総評
22日の米株式市場は、米財政をめぐる不透明感から長期金利が上昇し、ダウ平均株価が小幅ながら3日続落となりました。一方で、米経済指標の底堅さを示す結果が好感され、一時的にリスクオンの動きも見られ、ナスダック総合指数は3営業日ぶりに反発しました。市場全体では「財政懸念 vs. 経済堅調」が綱引き状態となり、個別銘柄の業種・テーマごとの明暗が際立つ動きとなりました。
ダウ平均株価

ダウ工業株30種平均は前日比1.35ドル安の41,859.09ドルで取引を終え、小幅ながら3日連続の反落となりました。序盤は主力株への見直し買いで上昇する場面もあったものの、米下院がトランプ減税恒久化を含む減税法案を可決し、財政赤字拡大への懸念から取引終盤に水準を切り下げました。
S&P500

S&P500指数も、経済指標の改善を受けて一時プラス圏で推移しましたが、長期金利上昇への警戒感から終盤に伸び悩み、ほぼ前日比横ばい圏での取引となりました。週間新規失業保険申請件数と製造業・サービス業PMI速報値が市場予想を上回ったことで底支えされたものの、財政不安が重しとなりました。
ナスダック総合指数

ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は前日比53.09ポイント(0.28%)高の18,925.74で終了し、3営業日ぶりに反発しました。アルファベットやテスラなどグロース株を中心に買われ、エヌビディアやアマゾン・ドット・コムといった主力ハイテク銘柄も総じてプラス推移となりました。
長期金利


米長期金利の指標である10年債利回りは、朝方に一時4.62%(2月中旬以来の高水準)まで上昇した後、前日終値(4.60%)を下回る4.5%台前半まで低下しました。20年債・30年債利回りも23年以来の高水準をつけたものの、前日の米20年債入札の低調を受けた売りが一巡すると反発。債券市場の値動きが株式市場の資金フローにも安心感を与えました。
主要個別株
- 売られた銘柄
- ユナイテッドヘルス・グループ
- ベライゾン・コミュニケーションズ
- ホーム・デポ
財政懸念を背景にディフェンシブ銘柄や高配当株に売りが優勢に。
- 買われた銘柄
- ナイキ
- メルク
- キャタピラー
- エヌビディア
- アマゾン・ドット・コム
PMI好結果や米経済の底堅さを受け、グロース株や景気敏感株にリバウンド需要が広がりました。
以上のように、米国市場は「財政不安による利回り上昇」と「経済指標の堅調さ」の相反する材料を受け、方向感の定まらない展開となりました。特に主要3指数の明暗が分かれる中、今後は上院での減税法案修正の行方と、足元の債券入札動向が引き続き注目されます。
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【外部関連リンク】
- 日本銀行(BOJ)公式サイト ─ 国内金利や政策決定の確認に。
- 米連邦準備制度理事会(FRB)公式サイト ─ FOMCや声明内容はこちら。
- Bloomberg(ブルームバーグ日本版) ─ 世界の金融・経済ニュースを網羅。
- Reuters(ロイター日本語版) ─ 最新のマーケット速報と経済記事。
- TradingView ─ 株価・為替・指数チャートの可視化に便利。