為替介入警戒とAI相場が焦点に|米株はナスダック・S&P500が最高値更新
5月1日のニューヨーク市場では、ダウが反落した一方、ナスダックとS&P500は続伸し、最高値を更新した。中東情勢の緊張緩和期待や企業決算が支えとなった一方、EU向け自動車関税の引き上げ表明が重荷となった。為替市場では、4月30日に日本当局が円買い・ドル売り介入を実施したと報じられており、追加介入への警戒が続いている。AI関連では、巨大テック企業の決算と設備投資姿勢が引き続き市場の注目材料となっている。
米国株はナスダックとS&P500が最高値を更新した一方、為替市場では4月30日の円買い介入報道を受け、追加介入への警戒が続いた。中東情勢と原油価格、AI関連投資、国内企業決算が週明けの主要な注目材料となる。
ダウは反落した一方、ナスダックとS&P500は続伸し、最高値を更新した。
4月30日の円急伸について、日本当局が円買い・ドル売り介入を実施したと報じられている。
AI関連決算、中東情勢、原油価格、国内企業決算が市場の焦点となる。
米国市場・金利・商品
ナスダックとS&P500が最高値更新、ダウは反落
5月1日のニューヨーク株式市場では、ダウ平均株価が152ドル安の49,499ドルと反落した。一方、ナスダック総合指数は222ポイント高の25,114と3日続伸し、最高値を更新した。S&P500も21ポイント高の7,230となり、続伸して最高値を更新した。
株式市場は、アメリカとイランの交渉進展への期待や、原油価格の下落が支えとなり、主要3指数そろって上昇して始まった。ただ、アメリカがEUから輸入される自動車とトラックへの関税引き上げを表明したことで、ダウは下落に転じた。
一方で、前日に市場予想を上回る決算を発表したアップルは一時5.8%高となり、ハイテク株が相場を支えた。
152ドル安
222ポイント高
21ポイント高
シカゴ日経平均先物は59,430円
シカゴ日経平均先物は59,430円で推移した。週明けの日本株市場では、米ハイテク株の堅調さや為替動向、国内企業決算への反応が焦点となる。
為替・円相場
4月30日に円買い介入実施と報道、ドル円は一時155円台へ
4月30日の外国為替市場では、円相場が1ドル=160円台から一時155円台半ばまで急伸した。この動きについて、日本当局が円買い・ドル売り介入を実施したと報じられている。
ただし、財務省が公表している最新の外国為替平衡操作の月次データは、令和8年3月30日から令和8年4月27日までが対象であり、4月30日の動きはまだ対象期間に含まれていない。このため、公式統計上の確定値は今後の公表を待つ必要がある。
その後、ニューヨーク市場ではドルがじわじわと買い戻され、1ドル=157円台での取引となった。足元では157円03銭から157円08銭近辺で推移している。
介入規模は5兆円程度との市場推計
4月30日の円買い介入については、市場では5兆円程度の規模だった可能性があるとの推計が出ている。日銀の当座預金見通しと短資会社の予測との差から、介入規模を推計する見方が広がった。
もっとも、これは現時点では市場推計であり、財務省による公式な介入実績額とは区別して見る必要がある。記事化にあたっては、「5兆円規模とみられる」「市場推計では5兆円程度」といった表現が自然である。
160円が防衛ラインとの見方、追加介入への警戒も
市場では、1ドル=160円近辺が政府・日銀の防衛ラインと意識されているとの見方がある。大型連休中は市場参加者が少なく、為替介入の効果が出やすいタイミングとされる。
一方、為替市場全体の規模からみると、5兆円規模とされる介入でも相場の大きな流れを変えるには限界があるとの指摘もある。介入は円安の流れを根本的に変えるというより、急激な変動を抑えるための時間稼ぎの政策とみられている。
原油価格次第でさらなる円買い介入の可能性
来週のドル円相場については、154円75銭から160円75銭のレンジを想定する見方がある。直近のドル円相場は原油価格の影響が大きく、和平合意などで原油価格が下がれば155円を超えて円高・ドル安が進む可能性がある。
一方、軍事衝突などで原油価格が急騰すれば、円安方向に進み、さらなる円買い介入が意識される可能性がある。
地政学・エネルギー
イランがホルムズ海峡再開を先行する提案、アメリカは受け入れに慎重
イランは、ホルムズ海峡の航行再開と、アメリカによるイラン港湾封鎖の解除を先行させ、核問題の協議を後の段階に回す提案を示したと報じられている。
この提案は、仲介国を通じてアメリカ側に提示されたとされる。アメリカ側は、イランが「同意できないことを求めている」としており、受け入れには慎重な姿勢を示している。
