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GDPデフレーター(国内総生産デフレーター、GDP Deflator)

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定義と概要 #

GDPデフレーター(国内総生産デフレーター、GDP Deflator)は、ある時点の名目GDPを同時点の実質GDPで除して算出される物価指標です。名目値に含まれる価格変動分を取り除き、景気変動の実質的な大きさを測るために用います。消費者物価指数(CPI)と異なり、経済全体における財・サービスの価格変動を広く反映できる点が特徴です。

用語の意義と使われる場面 #

GDPデフレーターは、経済成長率や実質所得の伸びを評価する際に不可欠な指標です。政府や中央銀行は、デフレーターを用いてインフレまたはデフレの程度を把握し、金融政策の基本判断に活用します。学術研究でも、長期的な成長分析や国際比較を行う際に用いられます。

インフレーションとデフレーションの判断 #

GDPデフレーターの増加率がプラスであればインフレーション(英: inflation)、マイナスであればデフレーション(英: deflation)とみなせます。この増減率を通じて、経済全体の物価上昇や下落の状況を把握し、他の物価指標と併せて分析することが重要です。

日本における特徴と運用実態 #

日本では内閣府が四半期ごとにGDPデフレーターを公表し、速報値、改定値を段階的に更新します。日本特有の消費税率変更など、政策的要因が物価水準に大きく影響するため、速報と改定の差異に注意が必要です。また、輸入物価の変動も国内デフレーターに反映されるため、円相場やエネルギー価格の動向が注目されます。

関連指標との比較・違い #

消費者物価指数(CPI)は家計消費に焦点を当てますが、GDPデフレーターは政府支出や設備投資も含むため、経済全体の価格動向をより包括的に示します。一方、生産者物価指数(PPI)は企業間取引価格を追う指標であり、GDPデフレーターとの比較で供給側と需要側の物価変動要因を分析できます。

注意点や読み解き方の補足 #

GDPデフレーターは推計値であり、基準年の設定や改定時点の統計手法変更によって水準や伸び率が修正されることがあります。また、短期的な景気変動要因だけでなく、構造的な価格変化も含むため、政策判断時には他の物価指標と併用し、多角的に分析することが重要です。

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