5月29日、政府の備蓄米が楽天グループやアイリスオーヤマの通販サイトで販売・予約開始されました。しかし、開始からわずか数十分で「即完売」となり、購入できなかった人も多い状況です。ネット販売で「即完売」を繰り返すことで「買えない状態」を演出し、購入意欲を高める手法がよく利用されているため、今後も同様の状況が続くことが予想されます。
そこで本記事では、NHKが農林水産省のホームページを元に公開した、「購入申し込みが確定した61社のリスト」をもとに、備蓄米がどのような流通経路で、どの店舗やサイトで買えるのかを詳しく読み解いていきます。

楽天やアイリスオーヤマでの販売状況と即完売の背景
5月29日、楽天グループが運営する通販サイトで、5キロ入りの備蓄米が税抜き1980円(税込2138円)で販売されました。しかし、開始からわずか45分で予定数量が完売し、予約もすぐに締め切られました。アクセスが集中したため、一時的にサイトにつながりにくい状況も発生しました。
同日午前にはアイリスオーヤマのグループ会社「アイリスアグリイノベーション」が宮城県の精米工場に備蓄米を受け入れ、袋詰め作業が行われていました。6月2日からは宮城県や神奈川県、千葉県の店舗で5キロ入り2160円(税込)で店頭販売を開始予定です。
こうした状況から、ネット販売における「即完売」現象は、限られた販売数量と需要の集中によるものと考えられます。
大手小売業者の購入申し込み状況と影響
農林水産省によると、5月27日までに61社から合計約21万9千トンの備蓄米の購入申し込みが確定しました。申し込み量が多いのは、イオングループの「イオン商品調達」やドラッグストア大手の「コスモス薬品」で、それぞれ2万トンを申し込んでいます。続いて、ドン・キホーテを運営する「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」が1万5千トン、サンドラッグが1万2,866トン、スーパーのオーケーが1万500トン、生活用品メーカーのアイリスアグリイノベーションと楽天グループ、通販サイトのアスクルなどが1万トンずつ申し込みました。
一方、大手コンビニ3社(セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソン)は条件を満たさなかったため、申し込みが受理されませんでした。このため、これらコンビニは6月から開始される中小スーパー向けの売り渡しに申し込みを行う見込みです。
中小スーパーや地域の販売店の課題
中小のスーパーや地域の販売店では、令和3年産の備蓄米の取り扱いとなることや、精米設備の不足などから、随意契約での備蓄米の調達が難しいとの声が出ています。茨城県のスーパー店長は、令和4年産の備蓄米が大手に優先的に割り当てられていることや、令和3年産のコメでは消費者の需要を満たせず、価格高騰や顧客の流出が懸念されると話しています。
転売防止への取り組み
政府の備蓄米販売にあたっては、転売防止の対策も進んでいます。フリマアプリのメルカリは29日から備蓄米の出品を禁止し、AIを活用して監視・削除を行うと発表しました。同様に、ヤフー運営のオークションサイトやフリマサイトでも出品禁止措置が取られており、正規の販売ルート以外での取引を抑制する動きが強まっています。
小泉農林水産大臣の見解と今後の展望
小泉農林水産大臣は、「コメ不足感を払拭することは価格に対する影響も含めて極めて重要」と述べ、備蓄米ができるだけ早く消費者の手に届くよう全力を挙げる考えを示しました。また、これまでの流通形態と新たな小売業者への売り渡しの形態を分析・検証し、今後の課題を解明していく意向を示しています。
さらに、中小スーパーや米販売店向けの令和3年産備蓄米については、消費者への情報提供や調理提案など多様な販売方法の模索が期待されています。
FPTRENDYでは引き続き「備蓄米問題」を追って行きたいと考えています。
【外部関連リンク】
- 日本銀行(BOJ)公式サイト ─ 国内金利や政策決定の確認に。
- 米連邦準備制度理事会(FRB)公式サイト ─ FOMCや声明内容はこちら。
- Bloomberg(ブルームバーグ日本版) ─ 世界の金融・経済ニュースを網羅。
- Reuters(ロイター日本語版) ─ 最新のマーケット速報と経済記事。
- TradingView ─ 株価・為替・指数チャートの可視化に便利。
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