ドイツ・Ifo景況感指数は、ドイツの企業経営者を対象に実施されたアンケート調査をもとに、経済の現状と今後の見通しを数値化した景況感指標です。ドイツの経済研究機関であるIfo経済研究所（Ifo Institut）が毎月発表しており、ユーロ圏最大の経済大国であるドイツの景気動向を敏感に映し出すデータとして、欧州はもとより世界の金融市場からも高い注目を集めています。
この指数は、ドイツ国内の製造業、サービス業、建設業、小売業など約9,000社を対象にしたアンケート結果に基づいて構成されており、「現況判断」と「今後6か月の見通し」の2つのサブ指数からなります。それらを統合したものが、総合的なIfo景況感指数（Business Climate）です。
Ifo指数は、経済の“気分”を捉える先行的な性格を持ち、GDPや鉱工業生産といった実体データに先んじて景気の転換点を示すことがあるため、投資家や政策立案者にとっては重要な判断材料となっています。数値が上昇すれば企業心理の改善、低下すれば慎重な姿勢が広がっていることを意味します。
たとえば、欧州中央銀行（ECB）が金融政策を決定する際にも、ドイツのIfoやZEWといった景況感指標の変化を一つの手がかりとしており、インフレ圧力や成長鈍化リスクを先読みするツールとして活用されています。
Ifo景況感指数はドイツ国内の動向を示すだけでなく、輸出依存度の高い同国の性質から、世界経済、とくに中国や米国など主要貿易相手国の影響も反映しやすい特徴があります。そのため、Ifo指数の低下が続く場合、ユーロ圏全体の成長見通しにも下方圧力がかかる可能性があり、為替相場や株式市場への波及も無視できません。
このように、Ifo景況感指数は「企業心理の温度計」として、短期的な市場判断から中期的な経済予測にまで幅広く活用される、ドイツ経済の健全性を映し出す代表的な先行指標です。
