日銀が今週18日から会合へ──イラン情勢が揺さぶる利上げシナリオ

日本銀行(日銀)は3月18日から2日間、金融政策決定会合を開く。注目されるのは利上げの是非よりも、むしろ原油高と円安が国内物価と景気にどう波及するかを、日銀がどう評価するかだ。市場では今回は据え置き観測が優勢だが、その背景には「原油高」と「円安」という二重の重圧がある。


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3か月前の利上げは、家計をどう直撃したのか

日銀は昨年12月、政策金利を0.75%程度へ引き上げた。政策金利とは、銀行どうしが短期間お金を融通し合うときの基準となる金利のことで、これが上がると住宅ローンや企業融資のコストも徐々に上昇する。

あれから約3か月が経ったいま、家計や企業への影響は「限定的」との見方が多い。ただし、それは状況が落ち着いているからではなく、新たな外部ショックが世界を揺さぶり始めているからでもある。


ホルムズ海峡で封鎖懸念が強まる

今回の会合で最大の焦点となっているのが、悪化するイラン情勢だ。攻撃の応酬が続く中、中東の石油輸送の要衝であるホルムズ海峡での自由な航行が大きく制約される事態となっており、封鎖懸念が広がっている。

ホルムズ海峡とは、ペルシャ湾と外洋をつなぐ幅35キロほどの細い水道で、世界の原油輸送量の約2割がここを通過する。この海峡が機能不全に陥れば、原油の安定供給に支障が生じ、価格が急騰するリスクがある。

日本はエネルギーのほぼすべてを輸入に頼っている。原油価格の上昇はガソリンや光熱費の値上がりを通じて家計に直撃し、物価を押し上げる要因になる。一方で、エネルギーコストの高騰が続けば企業収益が悪化し、景気を冷やしかねない。

「物価を上げながら、景気を冷ます」──原油高にはこの相矛盾する二つの側面がある。市場参加者の関心は、この構図が日銀の次の判断をどう縛るかに向かっている。


1ドル=160円に迫る円安も重なる

追い打ちをかけるように、円安も進行している。原油高による日本の交易条件悪化への懸念などから円売り・ドル買いが進み、3月14日時点で、円は1ドル=160円に迫る水準まで下落した。

円安は輸入物価をさらに押し上げる。輸入品の多い食料品やエネルギーが値上がりしやすくなるため、原油高と円安が重なると、物価への影響は特に大きくなる。


市場の本音:「今回は動かないだろう」

こうした状況を受け、今回の会合では政策金利は据え置かれるとの見方が金融市場で広がっている。

日銀はこれまで「段階的な利上げ」を基本方針として示してきた。その前提となるのは、国内の物価と経済が安定して推移するという見通しだ。しかしイラン情勢の行方次第では、その見通し自体が大きく変わりうる。

今は動くより、状況を見極める──それが市場の多数派の読みだ。


19日夜の植田総裁会見が焦点に

会合は2日間の日程で、結果は3月19日に公表される。同日15時30分からは植田和男総裁の記者会見が予定されており、今後の利上げ判断にどんな条件が必要か、中東情勢をどう評価しているかについて説明が求められる。

「今回は見送り」という予測が的中したとしても、それで終わりではない。市場参加者の関心は、追加利上げの有無より総裁会見のトーンに移っている。植田総裁がどこまで踏み込んで語るかが、今週最大の注目点になりそうだ。


(本稿は各種公開情報をもとに作成しました。一部数値は記事掲載時点の情報です)

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この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー

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