【5月8日】米株続伸・円安進行──米英関税合意で投資家心理改善|マーケットダイジェスト

前日の株式・為替・債券市場の動きをコンパクトに振り返る「マーケットダイジェスト」。本記事では、2025年5月8日の主要マーケットの値動きと背景をまとめています。
米英の貿易協定合意をきっかけにリスク選好が強まり、株高・円安が進行した一日となりました。日経平均や米国株主要3指数の推移、為替、金利などを総合的にチェックできます。

FPTRENDYでは、毎営業日朝に「マーケットダイジェスト」を更新中。
一日の始まりに、前日のマーケットを把握する習慣づくりにぜひご活用ください。

【日経平均】

    • 始値:36,863.38

    • 高値:36,977.35

    • 安値:36,606.71

    • 終値:36,928.41 前日比:+148.97 騰落率:+0.41%

8日の東京株式市場で日経平均株価は前日比148円97銭(+0.41%)高の3万6928円63銭と反発して取引を終えた。前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の米株高を背景に、東京市場でも半導体関連銘柄を中心に買いが入った。米中間の関税交渉や輸出規制に関する報道が買い材料として意識された一方、3万7000円の節目を前に利益確定売りも見られ、相場の上値は限定的だった。

個別では、NTTによるNTTデータの完全子会社化報道を受けて、関連銘柄に思惑的な買いが広がった。親子上場解消の動きが市場の関心を集める中で、日本企業の資本効率改善への期待も相場を下支えした。トヨタは決算発表で減益見通しを示し、一時的に売り優勢となる場面もあった。

全体としては、企業動向と政策イベントが交錯する中、模様眺めムードも残る展開となった。

【日経先物】

    • 始値:37,160

    • 高値:37,680

    • 安値:37,140

    • 終値:37,490 前日比:+350 騰落率:+0.94%

8日の大阪取引所で日経平均先物6月物は反発し、清算値は前日比360円高の3万7140円となった。前日のFOMC通過後に米株が上昇した流れを受け、東京市場でも買いが優勢となった。米関税政策を巡る一部国との交渉進展への期待もあり、海外投機筋による買いが相場を押し上げた。

その後、日本時間9日早朝の夜間取引ではさらに上昇し、終値は前日比+350円の3万7490円。取引時間中に高値3万7680円、安値3万7140円をつけた。市場では先物買いが続く一方、オプション市場ではプット売りが目立つなど、リスク選好姿勢がやや強まっている様子も見られた。

短期的には、米国株の動向や政策関連ニュースへの反応が引き続き相場の方向感を左右しそうだ。

【ドル円】

    • 始値:145.894

    • 高値:145.936

    • 安値:145.768

    • 終値:145.821 前日比:-0.073 騰落率:-0.05%

9日早朝の東京外国為替市場では、円が大きく値下がりしている。8時30分の時点で1ドル=145円98〜99銭と、前日の17時時点に比べて1円67銭の円安・ドル高水準となった。8時30分を過ぎると、円は146円01銭付近まで下落した。米英両政府が8日に貿易協定の締結で合意したことを受け、米国と各国の間で関税交渉が進展するとの期待が広がった。この流れで米長期金利が前日に上昇し、日米間の金利差を意識した円売り・ドル買いが強まっている。

【米国債10年債利回り】

    • 始値:4.275%

    • 高値:4.398%

    • 安値:4.269%

    • 終値:4.380% 前日比:+0.111ポイント 騰落率:+2.60%

8日のニューヨーク債券市場では、長期国債が下落した。指標となる表面利率4.250%の10年債利回りは前日比で0.11%上昇し、4.38%で取引を終えた(利回り上昇は価格の下落を意味する)。この日、米国と英国が二国間の貿易協定締結で合意したことを受け、関税交渉の進展への期待感が広がり、安全資産である米国債には売りが先行した。

【米国株主要3指数】

【ダウ平均株価】

    • 始値:41,312.57

    • 高値:41,773.22

    • 安値:41,167.76

    • 終値:41,368.45 前日比:+254.48 騰落率:+0.62%

【S&P500指数】

    • 始値:5,663.60

    • 高値:5,720.10

    • 安値:5,635.38

    • 終値:5,663.94 前日比:+32.66 騰落率:+0.58%

【ナスダック総合指数】

    • 始値:17,920.15

    • 高値:18,096.00

    • 安値:17,776.00

    • 終値:17,928.14 前日比:+189.98 騰落率:+1.07%

8日の米株式市場では、主要3指数がそろって上昇した。ダウ工業株30種平均は前日比254ドル高の4万1368ドルとなり、続伸。S&P500種株価指数は0.6%上昇、ナスダック総合指数は1.0%高で取引を終えた。

背景には、米英両政府が一部品目の関税を引き下げる内容を含む貿易協定の締結で合意したことがある。この合意を受けて、米国と他国との関税交渉が進展するとの期待が高まり、市場ではリスク選好姿勢が強まった。発表直後にはダウ平均が一時600ドルを超えて上昇する場面も見られた。

ダウ採用銘柄では、景気敏感株の金融株が買われ、アメリカン・エキスプレスやゴールドマン・サックスが約3%上昇。なかでも、英国による100億ドル相当のボーイング機購入発言を受け、ボーイング株は一時5%高となり、終値でも3.3%高とダウ構成銘柄で上昇率トップとなった

一方、ハイテク株が多いナスダック市場でも買いが広がった。7日に報じられた「トランプ政権がAI向け半導体の輸出規制見直しを検討」との報道が追い風となり、グーグル親会社のアルファベットは2%上昇するなど、主要テック株が堅調だった。

なお、米英合意の内容については「歴史的とは言いがたい」との見方もあるが、自動車など特定品目での関税引き下げが進んだことで、今後の交渉進展に対する期待が高まり、相場の下支え要因となった。

また、外国為替市場ではドル買いが優勢となり、円相場は一時1ドル=146円台前半まで下落。主要通貨に対するドル指数も1%超上昇する場面があった。ドル高の進行は、ここ最近の「米国売り」の流れが一服する兆しと捉えられ、株式市場全体の安心感にもつながった。

FPTRENDY

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この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー

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