ボルボ・カー、トランプ関税措置でQ2に約1500億円の赤字──米現地生産拡大で対策へ

【概要・背景】
2025年7月17日、スウェーデンの自動車メーカー ボルボ・カーは、2025年4月~6月期(第2四半期)においてアメリカ向け輸入車に課されているトランプ政権下の追加関税の影響を受け、営業利益の指標であるEBITで約100億スウェーデン・クローナ(約1500億円)の赤字を計上したと発表しました。同社は関税負担軽減のため、アメリカ南部サウスカロライナ州にてSUV生産を2026年後半に開始するとしています。


Q2業績の詳細と関税の影響

  • Volvoは、第2四半期においてEBITで‑100億クローナの赤字。これには、114億クローナ(約1700億円)に相当する関税による損失が含まれます。
  • 売上高は前年同期比で約8%減少し、93.5bnクローナ。車両販売台数は12%減の約18.16万台となりました。
  • 調整後EBIT(非継続項目除く)は29億クローナの黒字(3.1%のマージン)に留まっており、構造改革の進捗を示しています。

電動モデルの減損と発売遅延

  • EX90およびES90モデルに関して、11.4bnクローナ(約1500億円)の減損処理を実施。これは米国での関税負担と発売遅延による収益見通しの悪化が要因です。
  • EX90はソフトウェア問題により発売延期し、米チャールストン工場での生産にも支障が出ています 。

現地生産シフトとコスト削減策

  • SUV「XC60」の米国・サウスカロライナ州での現地生産を、2026年後半に開始予定。これにより、輸入関税の影響を低減する戦略です。
  • グローバルで約3000人の人員削減、間接経費の削減、購買や開発などの効率化などを柱とする180億クローナの「コスト&キャッシュ改革」プログラムを進行中。

業績へのインパクトと今後の展望

  • 今回の赤字は2021年上場以来初の営業損失。だがフリーキャッシュフローは前年同期比で大幅増の94億クローナに達し、次第に改善傾向。
  • CEOハカン・サミュエルソンは、EUにも米国車への輸入関税撤廃を求め、「自由貿易の促進には欧州も率先すべき」との姿勢を表明。
  • EUは米国との間で相互関税の引き下げ交渉を進めており、10%のEU車への米関税についても緩和案を検討中 。

小見出し:米国内生産が鍵

  • XC60の米国生産:関税負担の軽減と現地市場への対応力向上策。
  • EX30はベルギー生産、ES90も多工場戦略:関税環境に応じた地域生産分散。
  • コスト構造の再編:3000人の従業員削減、開発・購買の効率化で中期的な利益体質の改善狙い。

【結論】
トランプ政権の関税政策により、ボルボは第2四半期に約1500億円の赤字を計上し、ES90/EX90の減損処理や現地生産化など抜本改革に踏み切っています。コスト削減と地域生産拡大を軸に、中期的に収益体質の立て直しを図る構えです。


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この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー

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