三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、2025年3月期の連結純利益が前期比25%増の1兆8600億円となり、2期連続で過去最高を更新する見通しを発表しました。これは、外国債券の含み損処理を政策保有株の売却益で相殺した結果です。
過去最高益の背景:政策保有株売却と外債損失の相殺
政策保有株の売却による利益計上
MUFGは、2024年度からの3年間で7000億円の政策保有株を売却する計画を立てており、2024年12月末時点で計画値の3割超にあたる2250億円を売却しました。これにより得られた売却益が、純利益の増加に寄与しました。
外国債券の含み損処理とその影響
米国の金利上昇に伴い、MUFGは保有する外国債券の含み損を処理しました。2024年12月末時点で約1兆円に膨らんでいた含み損を、政策保有株の売却益で相殺しました。ヘッジ取引を勘案後の実質的な含み損は約5000億円となりました。
業務純益の減少とその要因
外債ポートフォリオの組み替えによる影響
外債の含み損処理により、業務純益は1兆5900億円と前期比14%減となりました。これは、米金利の上昇に伴う債券価格の下落が主な要因です。
顧客部門の収益状況
一方で、顧客部門や米モルガン・スタンレーの業績は堅調であり、業務純益の減少を一部補いました。
配当政策と株主還元の強化
配当金の増額とその背景
MUFGは、2025年3月期の年間配当金を64円とし、前期の41円から大幅に増額しました。これは、純利益の増加と株主還元の強化を反映したものです。
自己株式取得とその目的
MUFGは、自己株式の取得を通じて、資本効率の向上と株主価値の最大化を図っています。
今後の展望と課題
政策保有株売却の持続可能性
政策保有株の売却益が今後も継続的に得られるかが注目されます。MUFGは、2024年度からの3年間で7000億円の政策保有株を売却する計画を立てていますが、今後の市場環境によっては計画の見直しが必要となる可能性があります。
金利環境の変化とその影響
今後の金利動向がMUFGの収益構造に与える影響についても注目されます。米国の金利上昇が続く場合、保有する外国債券の含み損が再び拡大する可能性があります。