詳細
2025年4月28日に発表された米ダラス連邦準備銀行(ダラス連銀)の製造業景況感指数は、-35.8と市場予想を大きく下回り、2020年5月以来の低水準を記録しました。前月(3月)は-16.3だったため、景況感の悪化は急速に進んでいます。
今回の悪化には、トランプ大統領による対中関税強化策への懸念も影響しています。これにより企業はコスト上昇や取引縮小リスクを警戒し、先行き不透明感が強まりました。
この指標の急低下を受け、米国経済の減速懸念が台頭。リスク回避の動きが強まり、ニューヨーク外国為替市場ではドル売り・円買いが優勢となり、円相場は1ドル=142円台に反発しました。具体的には、1ドル=142円00〜10銭で取引を終え、高値は141円99銭、安値は143円40銭を付けました。
また、米国の長期金利が低下したことも、ドル安を後押しする要因となっています。一方で、日本の財務省や日銀による慎重な政策スタンスが、円の過度な上昇を一定程度抑制する動きも見られました。
なお、ドル売りは円だけでなく、ユーロにも波及。ユーロ相場も反発しており、為替市場では全体的にドル安の流れが強まった形です。
今週は、1〜3月期の米GDP速報値、3月のPCE物価指数、さらに4月の米雇用統計といった重要指標の発表を控えており、市場ではポジション調整(持ち高調整)の動きが活発になっています。
米国 ダラス連銀製造業活動指数の推移

📝 ダラス連銀製造業活動指数とは?
ダラス連邦準備銀行(ダラス連銀)は、毎月テキサス州の製造業企業に対して、景気の見通しについてアンケート調査を実施しています。
この調査では、生産、雇用、新規受注などに関する質問を集計し、景況感を示す指数として発表します。
- 指数がプラスの場合:前月に比べ景況感が改善したことを示します
- 指数がマイナスの場合:前月に比べ景況感が悪化したことを示します
テキサス州は米国南部における重要な製造業拠点のひとつであり、ダラス連銀指数は全国的な製造業動向の先行指標としても注目されています。
この指数は、発表結果が市場予想を上回れば「ドル買い要因」となり、逆に予想を下回れば「ドル売り要因」として市場に影響を与える傾向があります。
まとめ
ダラス連銀製造業景況感指数の急低下は、米国製造業の先行き不安を一段と強め、リスク回避姿勢の高まりにつながりました。
これにより、ドル売り・円買いが優勢となり、円相場は1ドル=142円台に反発しています。
また、米国の長期金利低下、トランプ政権の関税政策に対する懸念、日本の財務省・日銀の動向、ユーロ相場の反発など、複数の要因が絡み合い、市場は複雑な動きを見せています。
今後は、今週後半に予定されている米GDP速報値、PCE物価指数、米雇用統計の結果が、さらなる相場のカギを握ることになりそうです。
市場参加者の間では、引き続き「米経済の減速リスク」と「金融政策動向」に注視が集まっています。