アメリカ・ミシガン大学消費者信頼感指数(University of Michigan Consumer Sentiment Index, Preliminary)は、米国の一般消費者を対象にした心理調査であり、個人の景況感や購買意欲を測る代表的な指標のひとつです。この速報値は、月前半のデータをもとに発表される「予備的な数字」で、本報値より早く市場にインパクトを与える役割を果たしています。
この指数は、消費者の「現状に対する評価」および「将来に対する期待」という2つの要素から構成されており、アンケート方式で収集されたデータを数値化しています。スコアは0〜100の範囲で示され、100に近いほど消費者マインドが強気であることを意味します。長期平均はおおむね80〜85前後とされ、これを上回れば楽観的、下回れば慎重な消費者心理とされます。
この速報値は、米国の民間調査機関であるミシガン大学調査研究所が担当し、原則として毎月第2金曜日に発表されます。速報性が高く、同様の指標であるカンファレンス・ボードの「消費者信頼感指数」よりも早い段階で市場に登場するため、株式市場や為替市場では短期的な材料として注目されがちです。
消費者のセンチメントは、消費支出や住宅購入、耐久財の需要といった実体経済に直結するだけでなく、インフレ期待や金利見通しにも影響を与えることがあります。特にFRB(米連邦準備制度理事会)は、物価動向や景気過熱の兆候を判断するうえで、こうした心理面の指標にも目を配ります。
速報値はあくまで暫定的なものであり、月後半に発表される「確報値(Final)」で数値が大きく修正されることもあります。しかし、市場が動くきっかけとしては速報値の方が重視される場面が多く、実質的には“先行的な消費者マインドの温度計”として扱われています。
米国経済において消費はGDPの約7割を占める中核的存在であり、この消費者信頼感指数はその方向性を占う貴重なヒントを与えてくれる指標として、世界中の市場参加者から高い関心を集めています。