アメリカ・コンファレンスボード消費者信頼感指数(Consumer Confidence Index, CCI)は、米国の民間シンクタンク「コンファレンスボード(The Conference Board)」が毎月発表する、消費者心理を測る経済指標である。
この指数は、米国全土の世帯を対象に、現在の経済状況と今後6か月の見通しに関するアンケート調査を行い、その結果をもとに算出される。中でも注目されるのが、「現況指数(Present Situation Index)」と「期待指数(Expectations Index)」という2つの内訳であり、家計の実感と将来予測の両面を把握する手がかりとなる。
指標の意義と活用される場面 #
消費者は経済の最大の構成要素のひとつであり、その心理状態は消費行動に大きく影響する。したがって、CCIは個人消費の先行指標として、金融市場や政策当局、企業の戦略部門などに幅広く活用されている。
たとえば指数が大きく低下した場合、消費の縮小が見込まれ、景気減速や企業収益の悪化を警戒する材料となる。一方で、期待指数が上昇すれば、今後の購買意欲や雇用情勢の改善が意識され、株価や為替が反応することもある。
調査方法と構成の特徴 #
調査は毎月3,000世帯を対象に実施され、電話やオンラインによる回答形式がとられる。指数の基準値は1985年=100として設定されており、それ以前・以後の数値を相対的に比較しやすくなっている。
現況指数は主に雇用や所得、景気に関する「いまの実感」を反映し、期待指数は6か月後の経済、収入、雇用環境に対する見通しを示す。このうち、期待指数はリセッションの早期警告シグナルとして注目されることが多い。
他の消費者心理指標との違い #
同じく米国で公表される「ミシガン大学消費者態度指数(University of Michigan Consumer Sentiment Index)」とは、調査手法や対象者、質問内容が異なる。コンファレンスボード指数の方がサンプル数が多く、雇用や所得といった具体的な経済環境に重きを置いているのが特徴である。
一方、ミシガン指数はインフレや金利感応度を含む心理的要素が強く、両者を組み合わせて分析することで、より立体的な消費者行動の見通しが得られる。
読み解き方と注意点 #
CCIは前月比の増減だけでなく、現況と期待のギャップにも注目したい。たとえば現況が良好であっても、期待指数が低下していれば、今後の景気後退リスクが意識されていると読み取れる。
また、短期的には株価やガソリン価格の変動が指数に影響を与えることもあるため、突発的な動きには一時的なノイズの可能性もある。月次データだけでなく、3か月平均などのトレンド分析が有効である。