日本・消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)は、全国の消費者が日常的に購入するモノやサービスの価格変動を測定する統計であり、日本におけるインフレ率の代表的な指標です。総務省統計局が毎月発表しており、日本銀行の金融政策、財務省の予算編成、そして企業や投資家の判断材料として、経済運営のあらゆる場面で重視されています。
CPIは、全国の小売店・サービス提供事業者から収集された数百種類の品目価格をもとに算出されます。調査対象は食料品や衣料、住居費、光熱費、教育費、医療費、娯楽など幅広く、家計にとっての「生活コスト」の変化を定量的に把握するためのツールです。
中でも注目されるのは、「コアCPI(生鮮食品を除く総合指数)」と「コアコアCPI(生鮮食品およびエネルギーを除く総合指数)」です。これらは、価格変動の大きい項目を除外することで、基調的なインフレ傾向を把握する目的で用いられます。日本銀行は政策目標として「コアCPIの前年比上昇率2%」を掲げており、CPIの動向は金融政策の根幹に位置づけられています。
毎月のCPI発表後には、前月比・前年同月比の増減率が報じられ、マーケットではその数値が日銀のインフレ目標に近づいているかどうかが注目されます。物価の上昇が続けば利上げや金融引き締めの可能性が意識され、逆に伸び悩みが見られれば、金融緩和の継続が見込まれるといった形で、市場や為替に大きな影響を与えることもあります。
また、CPIは年金支給額や最低賃金の見直しなどにも影響し、政策的な判断材料としても社会的に広く利用されています。そのため、CPIは単なる経済データにとどまらず、国民生活の指標としても位置づけられているのです。
このように、日本・消費者物価指数は、インフレ率の把握、金融政策の基準、さらには生活者の購買力を見極める基準として、多面的な役割を担う中核的な経済指標です。