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アメリカ・中古住宅販売件数(Existing Home Sales)

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アメリカ・中古住宅販売件数(Existing Home Sales)は、米国内で実際に売買が成立した中古住宅の件数を月次で集計した経済指標です。全米不動産業者協会(NAR:National Association of Realtors)が毎月発表しており、住宅市場の実需を反映する重要な景気指標として広く注目されています。

この統計は、一戸建て住宅、タウンハウス、コンドミニアムなど、すでに建築されている住宅の販売件数を対象としています。アメリカの住宅取引の約9割を占める中古住宅市場の動向は、住宅ローンの借入状況、消費者心理、金利動向、所得水準などの複合的な要素を反映しており、家計の実態に近い「マクロ消費のバロメーター」とも言えます。

指標の公表は、原則として対象月の翌月下旬。件数は季節調整済み年率換算(SAAR)で示され、例えば「400万件」といった形で年換算の販売ペースが表されます。注目されるのは、前月比や前年同月比の変化率であり、住宅市場の活発度合いや変調の兆しを読み取る手がかりとなります。

住宅販売は、エネルギー、家具、家電、リフォームといった多くの関連産業に波及効果を持つため、販売件数が増加すれば経済の下支え要因とみなされ、逆に減少が続けば景気後退のシグナルとして受け止められることもあります。

また、中古住宅販売件数は住宅ローン金利の影響を非常に受けやすく、FRBによる政策金利の動きが市場に直ちに反映される分野です。たとえば金利上昇局面では買い控えが進み、販売件数が減少する傾向があり、金利と住宅価格、需要のバランスを測る上でも注目されています。

この指標は、住宅着工件数や住宅ローン申請件数などと並んで、アメリカ住宅市場の健全性を評価する上で不可欠なデータであり、FRBや市場参加者の注目度も高い指標のひとつです。

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