アメリカ側は攻撃再開を望まないとしつつも、選択肢の一つだと強調しており、圧力をかける姿勢を続けている。
ホルムズ海峡の通行料支払いに制裁警告
アメリカ財務省は、ホルムズ海峡を航行する船舶がイランに通行料を支払った場合、その船舶は制裁対象になると警告した。
ホルムズ海峡は原油輸送の要衝であり、中東情勢の緊迫は原油価格や為替、企業業績にも波及する可能性がある。
原油・ナフサ不足が企業業績のリスクに
中東情勢の影響で、原油価格の上昇だけでなく、原油やナフサの不足による数量面の制約も懸念されている。価格上昇はある程度前提を置いて見通すことができるが、原油やナフサの不足による生産減少や物不足の影響は読みづらい。
すでに関連する価格が大きく上がっており、今後は価格転嫁できる企業と、転嫁が難しい企業の明暗が分かれる可能性がある。
米国通商政策・安全保障
EU向け自動車・トラック関税を25%に引き上げへ
アメリカは、EU各国から輸入される自動車とトラックに対する関税を25%に引き上げる方針を示した。EUが合意した貿易協定を守っていないとして、来週から関税を引き上げるとしている。
アメリカ側は、関税引き上げによってEU企業が生産拠点をアメリカへ移転せざるを得なくなるとの考えを示している。これに対し、EU側は今回の措置を強く非難している。
ドイツ駐留米軍5000人を撤退へ
アメリカ国防総省は、ドイツに駐留するアメリカ軍のうち5000人を撤退させると発表した。今後、半年から1年をかけて撤退させる方針である。
ドイツには現在、ヨーロッパで最多となるおよそ3万5000人のアメリカ軍が駐留している。NATO加盟国との間では、中東情勢への対応をめぐる溝が深まっている。
米国企業決算・AI関連
エクソンモービルは純利益45%減、シェブロンも減益
アメリカの石油メジャー、エクソンモービルが発表した1月から3月期決算は、純利益が1年前からおよそ45%減少し、増収減益となった。中東情勢の緊迫化で原油価格は上昇したものの、急激な価格変動リスクを回避するための金融派生取引で一時的な損失を計上したことが響いた。
同業のシェブロンも金融派生取引の損失などで減益となった。ただ、調整後の1株利益は市場予想を上回った。
スピリット航空、運航停止へ
アメリカの格安航空会社スピリット航空は、5月2日に運航を停止する方向となったと報じられている。同社をめぐっては、5億ドル規模の救済支援案について政府や社債保有者などが協議してきたが、最終合意には至らなかった。
救済協議がまとまらなかったことで、事業継続が困難になった形である。燃料価格の高騰や経営環境の悪化も重荷となっていたとみられる。
国防総省がGoogleやOpenAIのAIサービスを機密システムに導入へ
アメリカ国防総省は、GoogleやOpenAIなどAI大手が手がけるサービスを機密システムに導入することで合意した。データ統合を効率化し、複雑な作戦環境で軍の意思決定を支援することを目的としている。
国防総省は、あらゆる戦闘領域で意思決定の優位性を保持する能力を強化するとしている。今回の合意にAnthropicは含まれていない。
巨大テック決算は総じて堅調、株価は明暗
今週は、アルファベット、マイクロソフト、アマゾン、メタ、アップルなど巨大テック企業の決算が相次いだ。総じて市場予想を上回る内容となったものの、株価反応は企業ごとに明暗が分かれた。
市場では、AI関連の設備投資に対してどの程度の収益効果が見込めるかが注目されている。クラウドや広告事業の成長が確認された企業では投資継続が評価される一方、設備投資負担が重くみられた企業には慎重な見方も出ている。
アップルは上昇も、AI戦略の出遅れ指摘
アップルは、iPhone 17の販売期待などから株価が上昇した。ただ、AI戦略については一部で出遅れが指摘されている。
他の巨大テック企業がAI向け設備投資を大きく拡大するなか、アップルは設備投資の急拡大とは距離を置いている。巨額投資の回収可能性に対する懸念からは一定の距離を置く形だが、今後の経営方針やAI戦略が注目される。
NVIDIA決算への期待高まる
巨大テック企業のAI向け設備投資が拡大していることを受け、半導体大手NVIDIAの決算への期待が高まっている。巨大テック各社の設備投資の相当部分がAI半導体需要につながるとの見方があり、NVIDIAの業績にも追い風となる可能性がある。
Magnificent 7のうち、残るNVIDIAの決算は今月20日に予定されている。
AI相場の裏側でプライベートクレジットリスクも
AI開発競争が相場を支える一方、ソフトウェア企業への影響や、プライベートクレジット市場への波及を警戒する見方もある。
