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ユーロ、3年5カ月ぶり高値を更新|背景と今後の展望
概要
21日12時時点の東京市場では、ユーロ/ドルは1.1506~1.1507ドルと、2021年11月以来約3年5ヶ月ぶりの高値を更新。また対円でも1ユーロ=161円94~99銭まで上昇し、一段の円売り・ユーロ買いが優勢となっています(国内「日経速報ニュース」より)。
この動きには、ドル売り圧力の強まりだけでなく、欧州経済を巡る期待やテクニカル要因も絡んでおり、中長期的なユーロの行方を左右しそうです。
1. ドル売り加速が誘因に
- トランプ大統領のFRB批判
パウエル議長更迭の可能性を示唆する発言を受け、マーケットでは「米中銀の独立性への懸念」からドル全面安が進行。結果、ユーロは一気に買い戻され、3年高値へと駆け上がりました。 - 米中関税リスク
通商交渉の不透明感がリスクオフを呼び込み、米国債に対する信頼が揺らいだこともドル売りを後押ししています。 - 他通貨との相対比較
現在の主要通貨変動率を見ると、ユーロの上昇率は1.10%と高く、スイスフラン(0.97%)、ポンド(0.64%)を上回っています。
詳細 | 現在値 | 変動 | 変動率 |
---|---|---|---|
米ドルインデックス | 98.310 | -1.094 | -1.10% |
日本円/米ドル | 0.007103 | 0.000071 | 1.00% |
ユーロ/米ドル | 1.15161 | 0.01248 | 1.10% |
ポンド/米ドル | 1.3379 | 0.0085 | 0.64% |
スイスフラン/米ドル | 1.2359 | 0.0118 | 0.97% |
カナダドル/米ドル | 0.7241 | 0.0024 | 0.33% |
SWEDISH KRONA / U.S. DOLLAR | 0.1044 | 0.0009 | 0.87% |
2. 欧州側のファンダメンタルズ
- ECBのスタンス
4月の会合では追加利下げを見送り、市場は「欧州の景気後退懸念が一定程度緩和された」と受け止めています。 - 独財政支出計画
ドイツが新たな財政支出プランを打ち出し、ユーロ圏全体の需要支えに期待が高まっています。 - 輸出競争力
円高・ドル安局面で、相対的に輸出競争力が強まるEU諸国への資金流入も進行中です。
3. テクニカルポイント&チャート
以下の図1:ユーロ/ドル日足チャートを挿入すると、今回の急騰局面でのサポート・レジスタンスや出来高ピークが一目で確認でき、読者の理解を助けます。

説明文:
この日足チャートでは、3月初旬以降にユーロ/ドルが強い上昇トレンドを描いているのが分かります。特に1.15ドル台前半のレジスタンスを4月21日に上抜け、1.1533ドルの高値(赤いローソク足)が示すように、ドル売り圧力が一段と強まった局面です。
- 1.1550ドル付近が直近ピークのレジスタンスライン
- 1.1300~1.1350ドルは直近の押し目買いポイント
4. 独自視点:今後のユーロ見通し
- ドルの“安全資産”神話崩壊
政治リスクが高まる中、ドル離れは一過性ではなく、しばらく続く可能性があります。 - ECBの次の一手
欧州景気刺激策の具体化や、債券買い入れ再開観測が高まれば、ユーロ相場の上値余地はさらに拡大。 - 日本市場への波及
ユーロ高・円高が進行すれば、ユーロ建て原材料輸入企業や観光関連には逆風となる一方、輸出企業やユーロ建債権者には追い風に。
5. まとめと注目ポイント
- 短期:ドル対ユーロの不安定な動き続く中、1.1550ドルを突破できるかが次の焦点。
- 中長期:ECBの政策動向、欧州景気の回復シグナルがユーロ相場を左右。
- リスク要因:米政治リスクの沈静化や、米経済指標好転によるドル買い戻しの動きにも警戒を。
参考:Stocks and dollar slide as Trump’s Fed attacks jangle nerves