奨学金にはどんな種類がある? 貸与型と給付型の違いを整理

大学や専門学校への進学を考える時、「奨学金」という言葉を目にする機会は多いものです。
ただ、奨学金と一口に言っても、中身は一つではありません。あとで返すタイプもあれば、原則として返さなくてよいタイプもあります。JASSOも公式に、奨学金には「貸与型」と「給付型」があると整理しています。

この違いを知らないまま「奨学金があるから大丈夫」と考えると、後からイメージとのずれが生まれやすくなります。
教育費の備え方を考えるうえでは、まず奨学金には複数の種類があり、それぞれ役割が違うことを知っておくことが大切です。この記事では、奨学金の全体像を確認したうえで、貸与型と給付型の違いを一般向けにわかりやすく整理します。

JASSO(ジャッソ)は、日本学生支援機構の英語名(Japan Student Services Organization)の略称で、奨学金事業などを担う独立行政法人です。

目次

奨学金とは何か

奨学金は、進学後の学びを支えるための制度です。
親が利用する教育ローンとは違い、奨学金は主に学生本人が利用する制度として考えられることが多く、授業料や生活費の負担をやわらげる役割を持っています。JASSOの案内でも、国内の大学、短期大学、高等専門学校、専修学校(専門課程)、大学院などで学ぶ人を対象にした奨学金制度が示されています。

ただし、ここで大事なのは、奨学金=すべてもらえるお金ではないという点です。
JASSOは給付奨学金を「返済不要」、貸与奨学金を「返済必要」と明確に分けて案内しています。同じ「奨学金」という言葉でも、将来の負担のあり方は大きく違います。

奨学金は大きく2種類に分かれる

奨学金は大きく分けると、貸与型奨学金給付型奨学金の2種類です。
貸与型は、在学中にお金を借りて、卒業後に返していく仕組みです。これに対して給付型は、一定の条件を満たした場合に、原則として返還不要で支援を受ける仕組みです。JASSOの「奨学金制度の種類と概要」でも、この2本柱が基本として示されています。

この違いは、単なる言葉の違いではありません。
貸与型は将来返すことを前提にした支援であり、給付型は家計負担を直接軽くする支援です。したがって、奨学金を検討する時は、まず「返還が必要かどうか」を最初に確認するのが基本になります。

貸与型奨学金とは何か

貸与型奨学金は、進学や在学に必要なお金を在学中に借り、卒業後に返還していく制度です。
JASSOの国内奨学金では、貸与型として第一種奨学金第二種奨学金が用意されています。第一種は無利子、第二種は有利子です。さらに、入学時の一時金として使える入学時特別増額貸与奨学金もあります。

ここで誤解しやすいのは、貸与型奨学金は「支援」であると同時に、将来返す前提のお金でもあることです。
教育ローンと比べると、主に学生本人が利用し、卒業後に返還していく点が大きな特徴です。進学時点の家計負担を軽くする効果はありますが、負担がなくなるわけではなく、後ろに移る面があります。

また、貸与型にも違いがあります。
JASSOは第一種奨学金を無利子、第二種奨学金を有利子として案内しており、同じ貸与型でも返還条件は同じではありません。さらに第一種と第二種を併用する仕組みも用意されています。

給付型奨学金とは何か

給付型奨学金は、原則として返還不要の支援です。
JASSOの給付奨学金は、文部科学省の高等教育の修学支援新制度の一部として位置づけられており、授業料・入学金の免除または減額と、返還不要の給付型奨学金の支給を組み合わせて支援する仕組みになっています。対象は大学、短期大学、高等専門学校、専門学校などです。

ただし、給付型は「返さなくてよいから誰でも使える」という制度ではありません。
文部科学省やJASSOは、世帯収入や資産の基準に加え、学ぶ意欲などの要件を案内しています。授業料等減免は確認大学等が行い、給付型奨学金の支給はJASSOが行う仕組みです。

また、制度は近年拡充されています。
文部科学省は、令和7年度から多子世帯の学生等に対する大学等の授業料・入学金の無償化等を進めており、多子世帯向けの支援拡充を案内しています。2026年度の在学採用案内でも、多子世帯への支援を希望する場合は給付奨学金への申込みが必要とされています。

