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アメリカ・住宅着工件数(Housing Starts)

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アメリカ・住宅着工件数(Housing Starts)は、全米の住宅市場の活発度を測る代表的な経済指標のひとつで、ある月に実際に工事が開始された住宅の戸数を集計したものです。米国商務省(Census Bureau)が毎月発表しており、新築住宅の供給動向を反映する指標として、金融市場や政策当局の注目を集めています。

この指標には、一戸建て住宅と集合住宅(2戸以上の建物)が含まれており、地域別・住宅種別に細かく分類されたデータも併せて公表されます。数値は年率換算(Seasonally Adjusted Annual Rate)で表示され、例えば「140万戸」とあれば、1年間にそのペースで住宅が着工されるという意味になります。

住宅着工は、経済全体の循環と強い関係を持っています。住宅の建設は、建材、労働力、家具・家電といった関連産業への波及効果が大きく、また住宅ローンの需要にも直結するため、景気の先行きを占う「先行指標」として位置づけられています。特に金利の変動や雇用環境の変化に敏感であり、金融政策の効果を測る指標としても有用です。

また、この住宅着工件数と同時に「建設許可件数(Building Permits)」も発表されることが多く、こちらは住宅着工の“予定”を示すため、より一歩早い動きとして注目されます。両者を併せて読むことで、住宅市場のトレンドや先行きに対する企業・個人の心理をより的確に把握することができます。

住宅市場は地域によって需要の強さが異なるため、南部、中西部、西部、北東部といった地域別の推移にも注目が集まります。たとえば、米国南部では人口増加に伴って着工件数が安定的に多い傾向にあります。

経済成長が加速している局面では着工数が増加しやすく、逆に景気後退期には住宅需要の減退とともに急減することがあります。市場では、住宅着工件数が予想を下回るとリスク回避の動きが出やすく、金利や為替、株価にも影響が及ぶケースがあります。

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