トランプ大統領とプーチン大統領の電話協議
4日、トランプ米大統領とプーチン露大統領は約1時間15分にわたって電話協議を行った。トランプ大統領は自身のSNSに「即時和平につながる会話ではなかった」と記しつつ、ウクライナ情勢をめぐる一連の攻防について議論したことを明らかにした。
ウクライナ情勢を巡る議論
両首脳は、6月1日にウクライナが実施したロシア空軍基地への大規模ドローン攻撃および、それに対するロシアの報復(「反撃」を示唆するプーチン大統領の発言)について意見を交わした。トランプ大統領は「プーチン氏が反撃しなければならないと非常に強い口調で言っていた」と述べ、この攻防の過熱に懸念を示した。
ウクライナによるロシア軍基地攻撃の実態
ウクライナ軍は1日、シベリアなどの複数拠点にあるロシア軍基地をドローンで襲撃し、40機超の長距離戦略爆撃機を破壊したと主張した。これにより、ロシアが配備する同種機の約34%が失われたとされる。事前に米政府には通告が行われておらず、トランプ大統領自身も「ウクライナから攻撃計画について通知を受けていなかった」と説明した。
アメリカ政府内の懸念
米政府のウクライナ担当特使ケロッグ氏は、ウクライナの攻撃を受けて「相手の国家存続システムの一部を攻撃すればリスクレベルが上昇する」と指摘し、報復の応酬で事態が拡大しかねないとの見解を示した。また、超党派の議員グループはロシアから輸入された石油・ガスなどを経由する第三国に対し500%の関税を課す追加制裁法案を提出し、米国内の強硬論も高まっている。
停戦交渉の停滞と仲介役の先行き
プーチン、ゼレンスキー両政権による直接交渉(2日トルコ・イスタンブール開催)は「有益だった」とロシア側は主張する一方、停戦には至っていない。トランプ大統領は停戦交渉が進展しない現状にいら立ちを募らせ、「進展がなければ仲介役を降りる」と示唆してきた。両国の強硬姿勢が続く限り、即時停戦の道筋はなお遠いとみられている。
イラン核問題に関する協議
同電話会議では、イランの核開発を巡る協議にも話題がおよんだ。トランプ大統領は「イランの核兵器保有は許されない」とプーチン大統領に伝え、今春から続く米・イラン協議について「決定の期限が迫っている」と強調した。プーチン大統領はロシアが協議に「参加し、迅速な解決を手助けする可能性がある」と提案。この申し出は、ロシアがウクライナ停戦協議では譲歩しない一方、イラン問題で協力姿勢を見せることで西側の不満を和らげようとする意図が透ける。
今後の見通し
電話会議後、両国は「首脳間だけでなく、さまざまなレベルでの連絡を継続する」ことで一致した。だが、ウクライナ情勢は攻防のエスカレーションを伴い、イラン核協議では大きな隔たりが依然残る。トランプ大統領の「即時和平につながるものではなかった」との認識と、米国内で強まる対ロ強硬論を勘案すると、当面は緊張の高まりが続き、米露の外交的関与が次の大きな転機を迎えるまでには時間を要すると見られる。
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