額固定のサブスクリプションとは異なる特徴だ。
ただし、大事な注意点がある。
- クレジットは返金不可
- 購入から1年で失効する(延長はできない)
使い切れずに失効させてしまうと、支払い済みの残高が消えてしまう。まとめ買いには注意が必要だ。
何が「追加使用」としてカウントされるか
追加使用の対象になるのは、通常のチャットだけではない。
- Claudeの通常チャット
- Claude Code(ターミナルからの利用)
- Research mode(Max 20xの上限を超えた場合に適用される)
また、プロジェクトやファイルに保存した長い文書を会話に含める場合も、そのぶんトークン(処理量)が増えるため、追加使用の費用に影響することがある。長い定型文書を毎回貼り付けるような使い方をしている場合は意識しておくとよい。
モデルごとの単価:どのモデルが「コスパよく止まらない」か
追加使用の課金は、標準のAPI料金に基づく。料金は100万トークンあたりの単価(入力・出力それぞれ)で計算される。以下の単価はClaude APIの公開単価(API pricing)と同じ料金体系だ。
基本単価(入力が20万トークン以下の場合)
| モデル | 入力(/100万トークン) | 出力(/100万トークン) |
|---|---|---|
| Opus 4.6 | $5 | $25 |
| Sonnet 4.6 | $3 | $15 |
| Haiku 4.5 | $1 | $5 |
入力が20万トークンを超えた場合
| モデル | 入力 | 出力 |
|---|---|---|
| Opus 4.6 | $10 | $37.50 |
| Sonnet 4.6 | $6 | $22.50 |
200Kトークンの判定は「入力トークン数」が基準だ。1つのリクエストで200Kを超えると、そのリクエスト全体が高い単価側で計算される。通常のテキストチャットではこの閾値に到達することはまずないが、長い資料をプロジェクトで参照し続けるような使い方では意識しておくとよい。
日本語での感覚値
トークンとは、AIが処理するテキストの単位だ。日本語の場合、目安として1トークンあたり1〜2文字程度になるが、文章の内容や記号・英数字の混在具合によってブレる。
たとえば、入力が約2,100文字・出力が約3,900文字規模の1回のやりとりを想定すると:
- Haiku 4.5:非常に安価に多くのやりとりができる。月間$20の上限を設定しても、相当な回数こなせる
- Sonnet 4.6:Haikuの数分の1程度の回数になる
- Opus 4.6:さらに単価が上がるため、同じ$20でこなせるやりとりの数は少ない
追加使用のコストを抑えたいなら、モデルの選択が最も効く。普段使いにはSonnet 4.6、コストを優先するならHaiku 4.5、という使い分けが現実的だ。
Prompt cachingについて
Prompt caching(プロンプトキャッシュ)は、主にClaude API(開発者向け)で利用できる仕組みだ。Webアプリの通常利用ではユーザーが明示的に設定する場面は少ないが、APIやClaude Codeで定型コンテキストを頻繁に使う場合、コスト削減の手段になり得る。
まとめ:「止まらない」を安全に手に入れる
追加使用は、作業の中断を減らすための実用的な機能だ。ただし、設定なしで使い始めると意図しない課金につながることもある。
使い始めるなら、次の順序が安心だ。
- 月間支出上限を小さく設定してから有効化する
- 自動リロードはオフのままにする
- 使用状況アラートを有効にする
- 実際の使用量を確認しながら上限を調整する
クレジットは1年で失効する点も忘れずに。買いすぎず、必要な分だけ購入する習慣を持っておくと安心だ。
本稿の料金・仕様は執筆時(2026年2月23日)のAnthropicの公開情報をもとに構成しています。価格や仕様は予告なく変更される場合があります。また、会話の内容・長さ・モデルの選択によって実際のコストは異なります。
また、実際にご利用の際にはご自身の責任で公式サイトより情報を入手の上ご判断・ご利用下さい。

