任天堂も直撃──関税ショックで利益数百億円圧迫へ、新型スイッチにかかる期待
2025年度の業績見通し、関税リスクが暗い影を落とす──。
ゲーム大手・任天堂は、2025年度の業績について、米国のトランプ政権による関税政策の影響で利益が数百億円押し下げられる見通しを明らかにしました。これは企業単体の問題ではなく、日本の製造業全体にとって重要なシグナルとも言えます。
2024年度は大幅減収減益、「ヒット作の反動」
8日に発表された2024年度決算によれば、
- 売上高は前年から30.3%減の1兆1649億円
- 純利益は43.2%減の2788億円
と大きく落ち込んでいます。主な理由は、前年度にゲームソフトのヒットが集中したことの「反動減」とされており、恒常的な減収ではない点は救いです。
2025年度は反発見通し、カギを握るのは「スイッチ2」
しかし、2025年度は売上・利益ともに増加を見込んでおり、
- 売上高:1兆9000億円(+63.1%)
- 純利益:3000億円(+7.6%)
と回復が予想されています。この見通しを支えるのが、6月に発売予定の新型ゲーム機「ニンテンドースイッチ2」。予約は順調に進んでおり、販売計画は1500万台に上ります。
「関税リスク」は無視できず──米市場の不透明感
楽観ムードに水を差すのが、アメリカの追加関税です。任天堂は、これによって2025年度の利益が数百億円規模で押し下げられると警戒しています。
オンライン会見に登壇した古川俊太郎社長は次のように述べています:
「関税で生活必需品が値上がりすれば、家庭がゲームに使えるお金が減る可能性がある。だが新型ゲーム機の魅力をきちんと伝え、売り上げにつなげたい」
つまり関税の影響はコスト面だけでなく需要面にも及ぶという見方です。アメリカ市場は任天堂にとって極めて重要であり、同様のリスクは他の製造業にも共通しています。
任天堂だけじゃない、広がる関税ショック
この日、三菱自動車やIHIなど他の大手企業も関税による減益見通しを発表しており、「関税ショック」は一企業の問題にとどまりません。各社が日米の経済・通商政策に左右される中、投資家・消費者・政策立案者の三者が注視すべき局面が続いています。