貸与型と給付型は何が違うのか

貸与型と給付型の一番大きな違いは、やはり返還の有無です。
貸与型は卒業後に返還していく前提の支援で、給付型は原則として返還不要の支援です。この違いだけでも、進学後と卒業後の家計への影響はかなり変わります。JASSO自身も、給付を「返済不要」、貸与を「返済必要」と明記しています。

もう一つの違いは、制度の役割です。
貸与型は「今は家計負担を軽くして、後で返す」仕組みであり、給付型は「家計負担そのものを軽くする」仕組みです。給付型には授業料・入学金の減免も組み合わされるため、支援の意味合いがより直接的です。

整理すると、次のようになります。

項目貸与型奨学金給付型奨学金
返還必要原則不要
基本の性格将来返す前提の支援家計負担を軽くする支援
代表例第一種奨学金、第二種奨学金高等教育の修学支援新制度の給付奨学金
関連する支援月額貸与、一時金貸与など給付奨学金+授業料・入学金減免
注意点卒業後の返還負担条件や対象校の確認が必要

この表は制度の細部を省いた整理ですが、一般読者が全体像をつかむには十分役立ちます。実際の条件は学校種や世帯状況などによって変わるため、申込み前には公式情報の確認が欠かせません。

奨学金を考える時に注意したいこと

奨学金でまず注意したいのは、名前だけで判断しないことです。
「奨学金がある」と聞くと、返さなくてよい支援をイメージしがちですが、実際には貸与型も多く、卒業後の返還が前提になる場合があります。JASSOが貸与型と給付型を分けているのは、この誤解を避ける意味でも重要です。

次に、申込時期を逃さないことも大切です。
JASSOには進学前に申し込む「予約採用」と、進学後に申し込む「在学採用」があります。2026年度の在学採用案内もすでに公開されており、募集期間や手続きは学校を通じて進む形が基本です。使いたい時にいつでも自由に申し込めるわけではないため、早めの情報確認が必要です。

また、貸与型を使う場合は、卒業後の返還まで含めて考える視点が必要です。
JASSOも返還に関する案内や猶予制度などを整えていますが、そもそも「返す前提の支援」であることは変わりません。進学時点の負担だけでなく、その先まで見て判断することが重要です。

奨学金と教育ローンはどう使い分けるのか

奨学金と教育ローンは似て見えても、役割はかなり違います。
奨学金は主に学生本人が利用し、進学後の学費や生活費を支える制度です。これに対して教育ローンは、主に保護者が利用し、受験費用や入学金など進学前後のまとまった支出に対応しやすい資金手段です。JASSOの入学時特別増額貸与奨学金の案内でも、「国の教育ローン」を利用できなかった世帯向けという位置づけが示されており、両者が別の制度として整理されていることが分かります。

そのため、現実には「どちらか一つ」ではなく、役割に応じて組み合わせて考える場面もあります。
たとえば、入学前の初期費用は教育ローンや手元資金で対応し、進学後の負担は奨学金で補う、といった考え方です。JASSOも給付型と第一種奨学金の併用や、第一種・第二種の併用などを案内しており、制度は単独利用だけを前提にしていません。

どんな視点で奨学金を見ればよいか

奨学金を検討する時は、まず返還が必要かどうかを確認することが出発点です。
そのうえで、申込時期、世帯収入や資産の条件、対象となる学校、卒業後の返還負担などを順番に見ていくと整理しやすくなります。給付型では対象校かどうかの確認も必要で、文部科学省は支援対象となる大学等の一覧を案内しています。

さらに、家計全体でどこまで備えられるかをあわせて考えることも重要です。
奨学金は教育費の有力な支えですが、それだけで全てをまかなえるとは限りません。だからこそ、親の貯蓄、教育ローン、給付型支援の可能性などを含めて、全体の中で位置づける見方が役立ちます。制度名だけでなく、役割を理解することが判断の土台になります。

まとめ

奨学金には、大きく分けて貸与型給付型があります。
貸与型は返還が必要な支援で、JASSOでは第一種奨学金が無利子、第二種奨学金が有利子として案内されています。給付型は原則として返還不要で、高等教育の修学支援新制度の中で授業料・入学金の減免とあわせて支援されます。

大切なのは、「奨学金」という言葉だけで一括りにしないことです。
返還の有無、申込時期、対象条件、将来の負担は制度によって異なります。教育費を考える時は、制度名を覚えることよりも、中身を確認し、自分や家計にとってどんな意味を持つかを見極めることが大切です。

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この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー

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