2025年4月26日付の読売新聞朝刊1面で、「米国がドル安・円高を望む」との見出しのもと、日米財務相会談に関する報道がなされた。記事は、米ベッセント財務長官が24日に行われた加藤勝信財務相との会談において「ドル安・円高が望ましい」と述べ、為替水準に対する強い懸念を示したと伝えている。
これに対し、日本政府側は異例の形で即座に反応した。
加藤勝信財務相は26日、自身のX(旧Twitter)にて、次のように投稿した。
また、28日には財務省の三村淳財務官も記者会見で次のように述べ、強く報道内容を否定した。
「日米財務相会談で、為替の水準や目標について米国から全く話はなかった。あの記事は100%事実無根のフェイクニュースだと申し上げたい。」
毎日新聞など複数のメディアも28日までに、日本政府関係者の説明を伝えた。
それによれば、日米財務相会談では、為替に関しては「G7(主要7カ国)間の合意を確認する一般的な議論」が行われたものの、個別の為替水準に言及するような発言はなかったとされる。

加藤財務相とベッセント財務長官は会談後、握手を交わした写真とともに、ベッセント長官も自身のX(旧Twitter)で「為替レートに関する事項についても議論できた」と投稿しているが、投稿内容は個別の水準への言及を示すものではなかった。
一方、読売新聞は4月29日正午時点で、当該報道に関して訂正や続報を出していない。加藤財務相や三村財務官による強い否定についても、読売新聞紙面やオンライン版では取り上げられていない。
今回の事案は、日米財務当局間の信頼関係や為替市場への影響が懸念される中で、政府当局者が個別の報道内容を「100%事実無根」と断言して抗議する異例の展開となった。
また、報道機関側の説明責任の在り方についても、注目が集まっている。
【ポイント整理】
- 読売新聞(4月26日朝刊)が「米財務長官がドル安・円高を望んだ」と報道。
- 日本政府(財務相・財務官)は「100%事実無根」と公式に強く否定。
- 他メディア(毎日など)も政府側の否定を報道。
- 日米会談では「G7合意確認」が中心で、個別の為替水準の議論は無かったとされる。
- 読売新聞は4月29日昼時点で訂正や否定報道をしていない。
- 今後の対応や為替市場への影響が注目される。