3月の景気動向指数、一致指数4カ月ぶり低下も基調判断は維持か。

内閣府が9日発表した3月の景気動向指数(CI、2020年=100)は、一致指数が前月比1.3ポイント低下の116.0となり、4カ月ぶりに低下した。それでも基調判断は「下げ止まりを示している」と据え置かれた。

目次

■ ポイントサマリー

  • 一致指数:116.0(前月比-1.3pt、4カ月ぶり低下)
  • 先行指数:107.7(前月比-0.5pt、2カ月連続低下)
  • 市場予想:一致指数▲1.3pt(QUICKまとめ中央値)
  • 基調判断:下げ止まりを示している(据え置き)

■ グラフで見る景気動向

【図表】一致指数(青線)と先行指数(橙線)の推移(2010年3月~2025年3月)

グラフのポイント解説

  1. 2022年夏の直近ピークから調整局面入りしている
  2. コロナショック後の急回復ピーク(2021年春)は一致指数が130台目前まで上昇
  3. 3月の落ち込みは4カ月ぶりの下振れで、自動車関連の影響が鮮明に表れている

■ 低下の主因:自動車関連の部品出荷停滞

3月の一致指数低下要因の中心は、車用ばね大手・中央発条の工場で起きた爆発事故による「耐久消費財出荷指数」の急落など、一致指数を構成する10指標中5指標がマイナス寄与したことです。さらに、輸出数量指数では欧州向けが若干プラスに転じたものの、米国・アジア向けの落ち込みが全体を押し下げました

加えて、先行指数の低下(▲0.5pt)は、在庫率指数の上昇を反映し、企業が部品調達・在庫管理に慎重姿勢を強めたことが読み取れます。 ■ 基調判断を据え置いた理由 内閣府がCIの機械判定ルールにより「下げ止まりを示している」と据え置いた背景には、次の点があります。 残る5指標が横ばい~プラス圏を維持し、突発的なマイナス寄与と切り分けが可能 直近の数値変動は半導体・自動車部品など特定業種の事故要因であり、全体の底堅さを損ねるものではない 一時的ノイズを除くと、一致指数は依然として115~120のレンジ内で推移 ■ 今後の注目ポイント 中央発条事故の影響剥落度合い:4月以降の耐久消費財出荷動向 米中関税・為替動向:輸出数量指数への影響度 先行指数の底打ちサイン:在庫率・受注指数の変化 日銀短観・企業景況感(Tankan調査)のアップデート ■ まとめと見通し 3月の一致指数低下は、突発事故による一時要因が主因です。基調判断が据え置かれた通り、景気は底堅さを保ちつつも調整局面にあると言えます。
今後は輸出の回復と部品供給の正常化が一致指数120台回復のカギとなるため、当面は月次発表データと企業決算、日銀の動きをセットで見極めていく事が重要になります。

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この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー

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