AIの進化によってソフトウェア企業の事業環境が変化すれば、そうした企業向け貸し出し債権の価値が低下する可能性がある。ファンドが銀行を介さずに企業へ直接融資するプライベートクレジットでは、投資家の解約が増えた場合、資金繰りや金融市場に混乱が広がるリスクも意識される。
日本株・国内市場
日経平均は史上初の6万円台、来週は底堅い展開との見方
日経平均株価は、月曜日の終値で史上初めて6万円台に乗せた。今週は半導体関連銘柄の好決算などを背景に、テック銘柄への買いが相場全体を押し上げた。
来週の日経平均の予想レンジは58,500円から60,900円との見方がある。アメリカの大手企業決算が一巡し、相場全体を大きく動かすリスク要因は大きくないとみられている。企業決算でも今後の見通しに大きな弱さはみられておらず、全体として底堅い動きが想定されている。
国内決算は増益基調、開示率15%時点で約7割が増益
2026年3月期決算では、AI半導体、建設、陸運などテーマ性のある業種が堅調となっている。4月30日時点で約15%の企業が開示を終えており、そのうち約7割の企業が増益で着地した。経常利益ベースでは約13%の増益となっている。
TOPIXを構成する3月期決算企業の集計では、開示率およそ15%の時点で、売上高、営業利益、経常利益、純利益はいずれも前年から上昇している。
最終的な着地については、経常利益で5%から10%程度の増益になるとの見方がある。増益率は減速するものの、トランプ関税の影響を円安や生産体制の見直しで吸収した形との評価がある。
連休明けは輸送用機器と化学セクターに注目
連休明けに発表される決算では、自動車を含む輸送用機器セクターや化学セクターが注目されている。
自動車メーカーでは、中東向け輸出や資材高の影響をどの程度ガイダンスに織り込むかが焦点となる。化学セクターでは、ナフサ不足の問題を各社がどの程度織り込むかが注目される。
中東情勢の混乱については、合理的に算出できないとして業績予想に織り込まない企業もあれば、一定程度織り込む企業もあり、各社の前提には濃淡が出ている。
原油高の影響は陸運・空運・海運・電力ガスに波及
原油価格の上昇や供給不安の影響を受けやすい業種としては、陸運、空運、海運など燃料を使う業種が挙げられる。調達コスト増加の面では、電力・ガス事業にも影響が及ぶ可能性がある。
また、生産体制の混乱を通じて、一部の機械業種にも影響が出る可能性がある。一方で、建設や金融、防衛、航空宇宙といったテーマ性を持つセクターは比較的堅調との見方がある。
日本経済・日銀関連
日銀は利上げ見送り、6月利上げはなお不透明
今週の日銀金融政策をめぐっては、利上げが見送られた。物価は上昇している一方で、景気下振れリスクも高まっており、政策判断は難しい局面にある。
政策決定では3人の委員が反対したことがタカ派的に受け止められた一方、総裁会見はそこまでタカ派的ではなかったとの見方もある。
今後、物価上昇により実質金利が再びマイナス方向に動く可能性があるなか、消費の先行きにも注意が必要となる。6月にすぐ利上げできるかどうかは、なお不透明である。
為替安定へ政府と日銀の協調は難しいとの見方
円安への対応では、政府の為替介入と日銀の利上げが協調すれば、一定の抑制効果が期待できる。ただ、利上げは景気への影響も伴うため、政府が日銀に利上げを求めにくい状況にあるとの見方がある。
そのため、為替の安定に向けて政府と日銀が十分に協調できる状況にはなっていない可能性がある。
国内政治・外交
日本とベトナム、エネルギー・重要鉱物・AIで連携強化へ
ベトナムを訪問した高市総理大臣は、ベトナム首脳と会談し、エネルギーの安定供給、レアアースなど重要鉱物のサプライチェーン強靭化、AIや半導体分野での協力を深める方針を確認した。
会談では、2023年に構築された包括的戦略的パートナーシップをさらに深める方針が確認された。協力分野には、エネルギー、重要鉱物、AI、半導体、宇宙などが含まれる。
また、ハノイで行った外交政策スピーチでは、「自由で開かれたインド太平洋」の進化を掲げ、経済安全保障や重要物資の供給網強化を重視する考えを示した。
今日の主な予定
週明けは主要企業決算と米雇用統計に注目
来週は、イギリスの石油大手シェルの決算が予定されている。国内では、トヨタ自動車やソニーグループなどの決算が予定されている。
また、金曜日にはアメリカの景気動向を示す3月の雇用統計が発表される予定である。3月は強い数字が出たが、雇用統計は振れが大きく、ガソリン価格の上昇が個人消費に与える影響も含めて注目される。
日銀関連では、議事録や毎月の統計が注目材料となる。物価上昇と景気下振れリスクの両面を見極める展開となりそうだ。

